868【おばちゃん家】
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今話は、ふつうの長さです。
居間の引き戸が開いていて、中が見えた。みんなが卓のまわりに座っている。卓には食事が並べられていた。
「お帰り」とミサトさん。
「ただいまです」
親戚のおばちゃん家に来たようで、少しこそばゆい。
マナミのとなりが空いているので、そこに座る。
「なら、いただこうかね」
全員で、いただきますして、夕食を食べる。純和食の献立。
オレは両手をクリアしてから箸を持つ。
日本旅館の豪華な食事に比べたら質素ではあるけれど、みんなで食べるからこその美味しさがあってうれしい。
みんなを見ると、笑顔で食べている。それもまたいい。
夕食を食べ終わり、お茶を啜る。
ホッとしたところに、ミサトさんが何かに気付き、口を開く。
「そうだ、町から手紙が届いていたよ」
「オレたちに?」
「サブに」
ミサトさんが立ち上がって、タンスの引き出しを開けて、それを手にすると、オレに渡してきた。
それを受け取る。書簡だった。しかも封蝋付き。封蝋の印には見覚えが。
それを見て、がっくりしてしまう。
「なによ」とダルトン。
「たぶん、ジョージ」
「あぁ、ご苦労様。中、見てみなよ」
オレは、書簡を開く。
「なになに? なるほど。ダイナークの女王と接触したことを報告しろとさ」
「なんで知ってるのさ?」
「どうせ、ジョージの謎の情報網だろ。いまさらだよ。でもまぁ、書いてる内容からすると、軍事情報関連だな」
書簡をダルトンに渡す。
それを読むダルトン。途端に嫌な顔をする。
「ホントだ。報告するの?」
書簡を返してきた。
「明日、町の冒険者ギルドに行ってくる」
「ご苦労様」
ちなみに、オレとダルトンの会話は、アズマノ国語ではないので、ミサトさんにはわからない。
「知り合いからで、面倒なお願いごとをされてしまいました」と苦笑いをミサトさんに見せる。
「そうかい。息つけないねぇ」
「ホントに」
お茶をもう一杯、いただく。
「あっ、そうだ」とオレ。「帯とか、売れましたよ」
「あら、売れたのかい」と目を瞬かせるミサトさん。売れるとは思っていなかったのだろう。
「ええ。まぁ、それなりの値段ですがね」
「いいよ。売れただけでも御の字さ」
「詳細は、明日の朝でもいいですか?」
「いいよ。旅で疲れてるだろうからね」
「ありがとうございます」
まぁ、実際に疲れていたので、ありがたい。
***
翌朝。
朝食を食べてのお茶休憩。
「それで」とオレ。「ゆうべの話ですが」
「売れたって話かい?」とミサトさん。
「ええ」
マジックポーチから小さな革袋を取り出し、卓に置く。
「こちらが売れた金額です」
「やっぱりそんなもんだよね」と笑む。
「あの、中を見てもらえますか?」
怪訝な表情になるミサトさん。それでも革袋を手に取る。その重さに驚く。ヒモを解き、中を覗く。反射的に放り出し、あとずさる。
「な、なんだい! これは!」
声が裏返っているミサトさん。
「金貨です。カゴなんかが金貨三枚、反物や糸が百六十枚です」
「ひゃ、百六十枚!?」
「残念ながら、継続した商売にはならないでしょうが」
「い、いや、それにしても」
「気に入ったお方がいましてね。そのお方が全部を購入してくれました」
「それは、いいんだけどさぁ」と困った顔をするミサトさん。「全部で金貨一枚になればいいなぁくらいに思っていたんだよ。それが一反が金貨十枚? もらい過ぎだよ」
「いやいや、どんだけ安物だと思っているんですか。一反十枚はないにしても、一枚は確実にしますよ?」
「そ、そんなに?」
「ええ。だから、交渉を引き受けたんじゃないですか。さすがにカゴなんかは、金貨三枚になったのは驚きましたけどね」
「なんでそんな値になるんさね」
「お貴族様の屋敷の庭師に売れるんだとか。どれも丁寧な仕事をしているって言ってましたよ」
「あぁ、確かに丁寧に作るからねぇ」
なんとか立ち直りだしたかな?
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