852【オレのチート】
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今話は、ふつうの長さです。
翌朝。
魔獣の襲撃はなく(ウルフが数頭来ていたが、結界で近付けないので、諦めて去っていった)、全員がすっきりと目覚めた。
オレも起きて、顔を洗い、アイテムボックスからタオルを出そうとした。
そのとき、思わぬことに、オレは固まった。
だが、それも一瞬で、驚きはしたが、とりあえず落ち着いて、タオルは取り出して、顔を拭いた。
何に驚いたかというと、閉じていたまぶたの裏に(というか、脳内にだろうけど)、メッセージが出てきたのだ。“ステータスを確認せよ”と。
こんなの、初めてだ。スキルのレベルアップでさえ、メッセージなんて出てこないのに。ステータスを確認して初めて、レベルアップしているのがふつうなのに。
ともかく、ステータスを確認する。
これといって、変わっていないよなぁ、と少しずつ見ていく。
ん?
スキル欄のアイテムボックスの横に、プラスマークがあった。しかも点滅してる。
首を傾げながら、プラスマークを意識してみる。
説明書きがポップアップされた。
よくよく読めば、さらなるチート能力とわかる。
試してみると、確かにそれが行なえた。
それで再度ステータスを確認すると、プラスマークの点滅はしておらず、単なるマークになっていた。お知らせを確認したから、点滅の必要がなくなったのだろうな。
朝食後のお茶休憩。
オレは口を開いた。
「えっと、ちょっと報告があります」
「何よ」と言って、お茶を啜るダルトン。
「また、チート能力が発現しました」
ダルトンが吹いた。ゲホゲホとむせている。
「またですかぁ?」と口を尖らすハルキ。「ズルいっすよ、サブさん」
「いや、そんなことを言われましても、ねぇ」とオレは頬をポリポリ掻く。
「それで?」とエイジ。
「アイテムボックス内のものを分解することができる」
「分解ですか?」
「そう。そして、その分解レベルも決められる。なんと“原子”レベルまで」
「“原子”? “分子”ではなく?」
「もちろん、“分子”にも設定できるよ」
「“素粒子”とか“電子”とかじゃなくてよかった、のかな?」と首をひねっているエイジ。
「さすがにそこまでいったら、利用できないよ。ははは」と乾いた笑い。
「でもそれがチート能力っていうのは。いや、充分チートですけど」
「使い方は思い付くだけでもいくつかある。まずはアイテムボックスの不要なものを分解できるから、アイテムボックスの肥やしがなくなる。先日のメタル・ワームも分解できた。分解した結果、さまざまな鉱物が得られた。肉だけでなく、有毒ガスさえも分解できた」
「うわぁ」
「あのさ」とダルトン。「オイラにもわかるように説明してもらえる?」
「そうだな。例えば」とアイテムボックスからあるものを取り出す。とりあえず入れていた手のひら大の石だ。「これはふつうの石だ。これを分解すると」
アイテムボックスに入れ、テーブルに手をかざす。
すると、粗い砂が出てきて、山になった。
「これはさっきの石を、成分ごとに分解したものだ」
「すり潰したの?」
「違う。なら、これはどうだ?」
次に出したのは、魔導ランタンだ。
「これを分解すると」
石と同じように収納して、テーブルに手をかざす。
そこには、魔導ランタンの部品が出てきた。
「あっ」とダルトンが何かに気付く。「解体ってこと?」
「まぁ、その認識で構わない。ここからさらに、砂粒や木片なんかにできるんだ」
「そんで、どう役に立つん? アイテムボックスの肥やしをなくせるとか言ってたけど」
「単に解体するだけではなく、素材の状態にできるんだ。オレが加工しやすいし、売ることもできる。場合によっては分解したあと、そのまま捨てることもできる。毒なんかでも無毒化できるんだ」
「無毒化? そりゃ、いいね」
「あっ、そうだ! これでようやく高純度麻薬を処分できるな」
「あぁ、あれね。そういえば、あのまんまだったね」
それにうなずいてから、みんなを見る。
「だから、いらないものがあったら、出してくれ。オレの分解で処分するから」
それを聞いて、誰もが不用品を出してきた。ルド邸で出されたものばかりだ。処分に困っていたからな。
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