859【貴族家の理由】
続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。
今話は、少し短めです。
バスルームを侍女に見せた結果。
「狭いですが、必要最低限は満たされております」
それで、ご令嬢と侍女が入ることになった。
その補助には、なんとウーちゃんが名乗りを上げた。
「相手はお貴族様だよ?」と問うオレに対して。
「心配はいらぬ。用具の使い方を教えねば、どんな入り方をするかわからぬからのぉ」とその役を譲ろうとはしない。
なので、侍女には“多少ガサツかもしれませんが”と断りを入れた。
そうやって、バスルームに入った三人。
三人がお風呂しているあいだに、騎士殿と話す。もちろん、遮音結界して。
「我々がお嬢様を護衛しているのは、見てのとおりだ。旅の経験が少ない我らは、恥ずかしながら、旅費の見積もりを誤ってしまった。他家に援助を請うのも外聞が悪いと、お嬢様が判断されてな。それで余計な出費をなくし、旅を続けておるのだ」
「それで宿泊も宿屋ではなく、広場を」
うなずく騎士殿。
「この町で、お嬢様の宝飾品を売れば、あとの旅費はなんとかなるのではと、お嬢様が案をお出しになられた」
「どこまで行くご予定なのですか?」
「ゴウヨーク国との国境近くだ」
あら。
「失礼ですが、いずれかの騎士団団長様のお嬢様、なのですか?」
疑いの眼差しの騎士殿。
「実は、ゴウヨーク国への出兵をされた方々とは、それなりの顔見知りといいますか、しばらくご一緒していた経緯がございまして」
「すべての騎士団団長の名前を言えるか」
オレは、ひとりひとりの名を挙げた。
「本当の話のようだな。いや、すまぬ。ここまで、信じられぬ対応をされてきたのだ。そなたを全面的には信じられなんだ」
「謝罪は不要です。そのくらいの警戒心はあった方がいい。なるほど。ならば、これも何かの縁です。多少の手を尽くしてみましょう」
「何から何まで、すまぬな」
「いえ」
それから騎士殿は、苦渋の顔で、尋ねてきた。
「それで、団長方は、ご無事なのか」
「はい。名前を上げた方々は、ケガなどもございません。お別れしてから体調を崩されていなければ、ですが。」
「そうか」とホッとしている。
***
ご令嬢と侍女は、さっぱりとしてお風呂から出てきた。服ですら、清潔になっていた。ウーちゃんがクリアを掛けたらしい。
彼らの夕食は、彼らのテントにマジックバッグに入れて運んだ。
「時間経過なしのマジックバッグだから、温かいまま食べられるでしょう。みなさんの分が入っていますから、交代で食べるといいでしょう」
「かたじけない」とご令嬢。
「いえ。では、ごゆっくり」
それでテントから出る。
騎士殿も出てきた。
「あなた方も風呂に入るべきだな。交代で入ってくれ」
「いや、我らは――」
「そんな汚れた格好で、ご令嬢を守る騎士と言えるのですか?」
そう言われて、唇を噛む騎士殿。それから言った。
「ご厚意に感謝する」
「ああ。そうだ。食器類は洗わなくて結構ですので」
それでテントを離れる。
オレたちのテント前に行くと、みんなが食事を前に、オレを待っていた。
「遅くなったな。いただこう」
読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)




