838【グリフォン討伐その四】
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今話は、少し短めです。
上着の裾から、顔を覗かせたのは、見覚えのある顔だった。大きな目をパチクリして、こちらを見ている。
「昨夜はオレが最後の不寝番だっただろう? 夜明け前に、近くでゴソゴソと音がしたから、見に行ったら、こいつを見つけてさぁ。すぐに離れたんだけど、ついてきちゃってさ。そばから離れなくなっちゃったんだよ」と困った顔をする。
「そんなん、どうすんだよ?」
「どうしよう?」
上着から顔を覗かせているのは、瞳の大きなグリフォンの子どもだった。
「こんなん、親に襲われるぞ」
「でもさ、それならもうとっくに襲われてない?」
もう日は昇っていて、まわりは明るい。
グリフォンが昼行性の猛禽類の鷲ということを考えると、もう活動していてもおかしくないか。
子どものグリフォンを見る。
それから親を索敵さんに探してもらう。
いた。
ステータスをチェック。
「親は、死んでる」
「索敵さん?」
「ああ。どんな状態か、見てくる」
「頼むよ」
「了解」
オレは、浮遊して、親のグリフォンの遺骸のある場所へと向かった。
***
十五分ほどで、戻った。
ダルトンが口を開く。
「お帰り。どうだった?」
「片親はだいぶ前に亡くなったらしい。骨しかなかった。もう片方の親は最近死んだと思われる。何かと闘ったようだな。それから巣にも行ってみた。ほかにヒナがいるかもと思ってな。いなかった。んで、こんなのを見つけた」
石ころをダルトンに放る。
両手で受け取るダルトン。
「金?」
「ああ。グリフォンは金が好きらしい。金を索敵したら、グリフォンの巣と思われる場所に集められていた」
「あっ」ダルトンが何かを思い出す。「そういえば、聞いたことがある。グリフォンは、巣に金とメノウを集めているって」
「メノウも? 理由があるのか?」
メノウとは、美しい同心円状や層状の縞模様が特徴的な石英や水晶の仲間。色は白・灰色・赤・青・緑・黒など多岐にわたる。現代地球でも、古くから、宝飾品として流通していた。
「言い伝えレベルだから、なんとも。ただ、巣から金とメノウを盗んだって話。それでひと財産築いたって」
「二番煎じは、なかったのか?」
「二番煎じ? あぁ、あとに続けてって話? そいつがやめとけって釘を差したらしいよ。なんでもグリフォンに追い掛けまわされたって」
「たまたま運良く帰ってこれたんだな」
「そゆこと」
ここで一拍置く。
「さて、そんな話題は放っといて、そいつのことだ。どうする?」
「どうするって言われても」
ダルトンは上着の上から、子どものグリフォンを撫でる。
その子どもは、ダルトンにぴったりとくっついて離れそうにない。
ダルトンのようすを見て、懐いている子どもに情が湧いているとわかる。
「討伐は?」
「できるかよ!」と思わず叫んだダルトン。すぐに気付く。「悪い」
「とりあえず聞いただけだ。そのようすを見たら、わかるって」
「ごめん」
いつになく、殊勝な態度だ。突っ込む雰囲気じゃない。
「いいよ。ともかく、そいつを連れては行けないってのは、わかるよな?」
「ああ。だから、困ってる」
「だよな。とりあえず、朝飯にしよう」
「こいつは?」
鑑定すると、腹を空かせている。何を食べる?
オレは、オークの切り身をダルトンに手渡す。
「噛んで、喰いやすくして、与えな。そのままだと丸呑みしようとして、ノドを詰まらせるからな」
「お、おう」
そのようすを見ながら、オレは頬杖をつく。
どうすんだよ、こんなの?
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