874【塩の結晶】
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今話は、少し短めです。
三人で話していると、塩作り人がガラス瓶に視線を向けた。こちらに向き直ったが、すぐに視線をガラス瓶に戻した。口をパクパクさせて、指を差した。
塩作り人の動作が気になって、そちらに顔を向ける。
塩作り人が差した指の先には、ガラス瓶。ガラス瓶の中の塩の結晶が、大きくなっていた。
ガラス瓶をテーブルに持ってきて置く。
「こりゃまた、大きくなるもんだねぇ」
「本当に」
タネにした塩の粒は、五ミリほど。それが今では一センチ近くになっていた。
ガラス瓶はまだほんのり温もりが残っている。
「あれぇ?」
「どうしたね?」
「いや、一時間ほどで、こんなに大きくはならないはずなんですよねぇ。本当は五日とか六日とか放置して、ようやくこの大きさになるものなんですよ」
「そうなのかい?」
「ええ。まぁ、知識として知ってるだけで、何が原因なのかはわからないんですがねぇ。まぁでも、これ幸いということで」
オレは、ガラス瓶のフタを外し、串ごとできた塩の結晶を取り出す。
できた結晶から、植物紙で水分を吸い取る。
板に別の植物紙を敷き、その上でできた結晶を木槌で叩いて、細かくする。
「味見をお願いします」
ミサトさんと塩作り人は、顔を見合わせ、うなずくとそれぞれが細かくなった塩を摘んで、舌に載せた。
「からっ!」とミサトさんが慌ててお茶を飲む。
「苦味やえぐ味が感じられませんね」と塩作り人は冷静に味をチェックする。
オレも塩を摘んで舐める。
うん、塩辛い。だが、雑味がなくなっている。
「これが、いい質の塩なんですか?」と塩作り人がオレに聞く。
「ええ。岩塩にはいろんなものが入っています。砂粒とかは布で濾すことができますが、そうしたいろんなものは残ってしまいます。こうすれば、塩だけを集めることができるんです」
「しかし、そうする意味がわかりません」
「調理の際に、味を均一にすることができます。岩塩やこれまでの塩だと、いちいち味見をしての調整が必要でした。でもこの塩なら、おおよその味付けができます。微調整はあとからちょっとでできます」
「そりゃ、いいねえ」と笑むミサトさん。
「それに高く売れます。これが一番かも」
「売れる? 塩が?」
そう、ここでは村の需要分だけの生産しかしていない。塩が売れるなんて考えたこともないのだ。
「売れます。商業ギルドがどう判断するか次第ですが、岩塩の倍くらいにはなるんじゃないかと」
「本当に?」
「本当に」
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