王の間の茶番劇
更新遅くすみません
短めです。
神託で伝え語られていた異世界の勇者たち。
その力の片鱗を見た『ダの国』の王は満足気に王の間へと戻った。
後ろから見ていても分かるくらい、その足取りは軽やかだった。
――この国は『ダの国』というらしい。
先生に続いて王の間に入ったは委員長が、みんなに向き直ると、何やら指示をした。
そして、委員長は先生の後方に正座した。
――正座?
みんなも、委員長に倣いごく自然にそうしていくので、俺も皆から気持ちていど離れて正座した。
中には体育座りや、胡座をかいたりと好き勝手に座っている奴もいるが、女子に至っては横座りだ。
質の良さそうな赤絨毯はふっかふかで座り心地が抜群にいい。
つい、その絨毯を軽く押してしまったが、ふわっとした感触がして深々と手のひらが埋まった。
――おおすげぇ!!
他にも俺と同じようなことをしている女子がいると思ったら、小太りの小西さんだった。
何故か俺を見てにっこり微笑んでいる。
――ははは……
小西さんに愛想笑いで返し、何事もなかったようにきょろきょろと王の間を眺めてみる。
何だ、えらく甲冑の置物が多い部屋だな、と思っていると、その甲冑の一つの頭が俺の方を向いた。
――……ぃっ!?
思わず叫びそうになったが、声は漏れてないセーフだ。どうやら周りの甲冑の置物は本物の騎士だったらしい。
――こわ。
そんな騎士たちが直立不動の姿勢で部屋中を囲っていた。みんなも気づいているのだろうか?
俺は見なかったことにして、他の調度品を眺めていくが、まだ、その甲冑騎士から視線を感じる。
――な、なんだよ……
俺は、意地でも顔を向けないように努めた。
ここ王の間は、略式用の部屋なのかそれほど広くない。
設置してある調度品も高級そうに見えるが豪華というより、落ち着き質素な感じの印象を受けた。
――でも、電灯らしいものがないのに部屋全体が明るいって不思議だな……
天井を眺めそんなことを考えている間に、前方の方では王と先生の話が終わっていた。長かった。
分かっていたことだが、要約するとダの国の王は、この世界を救ってくれ、そのためのサポートはするぞってことだった。
そんな王に対し先生は「世界が元気になり、マナが戻らなければ元の世界に帰れないことは創造神様から聞いている」と話したところで俺たち生徒を一瞥し、我々に任せてくれ! 快諾してしまった。
――えっ!?
俺は一瞬耳を疑ったよ。
そう言えば、中庭での先生はバンバン魔法を放っていた。
壁に一番大きな穴を開けていたのも先生だった。まるで日頃の鬱憤を晴らすかの様に……
生徒たちから歓喜の声と不安の声が漏れた。それを聞いた王はすかさず俺たち生徒の方を向き口を開いた。
「まあ、まあ、そう不安にならずともよいぞ勇者殿。詳しい事情はコウサカ殿に聞いておる――」
王は人懐っこい顔でゆっくり語りだした。
みんなが戦闘訓練を受けてきた生徒でないことから始まり、この城には古くから戦闘訓練に用いた騎士育成のための王家のダンジョンがある事。
今現在は、その王家のダンジョンはマナの消費を削減のために封鎖しているが、それをわざわざ勇者たち俺はたちのために解放してくれると、恩着せがましく言うのだ。
「なあに、王家のダンジョンならば……ふむ。七日間。七日間ならマナ石も耐えれるであろう」
「へ、陛下」
「トトラ大丈夫だ。お主も分かっておろう。このまま何もせねば、この世界は終わりなのだ」
トトラと呼ばれたのは王の隣に立っている宰相らしい人。王と同じ50代っぽいが頭が薄くでっぷりとしている。
「なあに、この世界を救う勇者殿のためとあれば、有事に備え十年間コツコツと使用を削減して蓄えていたマナ石の使用など痛くも痒くもないわ。わははは!!」
「陛下ぁぁ……」
「分かってくれトトラ。このマナ石のマナの量だけでは、この王国は保って三年。ここは神託の通り勇者殿に期待しようではないか」
「はい! 陛下ぁぁ……」
王と宰相の二人のおっさんが抱き合い涙を流している。
――何だこの茶番劇……
セリフ棒読みだし、あの涙も本物かどうかも怪しい、しかも、あの二人のおっさんはこちらをちらちら見ているしで、もっと完成度高めてほしい。
見せられるこっちの方が小っ恥ずかしく感じる。
――誰か、そろそろ止めてやって……こんな寸劇じゃ誰も騙されませんから……
「王よ。その心遣いに感謝する。私たちがこの手で……必ずこの世界を救ってみせよう!!」
――え!?
先生、それに委員長、クラスの主要たるメンバーが涙を流している。
「おお! そうかそうか。それは頼もしい!!」
王は泣いて抱き合っていたのがウソのようにこちらを見て満面の笑みを浮かべた。
「戦闘訓練は明日からにして、今日は歓迎の宴を開こうではないか」
「いえ、そのようなこと……私たちは……」
「そう遠慮せずともよい。少しばかり準備があるのでな。
勇者殿には一人一人個室を貸し与える。そこでしばし寛ぐが良いぞ……これ!!」
王がパンパンッと手を叩くと男子16人には若くて綺麗なメイドが、先生を含む女子16人には若くてイケメン執事がその横に並んだ。
「お部屋にご案内いたします」
「は、はい」
その隣についたメイドさんが、あまりにも綺麗なお姉さんだったため、噛んでしまったが、みんなも同じような感じでぎこちなく返事をしているようだったので、少しホッとした。
俺たちは綺麗なお姉さんメイドに連れられそれぞれ個室に案内された。
男は二階、女子は三階の方へ上がって行った。
もの足りない方へ
こちらも連載しております。
拙い作品ですが、良かったら暇つぶしに読んでもらえると嬉しいです。m(_ _)m
悪魔に転生してました。
https://ncode.syosetu.com/n3309ew/
冒険者の僕はスキルを買うので借金がなかなか減りそうにありません
https://ncode.syosetu.com/n6996dr/




