875【塩の結晶が大きくなったのは】
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今話は、ふつうの長さです。
「どうしたんす?」とハルキ。
みんなは、オレとは別行動していて、夕方に帰ってきた。
それなのに、オレがうんうん唸っているものだから、首を傾げていた。
オレの前の卓には、ガラス瓶。塩の結晶を作ったあとの残りの液がまだ入っている。
「お帰り」
「何を唸っていたんす?」
「いやさ、塩の結晶を作ってたんだけど、短時間で予想以上の大きさになってな」
「そんな実験、してたんすか」
「まぁね」
「懐かしいですね」とエイジ。「オレはミョウバンでやりましたよ」
「そんな経験者に質問なんだけど、小一時間で、目標の大きさになるもの?」
「小一時間じゃ、できないと思いますよ」
「だよな。知識の書でも数日掛かるってなってたからな」
オレは腕を組んで、悩む。
「手順は、どんな風に?」とキヨミが聞いてきた。
そこで説明していく。
「あぁ、岩塩の精製をしようと思ったんですね」
「そう」
「その際に、塩の結晶が予想より、早く大きくなったと」
「そう。変なところ、ないよねぇ」
「はい」キヨミがガラス瓶を見る。「鑑定」
なんで鑑定するんだろう?
「あぁ、サブさん、魔法使ってますよ」
「ええ? 魔法なんて使っていないよ」
「見てください」とガラス瓶を指すキヨミ。
仕方ないので、鑑定した。
“魔法による塩分析出あとの溶液”と出た。
「ありゃ。なんで? だいたい、何魔法?」と頭がこんがらがる。
見かねて、マナミが口を開く。
「何か、願い事とかした?」
「ん? 願い事?」
「何か思い描いたとか」
「思い描く……あぁ、そういえば、早く大きくなるんだよって大きくなったところを想像はしたけど」
それを聞いていた全員がそれぞれのやり方で呆れた。
「えっ、なんでその反応?」
マナミが教えてくれた。
「魔法を使うとき、イメージすることが大事だって教えてくれたのは、サブさんでしょ?」
「うん、そうだね」
「あれ? 気付いてない?」とダルトン。
「何を?」
「早く大きくなるようにイメージして、魔力流したんじゃないの?」
「魔力流したつもりはなかったんだけど?」
「自然に流れてたら?」
「ええぇ?」
「ならさ、もう一度、やってみ。今度は魔力流しながらね。ほれほれ」と促してくるダルトン。
オレは仕方なく、準備をはじめた。
さっきと同じように、岩塩を飽和状態にしたお湯を濾過して、ガラス瓶に入れた。
核となる塩の結晶も用意した。
「それじゃ、やるよ」
「しっかりイメージしろよ」
「はいはい」
イメージはもう固まっている。
結晶をぶら下げた串を持ち、ゆっくりとお湯の中に降ろしていく。
しっかりとしたイメージとともに魔力を流す。塩が核に集まり、結晶になるようにと。
するとなんと、核を中心とした結晶がどんどんと大きくなっていく。
一センチ角になったところで、引き上げた。もちろん、魔力も止めて。
「できた」
「ホントにできちゃったよ」
「サブさん」とエイジ。「ガラス瓶の中身、鑑定できますか? 塩分濃度がどうなっているか。オレの鑑定だとわからないんで」
「お、おう。鑑定……だいたい半分近くになったみたいだな。ということは、まだまだ大きくできるってことか」
「たぶん」
「よし、やってみよう」
結晶を再度、飽和液に漬けて、イメージとともに魔力を流す。さらに磁石をイメージして、吸着速度を増そうとする。
溶かした岩塩と同じくらいの大きさになったので、魔力を止めて、引き上げた。
「鑑定……残り一割くらいしかない」
「さすがにすべての塩分は、無理でしたか。でも、理屈はほかの魔法と同じですね。操作系魔法ってことですね」
「そうなるな。名付けるとすると、塩魔法?」
「なんだよ、その名付け」とダルトンが失笑する。
「センスないもんで」と苦笑いしてみせる。
それにみんなが笑った。
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