831【魔導標的】
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今話は、少し短めです。
その夜に、オレは作業小屋を出して、標的の改良に勤しんだ。
移動中は、さすがに魔法陣を描けないのもあって、歯車で対応した。
しかし、魔法陣で書き込めば、いくつかのパターンを組み込めるし、故障も少ない。
作業小屋から出て、飛ばしてみる。
半径半歩内を左右に揺れたり、上下したりする。見た目はランダムだ。
捕まえようとすると逃げられる。ワイヤーをつないでおいて、よかった。手元に引き寄せ、回収して、スイッチを切る。
「できたの?」と焚き火のところからダルトンの声。
そちらを見ると、全員がこちらを見ていた。
そちらに向かいつつ、返事をする。
「とりあえずな」
焚き火のところに着くと、ダルトンに標的を渡す。
「あれ?」とエイジが首をひねる。「プロペラは?」
「魔法陣に動作パターンを組み込んだ」
「なぜですか?」
「動く部分に矢が当たったら、壊れるかもだろ? それにこの方が訓練になるかと思ってな」
「動かしてみてよ」と標的を渡してくるダルトン。
オレは、受け取ると、スイッチを入れ起動する。それから空中に放る。
その場で、上下左右に動く標的。
「うぉっ、“ドローン”みてぇ」とハルキが口を開けて見てる。
「“ドローン”みたいに制御できないけどな」
「“ドローン”って?」とダルトン。
「こういうのを自由自在に操るんだ。使い方は人それぞれだけど、多いのは、物を運んだりとかかな」
「へぇ。動き方にパターンがあるみたいだね」と標的を見ながら言う。
「そういう風に作ったからな。いくつかパターンがあるから、標的には充分だろう」
「練習にはなるね」
「サブさん」とキヨミ。「これ、前後には動かないんですか?」
「ワイヤーを付けてるから、後退しようにも、引っ張られちゃうだろ」
「あっ、そうですね」
「だから、組み込まなかったんだ」
「なるほど」
「これは」とエイジ。「矢が当たったら、何か反応があるんですか?」
「いや。でもそうだな。なんかしら考えるよ」
オレは、お茶を一杯飲むと、また作業小屋に引っ込んだ。
***
翌朝。
朝食後、お茶休憩すると、出発する。
ある程度、進んでから、標的を後方へと放った。パターンに従って上下左右に動く。
「当たったら、音が鳴るようにしておいたぞ」
ハルキがコンパウンドボウに矢をつがえて、標的を狙う。
十発を射て、一発当たった。
当たったときの音は、ボンッという破裂音。
その後、選手交代して練習する仲間たち。
オレは、飛んでいった矢の回収係。
まぁ、オレもお試しで、やってみた。十発射て、三発当たった。
「サブさんでもダメなんですね」とエイジ。「全部とは言いませんけど、命中率はいいと思ってました」
「動く的は、それだけ難しいんだよ」
そのあとも彼らは交代しながら、練習を重ねた。
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