854【道中の討伐】
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今話は、少し短めです。
旅は平穏無事、ではなかった。
街道だというのに、次々に魔獣が現れたのだ。
ゴブリンくらいなら、ラキエルのエサになるから、雷爆弾・静を使って倒した。
しかし、オークもオーガも現れ、道を塞がれては。そうも言ってはいられない。
数が多かった場合は全員で対処したが、少数だった場合はハルキとエイジが討伐した。
「オレたちも」とエイジ。「それなりに強くなってますからね」
「それに」とハルキ。「身体がなまって、仕方ないっす」
とか言いながら、ふたりは嬉々としてやってた。
まぁ、まだ二十歳だからな。
ケイナはどうかというと、ふたりに任せた的な感じだった。
「あのふたり、自分の強さを認めてもらいたがっているようなところがあるからな」と言っていた。
***
旅が続くと、ふたりはさらに多数の魔獣を相手にしていく。“オレたちに任せろ!”と叫んで、我先にと。
オレたちは仕方なく、後衛にまわり、ふたりの闘いを見ることに。
危険な場面が何度もあったが、ふたりは頑なに、オレたちに手を出させなかった。
***
「マズいな」とオレ。
「オイラもそう思う」とダルトン。
みんなが寝静まったあと、ふたりで遮音結界を掛けての話し合いをすることに。
オレたちの危惧は、エイジとハルキのことだ。
「何か功を焦っている感じだよな」
「だね。アレかな?」とダルトンが考える。
「アレ?」
「若者特有のことなんだけどさ。冒険者としての経験からさ、“オレたちならなんでもやれる”って自己陶酔っていうか過信することがあるんだ。それで連携を無視して、無謀な闘いを挑もうとするんだよ」
「“なんでもやれる”ってことは、万能感か。あるいは“若気の至り”ってところ?」
「そんな感じ」
「ならば、大ケガするまで、続きそうだな」
「それか死ぬまでね」
「さすがにそれは看過できないぞ?」
「まぁね。何か考えはある? オイラは基本ソロの人間だからさ、そういうの、疎いんだよねぇ」
「はいはい。仕方ない。闘い方に制限を設けてみよう」
「制限?」
そこで制限について、話し合った。
***
翌朝のお茶休憩。
「エイジとハルキ、闘いはふたりに任せることにした」
それに対して、ふたりは首を傾げる。これまでと何が違うのかわからないのだ。
「ただし、制限を設けさせてもらう」
「制限ですか?」とエイジ。
「ポーション類の使用禁止、マナミによる治癒の禁止だ。闘いが終わっても、治癒は行なわない」
「なぜですか?」
「ここのところのふたりは、ケガするのを無視している。確かにポーションとかマナミの治癒魔法がある。でも、それに頼った戦闘に慣れてしまうと、それがなくなった際の闘い方がわからなくて、結局大ケガして、死ぬことにもつながる。自分たちだけならまだいいが、護衛対象がいた場合、護衛対象も守れずに死なすことになる。依頼失敗だ。そんなんじゃ、冒険者としては下の下だな。違うか?」
ふたりとも何も言えずに、首を振る。
「わかったな。念のため、ポーション類の所持は許可する。しかし、補給はなしだ。わかったか?」
ふたりは、“はい”と答えた。どこまで理解したのかは疑問だが、今はその返事を信じよう。
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