830【気落ちするハルキ】
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今話は、少し短めです。
もうすぐ野営する馬車留めに到着するころになって、とりあえずの標的が出来上がった。
さっそくワイヤーをつなげて、放ってみると、浮遊はさっきと同じだが、左右に揺れ動くようになった。
「いいじゃん」とダルトン。「タイミングが一緒だけど、練習するにはちょうどいいんじゃない?」
「最初は、これで大丈夫ですよ」とハルキ。
「なら、やってみ」
「ウッス」
ハルキは、さっそくコンパウンドボウを取り出し、矢をつがえて、標的を狙う。
コンパウンドボウが標的に合わせて揺れる。
五秒を費やして、放たれた。
標的に当たるかと思われたところで、標的に逃げられた。
「あれ?」
もう一本、つがえる。
充分に狙って、射る。
標的の動きを予想したらしいが、明後日の方角に飛んでいく。
「えぇ? なんで?」
「意外と使えるな」
バキュームして、矢を回収。
『見えてきたよぉ』とラキエル。
「とりあえず、ここまでだ。野営地に着いたぞ」
ラキエルが止まるとともに、みんなが馬車から降りる。
すぐさま、ラキエルを誘導してエサと水を与える係と焚き火の準備をする係とタープを張る係と夕食準備をする係に分かれる。
焚き火の炎は、熾き火をアイテムボックスに入れてあるから出せば、すぐに火が点く。
夕食準備も全員で掛かれば、下拵えもすぐ終わる。ここはウーちゃんも手伝ってくれる。
あとは、調理担当に任せればいい。
十人もいれば、こういう役割分担も苦労はない。
夕食後、お茶休憩。
「あの標的って」とハルキがオレに尋ねる。「どうやって左右に?」
「風をプロペラで受けて、歯車で左右に舵を切ってるだけだよ。たいした仕組みじゃない」
「でも、不規則に揺れてませんでした?」
「風の強弱で、プロペラの回転が変わるからだよ」
「風が一定なら、揺れるタイミングは一定なんですか?」
「理屈は、そうなるな。だが、実際には自然の風だ。一定ってことはない」
「そうすか」と肩を落とす。
「なんだ?」
「ハルキは」とエイジが代弁する。「サブさんがそういう仕組みを組み込んだんじゃないかと疑ったんですよ」
「そういうって、矢を避けるような?」
「はい。でも、そうじゃないと知って、自分の腕が未熟なんだとわかったことで、落ち込んでいるんですよ」
「あぁ、そういうことか」
「それなりに練習したつもりだったんですけどね」
「まぁ、動いている的は、当たりにくいからな」
「もう少し頑張ってみます。なっ、ハルキ?」
「おう」
「頑張れ」
「ウッス」
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