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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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858/861

858【変わった貴族家】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、ふつうの長さです。

 町に到着したのは、それからおよそ二時間後。

 門衛には先にエイジを行かせて、説明してもらった。

 貴族家の馬車はほぼスルー。こちらは全員のギルドカードを提示し、それから盗賊団の受け渡しが行なわれた。

 盗賊団討伐には、さきほどの騎士に証言してもらった。

 討伐報酬は、オレの口座に振り込んでもらうことで手続きを終えた。


 そこで貴族家の馬車とはお別れになるかと思っていたのだが、違った。

 なんと、騎士は門衛に広場の場所を聞いていたのだ。

 オレも広場の場所は聞こうと思っていたので、そばで聞いていたのだが。

 門衛も目をパチクリさせていたが、きちんと答えた。


 門衛から離れたところで、騎士に尋ねた。

「失礼ですが、何かご事情でも?」

 騎士殿は、苦虫を噛み潰すような顔をする。

「察して欲しい」

 そういえば、ここまで近付いていなかったので気付かなかったが、彼から独特のニオイ。汗臭さも含めたニオイだった。

「わかりました。もしよろしければ、護衛という形で、我々をおそばにおいてください。依頼料の請求はいたしません。広場は貴族家が泊まるところではございません。単独での宿泊は、お家の沽券にも関わるかと」

 彼がオレを怪訝な表情で見る。

「なぜか」

 これはいろんな疑問を含んでいるな。

「我々はお金に困ってはおりません。それに貴族家との付き合いもございます。あっ、ゴウヨーク国ではございますが」

「ゴウヨーク国の者か」

「はい。ですから、状況判断もできます」

「ならば、わかっていての申し出か」

「はい」

 すると、深いため息をつく騎士殿。

「よろしく頼む」と小さく言った。

「かしこまりました。詳しい話は広場にて。遮音結界を張りますので、それで」

 “遮音結界”という言葉で、彼はギョッと驚いたが、それからうなずいて小声でこう言った。

「あいわかった」

 そこから彼は口を開くことはなかった。

 オレは、仲間たちに説明し、広場に宿泊することにした。


 ***


 お互いのテントの設営が済むと、騎士殿に呼ばれた。

 オレはダルトンに、指示を引き継ぎ、騎士殿のもとに。

「お嬢様をご紹介する」

 オレはうなずき、テントの中へと足を進める。

 そこには、別の騎士がひとりと、侍女がひとり、中央のイスに座るひとりのご令嬢。ほかの騎士たちはテントのまわりの護衛任務だ。

 ご令嬢は若く、おそらく十代後半。旅の疲れとともに、服装の汚れがうっすらと見てとれる。

 オレは、ご令嬢の前にひざまずき、頭を垂れる。

「お初にお目に掛かります。わたくしはC級冒険者パーティーのリーダーをしております、サブと申します」

「此度の助力、ご苦労であった」

「ありがたきお言葉、いたみいります」

(おもて)を上げよ」

 言われたとおりに顔を上げる。

「気を遣わせてしまったようで、すまぬな、サブよ」

「いえ。あの、失礼でなければ、話はそちらの方からでも。どうやらかなりお疲れのごようす。無理にわたくしに付き合わずとも」

「そうもいかぬ。これでも子女とはいえ、貴族である」

「失礼いたしました。では、話をする前に、ご休憩をされてはいかがでございますか? 狭いですがお風呂もご用意できますし。夕食も贅沢はできませんが、提供できますので」

 ご令嬢は、騎士殿を見た。

 一拍置いて、騎士殿がオレに問う。

「そこまでされる理由は」

「実は我々もお風呂に入る習慣がございます。すでに用意もしており、ひとりふたり増えたところで、気にしません。夕食に関しても同じです」

「だが、設備は」

「マジックバッグに入れて、持ち歩いております」

「なんと」

「広くはございませんが、侍女とおふたりであれば、それほど狭くはないかと」

「しかし」

「一度、ご覧になられますか? 侍女の方であれば、判断できるかと」

 騎士殿はご令嬢と目を合わせ、待つ。

 すぐに侍女がうなずいた。

 騎士殿もそれにうなずき、言った。

「では、頼む」


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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