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異世界に勇者召喚されたけど、冒険者はじめました  作者: カーブミラー


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845/884

845【グリフォン討伐その十一】

続きを読んでいただき、ありがとうございます。励みになります。


今話は、少し短めです。

「サブ」

 不寝番をしていると、ケイナから声掛けられた。

「ん?」

「サブは、向こうの世界で、どんな生活をしていたのだ?」

「サラリーマンだよ。ブラック企業一歩手前の会社のね。若いやつらが起こした会社で、中途で入ったオレが営業。帰宅してバタンキューな毎日だったな」

「なぜ、そんな会社に?」

「給料が出るから。それ以上の思い入れはなかったよ。そろそろ転職しようかなっと思ってたら、こっちに転職してたんだ」

「あぁ、渡りに船だったのか」

「まぁね。まさか、勇者召喚に巻き込まれて、さらに神様に用事を言い付けられるとは思わなかったけど」

「未練は?」

「向こうに? ないね。天涯孤独になってたし、友人らしい友人もいなかった。これといって、趣味とか推しとかもなかったし」

「推しくらいはいたんじゃないのか?」

「帰ってバタンキューな人生に? ないない。まぁ、若いころの、アイドルくらいだな。彼女も引退しちゃって結婚しちゃったし」

「今の方が、充実していると?」

「ああ。仲間もいるし、彼女もいる。やりたいことをやってる感があるよ」

「それは大事だな」と笑む。

「ああ。ケイナは?」

「私は、転生者だからな。もう帰れないとわかっている。“マホコイ”の世界に来れたのはうれしいが、自分が悪役令嬢役の人物で断罪対象となると、さすがによろこんではいられないがな」と苦笑する。

 “マホコイ”とは、ケイナが読んでいたラノベ『魔法と剣と恋する乙女』のことだ。

「剣や魔法に振り切ったおかげで、路線変更ができて良かった」

「そのままだったら、断罪が?」

「おそらくな。そのままだと、学園の卒園式で、エスコートを直前に断られ、虚しくパーティーに参加する。ところが、相手のエスコートしていたのが男爵家令嬢の主人公。そのあと婚約破棄。それから主人公に対する過度な嫌がらせで断罪されて、死刑になる。そんな筋書きだ」

「なるほどな。だが、主人公の陰謀なのだろう?」

「否定して、誰が信じる? しかも、証人もいてな。私をいつも疎ましく思っていた令嬢だった。証人がいるだけで、いわれのない罪を着せられる、という、なんとも失礼なものだよ」

 焚き火を枝でつつく彼女。寂しそうではない。

 ふと、ほくそ笑む。

「今は、《竜の逆鱗》のみんなと旅ができていることが、うれしい」

「そりゃ、よかった」


 そんなことを話していたら、交代の時間になっていた。


読んでいただき、ありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価、リアクションをお願いします。励みになりますので(汗)

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