882【来年の約束?】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
今話は、少し短めです。
翌日。
マーサさんの腹薬店を訪れた。
「おはようございます」
「おはよう。苦水かい?」
「はい」
カウンターにふたつの壺を置く。
「確認するよ」
「どうぞ」
昨日と同じように、棒を苦水で湿らせ、舌の上に。
同じように、もうひとつの壺も確認する。
「うん。昨日のとあまり変わらないね。約束のお金だ」と、カウンターに銀貨を置くマーサさん。
「どうも」と受け取るオレ。
「次は、来年かい?」
「その予定です」
「わかった。待ってるよ」
お別れを言って、店をあとにした。
***
ついでに、冒険者ギルドに寄ってみる。
ちなみに、服装は冒険者の格好だ。
商人の格好だと、視線が痛いからな。
ギルドに足を踏み入れると、ほどよい喧騒に迎えられた。
魔獣襲来などの緊急時の緊張感ではない。依頼を奪い合うそれでもない。
食事処は埋まっていて、ワイワイと軽口を叩いている。
おそらく、依頼を終えての雑談だろう。
オレは、掲示板をチェックする。常設依頼のほかには、護衛依頼がいくつかある程度。
特にないな、と思いながら、踵を返す。
入り口へと向かうと、灰色狼獣人に道をふさがれた。
「おっと、すまん」と彼。
「こちらこそ」
お互いにとおり過ぎようとしたとき、オレは彼の装備に見覚えがあった。別に特別な装備ではない。しかし……
「あれ?」「アロンソ?」
お互いに、相手を認識した。
笑顔になる。
「やっぱり、サブか」
「アロンソ、久しぶり」
ハグされたので、ハグし返す。胸板が厚くて、腕がまわし切れない。
お互いに離れた。
「どうだった、なんでも市は?」
「楽しめたけど、最後の方は、雨になってな」
「そりゃ、残念」
「そうでもない。君たちの拠点のおかげで、それなりに楽しめたよ」
「よかった」
「おかげで、女王陛下との面識ができてしまったけどな」
「何! 陛下だと!?」
オレは口の前で、人差し指を立てた。
慌てて両手で口をふさぐアロンソ。
「まぁ、陛下にこちらから持参した布が売れたんで、よかったがな」
「そうか」
ここが冒険者ギルドなんだと思い出したオレは、問う。
「用事はいいのか? 話ならそのあとでもいいんだが」
へっ、という顔をしたアロンソだが、すぐに用事を思い出したようで。
「そうだった」と慌てて、カウンターに駆け寄るアロンソ。「街道にグリフォンの番が現れた! 気が立っている! オレたちも攻撃された!」
彼の大声とその内容に、ギルド内は静まり返る。誰もが、アロンソの報告に耳を立てる。
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)




