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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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865/872

865【チタラ城の新たな領主】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

 翌日。

 お昼をまわったところで、チタラ城下の町門を(くぐ)る。

 門衛のひとりに、チタラ城領主のマーカスのことを聞く。

「団長のお知り合いですか?」と門衛。

「去年、世話になったんだ。顔見せがてら、ご挨拶しようと思ってね」

 そう答えると、彼は笑顔になった。

「マーカス団長は、今は領主様の側近ですよ」

「そういえば、“領主の代行だ”みたいな話をしていたな。なら、城に行けば、会える?」

「側近の仕事次第じゃないかな」とアゴをさする。

「まぁ、いいや。とにかく行ってみるよ。ありがとう」


 ***


「というわけで、来たんだが」

「何が、というわけで、だよ」とダルトンに突っ込まれるオレ。

 ここは、チタラ城の謁見の間。そこにオレたちと貴族家の全員が入っていて、まわりを多くの兵士が囲んでいた。

 兵士たちに警戒心や威圧感がないのが、気に掛かる。


 オレたちは、城門で要件を門衛に伝えてもらったところ、戻ってきた門衛が首を傾げながらも案内してくれたのが、謁見の間だった。

 謁見の間とはいっても、王城のそれとは違い、舞踏会もできる大広間に近い場所だ。せいぜい、領主の座るイスがあるくらいだろう。


 しばらくして、後方の扉が開き、誰かが入ってきた。囲んでいた兵士たちが、そちらに向き、片膝をつき、頭を垂れる。

 オレたちは、振り返りそうになるのを我慢して、その場で頭を垂れる。

 足音がふたつ、貴族家の側ではなく、オレたち側へと来た。

「サブ殿!」と声を掛けられた。「久しいな!」

 聞き覚えがあって、思わずそちらを見てしまう。

 そこには、立派な貴族風の男性が立っていた。その横には前領主で現在の領主の側近であるマーカス・アイアンハートの姿も。

「シュナイダー団長?」

「覚えててくださったか!」と喜色満面の男性。

 誰かといえば、ゴウヨーク国へと侵攻してきた騎士団の団長のひとりだった。

「お元気そうで」と懐かしくなり、そう声を掛けた。

「うむ。こうして、故郷の土地を踏めて、今ではここの領主だ」

「それは、おめでとうございます」

「渋々な。故郷の土を踏みたい騎士たちを引き連れての仕事だ」とまわりを見るシュナイダー団長、じゃなくて領主様。

「マーカスのところに客と聞き、その名を聞かされ、窓から門を見ると、サブ殿とその愛馬だったというわけだ。本当は執務室へと思ったのだが、今回は人数がおるとのことで、こちらに参ってもらったわけだ」

「なるほど」

 話が途切れたところに、後ろから小さな声が聞こえた。

「お父様?」

 領主様とオレがそちらを見ると、お嬢様が唖然としていた。

「ネイレリア!」

 思わぬ再会に、オレを押しのけるように、お嬢様に駆け寄り、ガシッと抱き寄せる領主様。

 ここで初めてオレは、お嬢様の苗字がシュナイダーだったことを思い出し、シュナイダー団長と結び付いた。親子だったのだと。

 いや、名前の発音と契約書のサインとが一緒のイメージにならなかったんだよね。おふたりの顔の特徴も全然違うしさ。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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