879【結晶の価値は】
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今話は、少し短めです。
「わかりました。価値としては、女王陛下に献上してもおかしくない品質です。これをこちらで買い取るとしますと、銀貨九枚。もう少し大きければ、金貨一枚となります」
提示額にオレは驚いた。
「そんなに?」
「はい。貴族のお方に顔が利くのであれば、そちらの方が買取額は高くなるかと思いますが」
「さすがにそれは」と苦笑いして見せるオレ。ツテはあるにはあるが、面倒だ。
「では、こちらで買い取りをご希望で?」
「こちらも一緒にお願いします」
オレは、マジックポーチから、あとふたつの結晶を布の上に置く。
「大きさも質も申し分ありませんね。三つもあるならば、まとめて金貨三枚。今後ともお取り引きをお願いできるのであれば、という思いを込めた額となります」
あぁ、なるほど。これからもこの結晶が手に入るのであれば、少し買取額を上げても利益は得られると判断したんだな。
オレは考え込んだ。
ここで売るのは構わない。だが、今後のことを考えると、さまざまな不安が頭をもたげる。
「何か?」
「失礼。私は冒険者もしておりまして、護衛任務やらでの移動も多く、旅先での換金物として考えていたのです。こちらに来たのも、今後の換金での価値を知っておきたかったのがあるんです」
「あぁ、なるほど。兼業される方は珍しいですが、そういうお話であれば、理解できます。では、こちらの買取額は、銀貨二十七枚ということでいかがでございますか?」
「お願いします。それと」とひとつの壺を出す。「こちらの鑑定もお願いできますか?」
「なんでしょう?」
「岩塩から出てきた苦味成分です。味見されるなら、苦味が強いので、ご注意を」
彼女は壺と結晶を見ると、口を開いた。
「まさか、分離されたので?」
「そういう人物を知りましてね。こちらの壺の中身は、どうやら薬師に売れるのではと相談を受けたのです」
「薬師に?」
「薬の調合に使えるのではないかと」
「そういうことですか……お時間はございますか?」
「はい」
「詳しい者を連れてまいります。失礼」
彼女は、そう言って、出ていった。
五分ほど経ってから、彼女は男性とともに戻ってきた。
「お待たせいたしました。こちらはクストーと申しまして、この町の薬師たちと長年の付き合いがございまして、それなりの薬学知識を持っております」
「クストーと申します。よろしくどうぞ」
「鉄級のサブと申します。こちらこそよろしくお願いします」
「それで?」
「こちらの壺に岩塩から出てきた液体があります。それを鑑定して欲しいのです。ちなみに、舐めるととても苦味があります」
「岩塩から、なるほど。味見しても?」
「どうぞ」
彼は上着のポケットから、スプーンを取り出した。
そのスプーンを壺に入れ、少しかき混ぜると、ひと匙分をすくい、その色を見て、それから口に含んだ。
次の瞬間、顔をすごく歪めたかと思うと、ハンカチを出して、口の中の液体を吐き出した。
「失礼。確かに苦いですね。私が知っているものによく似ています。あちらは、結晶でしたが。塩辛さがありました」
「おそらく同じものです。塩分が薄いので、そうなります」
「塩分が薄い? なるほど、それならばわかります。しかし、ここまでのものは初めてでして」
「それで薬師は、これを使って、薬を作れますか?」
「同じものならば。ですが、さすがに薬師様でないと判断できませんねぇ」と困り顔。
「判断できる薬師様は、いらっしゃいませんか? そちらの方をご紹介いただくとか」
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