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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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874/893

874【塩の結晶】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 三人で話していると、塩作り人がガラス瓶に視線を向けた。こちらに向き直ったが、すぐに視線をガラス瓶に戻した。口をパクパクさせて、指を差した。

 塩作り人の動作が気になって、そちらに顔を向ける。

 塩作り人が差した指の先には、ガラス瓶。ガラス瓶の中の塩の結晶が、大きくなっていた。

 ガラス瓶をテーブルに持ってきて置く。

「こりゃまた、大きくなるもんだねぇ」

「本当に」

 タネにした塩の粒は、五ミリほど。それが今では一センチ近くになっていた。

 ガラス瓶はまだほんのり温もりが残っている。

「あれぇ?」

「どうしたね?」

「いや、一時間ほどで、こんなに大きくはならないはずなんですよねぇ。本当は五日とか六日とか放置して、ようやくこの大きさになるものなんですよ」

「そうなのかい?」

「ええ。まぁ、知識として知ってるだけで、何が原因なのかはわからないんですがねぇ。まぁでも、これ幸いということで」

 オレは、ガラス瓶のフタを外し、串ごとできた塩の結晶を取り出す。

 できた結晶から、植物紙で水分を吸い取る。

 板に別の植物紙を敷き、その上でできた結晶を木槌で叩いて、細かくする。

「味見をお願いします」

 ミサトさんと塩作り人は、顔を見合わせ、うなずくとそれぞれが細かくなった塩を摘んで、舌に載せた。

「からっ!」とミサトさんが慌ててお茶を飲む。

「苦味やえぐ味が感じられませんね」と塩作り人は冷静に味をチェックする。

 オレも塩を摘んで舐める。

 うん、塩辛い。だが、雑味がなくなっている。

「これが、いい質の塩なんですか?」と塩作り人がオレに聞く。

「ええ。岩塩にはいろんなものが入っています。砂粒とかは布で濾すことができますが、そうしたいろんなものは残ってしまいます。こうすれば、塩だけを集めることができるんです」

「しかし、そうする意味がわかりません」

「調理の際に、味を均一にすることができます。岩塩やこれまでの塩だと、いちいち味見をしての調整が必要でした。でもこの塩なら、おおよその味付けができます。微調整はあとからちょっとでできます」

「そりゃ、いいねえ」と笑むミサトさん。

「それに高く売れます。これが一番かも」

「売れる? 塩が?」

 そう、ここでは村の需要分だけの生産しかしていない。塩が売れるなんて考えたこともないのだ。

「売れます。商業ギルドがどう判断するか次第ですが、岩塩の倍くらいにはなるんじゃないかと」

「本当に?」

「本当に」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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