837【グリフォン討伐その三】
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今話は、少し短めです。
そうやって話しているとき、ウーちゃんの言葉が思い出された。結界を“前面しか張っていなかった”と。
だとしたら、あれが使える?
「対処方法が見つかったかも」
オレはそれ以上、何も言わずに、作業小屋を出して、作業開始した。
***
小一時間もせずに作業小屋から出てきたオレ。
「ラーナ、こっち来て、ここに立ってもらえる?」
「はい」
ラーナがこちらに来て、指示したところに立つ。
そこに彼女の背丈ほどの木板を立てる。
オレは、少し離れて、コンパウンドボウを出した。
「半径三歩ほどに結界を広げてもらえる? できるだけ強く」
「はい。どうぞ」
まずは近付いて、結界に触れる。もちろん、それ以上には入れない。
「的を射るよ」
「はい」
オレは、木板に向けて、コンパウンドボウを引き絞る。本気の射込みだ。
矢を放つ。
木板に刺さる矢。
あとから、音が響く。
「ありがとう。ふつうに戻していいよ」
「はい」
「結界を貫いた?」とダルトンが呟く。
「ラーナのお守りだよ。これでグリフォンに矢が刺さるだろう」
“ラーナのお守り”とは、ラーナが自身の結界を気にせずに、ほかの人と間近に話せるようにするために配っていたもので、身体に薄く結界を張り、その人がラーナの結界へと入れる。
その仕組みを鏃に組み込んだのだ。
「ウーちゃんのおかげだな」
「うむうむ」と満足げ。意味がわかっているのかい?
「これでほかの同様な魔獣にも使えるだろう」
「そっか」と理解したダルトン。「結界張ってる魔獣がほかにもいるかもしれないのか。ウーちゃんだっているんだし」
「儂を射るなよ」とウーちゃんが歯をむき出しにする。「そのときは噛むぞ」
「ウーちゃんを射るときは、永遠に来ないから、安心してよ」
「わかっておるわ」
ガハハと笑うウーちゃん。
「よし、全員の矢を回収するぞ。それとマナミ、手伝ってくれ。数が多いからな」
「はぁぃ」とうれしげなマナミ。
ふたりで作業小屋に入り、戸を閉じた。
やましいことはしておりません。
チューを要求されて、承認しただけです。
***
翌朝。
朝食前にダルトンが口を開いた。
「それで、できたの?」
「ん? あぁ、矢ね。もちろん、できてるよ。ここを発つ前に渡すよ」
「そ。……えっとさ」
なんだ? 何か言いたそうだが?
「歯切れが悪いな。なんだよ」
「怒らないって約束してくれない?」と下からオレを見上げてくる。
「はぁ? なによ、子どもじゃあるまいし」
“子ども”と聞いて、ビクッとするダルトン。
アハハ、と乾いた笑い。
「これなんだけどぉ」と彼の横に置かれた上着を指すダルトン。
「上着?」
上着をそっと持ち上げて、中を見せてくる。
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