867【領主様との話・その二】
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今話は、少し短めです。
「ところで」と領主様。「途中で会ったということは、サブ殿たちはどこかに行かれていたのか」
「ええ。王都のなんでも市を見に」
「王都まで! それで?」
「途中、とある冒険者パーティーと知り合いまして、宿を紹介してもらいました」
「王都はいつも混んでいる印象がある。王都門の外には、多くのテントが張られていたな」
「ええ。宿屋がいっぱいで泊まれないので、そのようになったとか」
「それで?」
「まぁ、買ったり売ったりして、過ごしていましたよ」
「ほぉ、めぼしいものは?」
「自分の剣を。実は、王都近くの村に巨大なメタル・ワームが出現し、兵士たちや冒険者たちとともに討伐へと」
「なんと! それで?」
「無事に討伐できたのですが、オレの剣が折れてしまいまして」
実際には、融けてしまったのだけど。
「それで被害は?」
「大ケガした者もいましたが、その場でのポーション投与と治癒魔法により、重体からは脱し、王都に連れ帰っての治療を受けたので、おそらくたいしたことにはなっていないかと」
安堵する領主様。
「そうか。ご苦労であったな」
「いえ、私だけの手柄ではありませんので」
話が途切れたところに、侍女がお茶を配ってくれる。それまで彼女はお湯を沸かしていて、ようやくお茶を淹れられたのだ。
礼を言って、それぞれが手を付ける。
ホッとするひととき。
そのあと、帰途に着いたオレたちが、盗賊団に襲われていたお嬢様一行を助けた話をした。
領主様から礼を言われる。
その後の旅について聞かれたお嬢様は、こう答えた。
「サブ様方のおかげで、快適でした」と。
さすがに、ここまでの道中を語ることは経験していないのでできないから、そう答えるしかできないか。
陽が傾き、夕食も一緒にと誘われたが、約束があると断わった。
旅立つ際には、顔見せに来ることを約束して、チタラ城をあとにした。
ウーちゃんに念話して、みんなにひと言伝えてもらう。“帰る”と。
それから町を徒歩で出て、隠遁と浮遊で、アキタ村に向かう。
この時点で、空はあかね色に染まっていた。
***
村門に到着したころには、もう星空になっていた。
隠遁と浮遊をやめる。
さすがに門は閉じていた。門衛も門扉を閉じて、帰宅しているようで、索敵さんにも反応がない。
そこで、身体強化して塀を飛び越えた。
まわりを見回してみる。
やはり、この時間では、もう誰も歩いていない。
遠くにポツンポツンとうっすらとした明かりが見えるだけだ。
いつもお世話になるミサトさん宅に到着。ニワトリもおらず、雨戸も閉じられている。
土間の戸も閉じていた。
その戸を小さく叩き、反応を見て、少し大きめに叩く。
すると中から、“開いてるよ”とミサトさんの声。
その引き戸を開けて、中に入り、閉じた。
「こんばんわ。サブです」
「お帰り。夕食を用意して待ってたよ」
その声に促されて、土間でクツを脱ぎ、失礼しますと言いながら、座敷へ上がる。
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