841【グリフォン討伐その七】
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今話は、少し短めです。
お昼近く。
オレたちは、まだ旅立てないでいた。
原因は、子どもグリフォンだ。
方針が決まらない。
そこへ索敵さんの警報。
「迎撃態勢!」
全員がコンパウンドボウを四方八方へと向ける。
「数は、一! ゆっくりとこちらに向かってきている!」
オレたちのようすに、タンブラーも反応する。
『何を警戒しているのだ?』
『グリフォンが一頭、接近している』
タンブラーがまわりを確認する。そして、その方角に顔を向けて止まる。
『ほぉ、あれが見えるのか。主は凄いな』
『見えるのか? いや、愚問だったな。あれは、仲間か?』
『少し待て……あの飛び方は特徴がある。確かに仲間だ。我を見つけた』
そのとき、そのグリフォンがひと鳴きしたのが聞こえた。
『返事してもいいか?』
『なんて?』
『危険ない、と』
『わかった』
タンブラーがひと鳴きふた鳴きした。
向こうからも少し長めのひと鳴き。
タンブラーがもうひと鳴き。
『それで?』
『ここへ降りてくる。心配いらない。我の番いだ』
奥さん!?
まぁ、いいや。
「迎撃の必要はない! タンブラーの番いだ!」
みんなが、コンパウンドボウの狙いを、そのグリフォンから外す。だが、いつでも射れる態勢だ。
ゆっくりと旋回しながら、降りてきたグリフォン。降りたのは、タンブラーを挟んだ向こう側。
タンブラーと鳴き交わしている。
異世界言語でわかる。
本当に大丈夫なのか、と。
そうして、タンブラーから話を聞き、オレの従魔になったことを告げると、飛び跳ねそうに驚いて、目をパチクリしている。
番いのグリフォンから、思わぬ言葉が出てきた。
「最速のグリフォンのあなたが?」と。
最速か。確かに、あの接近の仕方は速かった。
「結界は張っていた。突っ込んで、あの馬を捕まえて帰るつもりだった。しかし、主に右肩をやられ、落ちた」
「結界を張ってるのに?」
「そうだ。だから、負けを認めた。従魔となり、名前もらった」
「ネームドに?」
「いや。名付けで強くなれるわけではなかった。主もそう言っていた。それでも強者には従わねばならん」
「わかった」
番いのグリフォンが、タンブラーの陰から出てきた。そして、オレに向かってその場に伏せた。
「主、我ら、あなた方、手、出さない」
「話、わかった。伏せる、いらない」
番いが伏せから、少し頭を上げる。
「話はついた。コンパウンドボウをしまってくれ」とみんなに指示。
すぐにしまうみんな。
それでようやく番いはきちんと座った。
その横に、タンブラーが座る。
オレもその前に座った。
『タンブラー、さっきの話だが、あの子どもを引き取れないか?』
オレは、ダルトンの陰に隠れて、こちらを見ている子どものグリフォンを指差す。
『ダメ』
番いが子どもを見て、タンブラーに問いはじめた。早口なので、興奮していることがわかる。
タンブラーがうんざり顔になっている。
それから番いとの話し合いをする。
タンブラーでは埒が明かないと判断したのか、オレに向く番い。
「主、子ども、引き取る、できる」
「本当?」
「我、子ども、大丈夫。我、育てる」
タンブラーを見ると、うなだれていた。
『タンブラー?』
『主、番い、こうなるとテコでも動かない』
『おまえは?』
『引き取る。それしかない』とため息を吐くタンブラー。
『ありがとう、タンブラー』
『いい。だが』と顔を上げる。『我が巣は、少し離れている。どうやって、連れていくか。それが悩みだ』
『あの子ども、飛べないのか?』
『無理。まだ飛べる羽根に、生え替わっていない。歩きだと、途中で、ほかの魔獣に襲われる』
『わかった』
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