840【グリフォン討伐その六】
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今話は、ふつうの長さです。
問題は、名前だ。オレにネーミングセンスがないってことだ。
“転がる者”という意味で、“タンブラー”にするか。
「おまえ、名前、タンブラー」
「タンブラー」と復唱するグリフォン。
納得したらしく、繋がりが得られる。
『どうだ? これで自由に話せるぞ?』
『わかった……主、すまぬが』
『なんだ?』
『起こしてもらえぬか?』
『自分で起きれないのか?』
『こうなると、死ぬまで、このままだ』
手間が掛かる従魔だなぁ。
オレは、グリフォンの身体を鑑定した。
すでに名前は“タンブラー”になっており、闘う意思はなくなっている。
「ダルトン、手伝って」
えっ、という顔をするダルトン。
「自分で起きれないんだと」
「あぁ、そういうことか。それで」と近付きながら尋ねてくる。「契約を交わしたの?」
「ああ。本人もそうなることを望んだ」
「名前は?」
核心つかなくても良くない?
「タンブラー」
「なんでか聞いてもいい?」とニヤけてる。
「さっき、盛大に転がっていただろう? だから、“転がる者”って意味だ」
「なるほどなるほど。サブにしては、いいね」
それはともかく、グリフォンをひっくり返す。
ふたり掛かりでも大変だった。翼が邪魔で。
とりあえず、犬の伏せの状態になったグリフォン。
「さっきも言ったが、おまえは“タンブラー”だ。わかったか?」
「“タンブラー”、わかった」
「腹は減っているか?」
「少し」
オレは、それなりの塊肉をグリフォンの目の前に出す。オークだ。
オレの許しを得て、食べるグリフォン。
食い終わったグリフォンとの会話を総括すると、馬という生き物は珍しく、美味らしい。
オレから見ると、そうは思えないが、それはそれとして、子どものことだ。
「自然に任せるのが、一番」と言う。
つまり、自分で生きていければ、それでよし。“ダメならダメで、諦める”っていうのが、タンブラーの言い分だった。
それはつまり、自然界のルールなのだろう。
それは理解できるし、できれば、そうしたい。
しかし、ダルトンのようすを見るに、それができるとは思えない。
まるで、捨てられてた子犬を拾って帰ってきた子どもだ。
オレは、大きなため息をつく。
話題を変えることにした。
『タンブラー、巣に金やメノウが集めてあるのは、なぜだ?』
『金はアリが集めた。我らはそこに巣を作る。メノウは卵の代わりだ』
『卵? 卵から生まれるのか?』
『我らは卵では生まれないが、ボアが巣を狙ってくる。ボアに卵だと思わせ、飲み込ませる。そこを捕まえて、空から落として殺す。そうすれば、エサだ。このあたりは、ボアが多い。苦労の少ないエサだ』
ボアとは、大蛇のことだ。
『なるほど。金の話は? アリが集めた?』
『うむ。理由は知らないが、どこからか運んできて、アリの巣に持ち帰る。そこに巣を作ると、夏は涼しく、冬は暖かい。我らには快適な巣になる。また、アリは身体に登ってきて、虫を捕まえてくれる』
共生関係が出来上がっているんだな。
それらを書字板に書いておく。あとで、図鑑に書き加えよう。
『アリの大きさは?』
そう尋ねると、鷲の片側の前脚を出してくる。
『この鉤爪ほど』
大き……くはないな。ヒュージアントと比べたら、本当にアリンコだ。
索敵さんで、金を集めるアリを探させる。なるほど、確かにグリフォンの巣のほとんどがそのアリの巣になっている。アリの名前は、ゴールド・ディギング・アント。つまり、金掘りアリって名だ。
*ゴールド・ディギング・アント
独自魔虫。名前を借りました。
ウィキペディア参照(英語)。
大きさはキツネほどの毛生えアリ。
金を集めていたのではなく、巣を作る
際に金を砂と一緒に巣穴から出して
いた、とのこと。
正体はマーモットで、“山のアリ”と
聞こえることから、アリだと勘違い
された、と考えているらしい。
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