842【グリフォン討伐その八】
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今話は、少し短めです。
ダルトンに顔を向ける。
「ダルトン、彼らが引き取ってくれるそうだ。ただ、巣まで少し遠いらしい。で、その子どもはまだ飛べないから、歩かせるしかないって。その際にほかの魔獣に襲われるだろうって話なんだ」
「あぁ、そういうこと? じゃぁ、護衛するしかないって?」
「いや、浮遊の魔導具で、飛ばせばいいだけだろう? ただ、子どもはダルトンに懐いているから、連れていくのはダルトンの仕事になる。もちろん、オレも行くけど」
「わかったよ」
オレがタンブラーに、その話をすると、首を傾げられた。
オレは説得するために、浮遊の魔導具を装備して、浮遊とともにあたりを旋回して見せた。
戻ると、二頭は、呆気に取られていた。
彼らみたいな翼もないのに、飛べるのは不思議なのだろう。
***
まず、子ども用のハーネスを作成して、装着させた。装着はダルトンの役目。
装着しているあいだに、戻るまでは警戒し続けるように、とみんなに指示しておく。
それから、ダルトンが子どもとともに浮遊する。
子どもは、不思議そうな顔をして、ダルトンを見る。
ダルトンが頭を撫でてやると、安心したのか、前方を飛ぶ二頭の姿を見て、真似るように羽ばたきはじめた。
オレは、後衛に付く。後ろからグリフォンに襲われるのは、願い下げだからな。
無事にタンブラーたちの巣に到着。巣には金の小石とメノウの玉があった。
子どもからハーネスを外してやるダルトン。それから撫でてやる。
ダルトンにオーク肉を渡す。
「子どもの前で、タンブラーに渡すんだ。タンブラーたちが噛み分けて、子どもに与える。子どもが食べたら、もう安心だ」
「食べなかったら?」
「ダルトンが、子どもに食べさせるんだ」
「わかったよ」
ダルトンがタンブラーに、オーク肉を渡す。受け取ったタンブラーは、それを番いに渡す。
受け取った番いは、噛み分けて、口の中でモゴモゴすると、子どもに近付き、口の中から、子どもに見せる。
子どもは一度、ダルトンを見た。
ダルトンがうなずく。
子どもがくちばしを開いて、その肉を食べた。
番いが次から次へと、肉を与えていく。
『主、もう大丈夫だ。子どもは、我らを受け入れた』
『そうか。従魔契約はこのままだが、たぶんオレたちはここには来ないだろう。来たとしても、通り過ぎるだけだ』
『わかった。我は、ここで暮らせば、良いのだな』
『そうだ。できれば、人間には手を出さないでくれると、うれしいかな』
『殺されそうになっても、か?』
『自分たちの命を優先してくれ。その人間も殺される覚悟を持ってきているはずだからな』
『わかった。そうする。主に会えて良かった』
『こちらもだよ、タンブラー。じゃぁな』
「ダルトン、行くぞ」
ダルトンは後ろ髪を引かれているようで、動こうとしない。
なので、腕を引っ張っていく。
ようやく諦めたのは、子どもが見えなくなったところだった。
***
拠点に戻ると、みんなが途端に警戒を緩めた。結構、消耗している。
話を聞くと、交代で休憩は取ったが、それでも警戒の緊張は、半端なかったそうだ。
このまま出発するのも危険と判断して、もう一泊することにした。
そして、今夜は結界を張っておくことに決まった。というか、オレが決めた。
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