843【グリフォン討伐その九】
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今話は、少し短めです。
その夜の最初の不寝番は、オレとダルトンにしてもらった。
夜に活発なのは、グリフォンではなく、ボアだ。蛇特有の赤外線探知能力で近付いてくる。ゆうべも三匹来たと報告があった。
土魔法で首を押さえてとか、身体強化で大きな岩を投げ付けて、頭を潰したとか。
まぁ、今夜は結界を張ったから、心配はいらないが。
「実はさ」と語りはじめたダルトン。「小さいころにウルフの子どもを拾ったことがあってさ。……大人たちに捨てられたことがあってさ。……アイツを見たら、そのときのことを思い出しちゃってさ」
オレは、ただ聞き役。口を挟むつもりもない。
「アイツの目を見たら、助けを求められてる気がしてさ。……暴れもしなかったし。……オイラのそばで安心してるの。……今、考えると、親がいなくなって、不安だったんだろうな、きっと」
ここで口を開く。
「オレにもあるよ。ちっこい動物だったけど、動物を飼うのがダメなところでさ。泣く泣く、もとの場所に行ったら、親が探してた。どうやらその動物の子どもは、迷子だったらしい。そのまま、離してやったよ」
「親がいるなら、その方がいいよね」
「ああ」
しばらく、焚き火を静かに見つめる。
ふと思い出した。
「そうだ」
「ん?」
「子どもがいた巣があった場所から、金とメノウを回収しておいた」
「どのくらいあったの?」
「金貨でいったら、百枚から百五十枚」
「そんなに?」
「それとメノウの塊が三つ。比較的丸くて、こんくらいの大きさ」と両手で大きさを示す。
「ひとつだけでも、それなりの価値になるぞ」
「金はアリの巣の中にはなくて、表面だけだった。たぶん、巣を掘るのに邪魔で、表に出したんじゃないかと思う」
「えっ? それって、このあたりは金鉱床があるってこと?」
「鉱床とまで言えるかはわからないけど、それなりの量が地表近くにあるんだろうな」
「誰かに教えたら、ここは丸裸になるな」
「だな」
「教えないよな?」と怪訝な顔。
「言わないよ。金も溶かして固めて、商業ギルドで売るつもり。メノウはどうしようか?」
「一緒でいいんじゃない? 宝石商って手もあるけど、どこで手に入れたのかをしつこく聞かれるだろうし」
「じゃ、商業ギルドな」
「それで、ルートはこのまま?」
「ああ。とりあえず、三分の一を越えるところだ。グリフォンの縄張りがずっと続く」
「みんなに緊張を強いるわけだ」と呆れる。
「仕方ないだろう。それでもオレたちが離れてるあいだで、あれだけ疲労するとは思わなかったよ」
「だねぇ。サブの索敵さんを頼りにしちゃってるから、それがなくなると自分たちの索敵スキルじゃ、わからないからねぇ」
「かといって、自分たちの索敵スキルでやれってのもグリフォン相手じゃ厳しいしな」
「だよね。本来なら、C級冒険者パーティーが相手するレベルじゃないもん」
「それをやれてるってのは、それだけの実力があるからだろう?」
「そうだけどさぁ。サブが抜けただけで、あのザマだよ? オイラがいたってたいした違いはないでしょ」
オレは、唸るしかできない。
「ともかく、このコースが終わるまでは、離れないようにしてよ」
「わかった。そうする」
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