870【お互いの記憶の合致】
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今話は、ふつうの長さです。
ふたりでお茶を啜る。
ふたりして、カップを置く。
「それでどうなるのかな?」とギルマス。
「おそらく、向こうから書簡が送られてくるかと」
「私がいても?」
「特には、書かれていなかったんでしょう?」
「ああ」
「なら大丈夫です。どうしてもな場合は、書いてくるでしょう」
「だな。ところで、サブはB級と言っていたな」
「ええ。普段はC級冒険者パーティー《竜の逆鱗》に所属しています」
「ふむ。聞き覚えがあるな」と思い出そうと考え込む。
「町にはあんまり来ないんですが、アキタ村には年に一度、寄っていますので、そちらからかも」
「あんな辺鄙なところに? いや、それじゃないな」
「あとは、領主様とかマーカス団長とかですかね。でも、ほとんどオレだけのはずだし」とこちらも思い出そうとする。
「冒険者だったと思うんだ」
「冒険者ですか? そうなると誰とは特定しづらいなぁ」
しばらく、ふたりでうんうん唸っていると、魔導通信機のビープ音が鳴った。
ふたりして、顔を上げて、魔導通信機を見る。
「来たな」
ギルマスが立ち上がり、魔導通信機に近付き、天板を開け、届いたものを取り出す。
「なんだ、メモで寄越してきたぞ?」
渡されて、読む。
「“詳細求む”か。すみませんが、筆記具を」
すぐに出される獣皮紙とペン。
指示されたのは、魔導具の種類と数。
要請内容を書いていく。
最後に、“すべて商業ギルドに登録済”と書き加えた。
それをギルマスに渡すと、魔導通信機で送信してくれた。
それでソファーに落ち着くギルマス。
「さっきの話題だが」とギルマスが口を開く。「《白銀の狼》という冒険者パーティーのリーダー、アロンソからだった」
ありゃ。
「彼らなら、旅の道中で会いましたよ。王都の宿泊先まで教えてもらって、助かりました」
「そうかい」と笑むギルマス。「彼とは、昔、同じ任務を一緒にしててね。それで仲がいいんだ。任務で来ると、必ず寄ってくれてね」
「そうなんですね」
「それで《竜の逆鱗》というパーティーに美味いメシを食わせてもらったって言ってたのを覚えていたのさ」
「まぁ、宿を紹介してもらったのでね。そのお礼です」
「そのようだね」
また、魔導通信機のビープ音。
ギルマスが取り出す。
今度は、メモとともに、小さな革袋も一緒だ。
それらを受け取る。
「他国に有益なものを渡すなって怒られました」と苦笑い。
「あはは。それでいったい何を?」
「魔導具ですよ。私は魔道具師でもあるので」
「そうなのかい。珍しいねぇ。魔道具師が冒険者もやってるなんて」
「冒険者の旅の中で、欲しい道具を作ってたら、いいものになりましてね。商業ギルドに委託して販売してもらっています」
「旅でかい。ちなみにどんなものを?」
「冒険者ギルドでも販売している魔導コンロは、私が作ったものですよ」
「おやおや、魔導コンロの開発者様だったのかい」
「お貴族様みたいに言わないでくださいよ」と苦笑い。
「いやいや、魔道具師様と顔見知りになるなんて、滅多にないからねぇ。当然だよ当然。しかも魔導コンロは、冒険者垂涎の売れ筋だからねぇ。ここでもスタッフのために、一台購入したくらいだ」
「ご購入、ありがとうございます」
「火の扱いが楽になって、薪代が浮いてるって話だよ。それに冒険者からも長旅の最中に温かいスープを作って飲めるのがうれしいって声もある」
「役立っているようで、うれしいですね」
「ほかにもあるんだろう?」
「魔導ライターと魔導飲用水ポットも」
「おいおい、冒険者御用達の魔道具じゃないかい」
「冒険者の旅の中でのものですからね。その三つが主な収入源になります、魔道具での」
「主な、ということは、ほかにも?」
「ええ」
ギルマスが、聞きたそうなので、答える。どんなものなのか聞いてくるので、実物を見せる。それを繰り返す。
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