878【結晶の鑑定】
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今話は、少し短めです。
小一時間が経った。
もちろん、途中途中で、塩の結晶の具合を確認していた。
順調に成長し、二センチほどの結晶になっていた。きれいな立方体ではなく、小さな立方体が集まったという感じのものだ。
とりあえず、魔導具を止め、結晶をガラス瓶から取り出し、溶液を鑑定してみる。
「おお、一割の半分くらいの濃度になってる」
「残りの液体はどうすんのさ」
「とりあえず、オレがしまっとく。あとで町の薬師に見てもらって、売れるなら売る」
「薬師って、薬になるの?」
「胃腸薬や下剤になるらしい。ほかにもいくつかあるみたいだけどな」
「ふぅん」
「でも、知識の書からのものだから、売れるかはわからない」
「まぁ、見せてみれば、わかるでしょ」
そのあと、もうひとつ、魔導塩析機を作って、塩の結晶作りをした。
「作って、売れなかったら、笑っちゃうな」とダルトンがちゃちゃを入れる。
「そのときは、自家消費するさ。岩塩よりも使い勝手がいいからな」
「なるほど。なら自家消費用も確保しておけばいいんじゃないの?」
「それも含めて、明日、商業ギルドで、値段を聞いてくるよ。そうじゃないと、適正価格で取り引きできないからね」
「それもそうか」
明日の準備をして、就寝した。
***
翌日、
お茶休憩を終えると、オレは町へと向かった。
商業ギルドに立ち入る。
すぐにスタッフが近付いてきた。
「おはようございます。本日はどのようなご要件でございますか?」
商人らしい格好なので、嫌な顔ひとつしない。たまにいるんだ。冒険者姿を見かけると、眉をひそめ、態度が露骨に変わるスタッフが。
それはともかく。
「旅の途中で、手に入れたものがありましてね。それがどのくらいの価値か、判断に困っていまして。ご相談させていただきたいのですが」
「どういったものでございますでしょうか?」
「塩です」
「かしこまりました。こちらへどうぞ」
案内されたのは、商談コーナー。デパートにある占いコーナーみたいなスペースだ。
そこにあるイスを勧められ、座って待つ。
二分ほどで、対面の席にドワーフ女性が現れた。
「おはようございます。エルザと申します」
「おはようございます。鉄級のサブと言います」
「塩を鑑定して欲しいとか」
「はい。ものはこちらです」
布に包んだものを取り出し、テーブルに置くと、布を開いて見せる。
「ん?」とよく見ようと、塩に顔を近付ける。「これは岩塩?」
「どこかに土や砂が付いていますか?」
「いえ、ありませんね。どうやら塩の結晶のようです。少し削り取っても?」
「どうぞ」
彼女は、ウエストポーチから小型ナイフを取り出し、塩の結晶の一部を削り取った。それを布の端に置き、小型ナイフの柄で潰す。粉になった。
彼女は、その粉を指先に付け、口に入れた。目をつぶる。
「雑味や苦味がありませんね。とても良い塩です」目を開け、こちらを見た。「どちらでこれを?」
「入手先はご勘弁を」
「ということは、今後も入手されるのですね?」
「まぁ、これの価値次第ですが」と笑む。
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