何これ、重い
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更新遅くてすみません。
「こちらが勇者様のお部屋になります」
「あ、どうも……」
綺麗なメイドのお姉さんが部屋のドアを開けてくれた。ほかの男子生徒もそれぞれの入って行くのを横目に、俺もその部屋へと入った。
――へぇ……え? 広い……
案内された部屋は予想より広かった。ウチの家のリビングより広い。
――うお、ソファーみたいな長椅子まであるよ……
俺が戸惑い立ち止まっていると、後ろからドアの閉まる音とメイドのお姉さんの声が聞こえた。
「勇者様、どうかされましたか?」
「あ、いえ……」
「では、どうぞ、奥の方へ」
「は、はい」
――――
――
――気まずい……
ズズズッ……
俺はメイドのお姉さんが注いでくれた紅茶に似た飲み物をすすった。
――苦い……
お姉さんメイドは、ずっとこの部屋の片隅で待機している。宴の準備ができたら連絡がくるらしいが、はっきりとした時間を、このメイドさんは教えてくれない。
――うーん。さすがに、こちらをずっと見られていると、こっちが緊張する……
メイドさんは何でも申し出てほしいと言ったけど……
――二十歳くらいかな……!? おわっ。
メイドさんと視線が合いそうになったので慌てて視線を戻した。
――はぁ。
綺麗なメイドさんに話しかける勇気のない俺は、どうしても間を持て余す。
すると俺の手は自然と目の前のテーブルに伸びる。
飲み方なんて知らない、さも飲み慣れているかのように紅茶をすするんだ。少しは大人っぽく見える? 淡い期待を込めチラリとメイドさんを見る。
――……無表情……はぁ。綺麗なメイドさんと二人っきりって、嬉しいシュチュエーションなんだろうけど、いざとなると……俺にはハードルが高かったようだ。
う〜、よくよく考えれば、クラスの女子ですらまともに話したことないから当然といえば当然の結果だよな……
俺は、無言で紅茶すする。
スーッ……
――……ん!? あれ? うげっ! ……ああ、俺のバカ……また、飲み過ぎてカップがカラだ……
そう思っていると、いつの間にか、側まできていたメイドさんが紅茶を注ぎ、すぐに離れていく。これで四度目だ……
――非常に申し訳ないです。はい。今度は気をつけます……
「あ、ありがどうございます」
俺がそう言っても綺麗なお姉さんメイドは無言で頭を下げるだけ……
――はぁ……
俺はたぷたぷと水腹になったお腹をゆっくりとさすった。
――ここはもう、大人しくしとこう。時間が過ぎるまで、俺は空気になるんだ……
俺はそう思い、テーブルに突っ伏し時間が過ぎるのを祈るように待つことにした。
「ゆ、勇者様!?」
――ん? 俺のことか?
俺がテーブルに突っ伏して数分も経たないうちに、メイドさんの透き通るようなきれいな声が聞こえた。
それもどこか、焦ったような……
「俺? ですか?」
俺はムクリと上体を起こしメイドさん見た。
「あ、いえ……いらっしゃったのならいいのです。お姿、気配が急に感じられなくなりましたので、どうしたのかと心配いたしました」
「へ?」
――……あ?
俺には、わけのわからない〈空気〉というアビリティがあることを思い出した。
ぺこりと頭を下げた後のメイドさんの顔は無表情なんだけど、なぜか怖い。
「……」
――俺、何かした?
また、メイドさんは何も言わなくなった。
その後、連絡が入り宴となったが、立食パーティーのようだった。
俺は壁に寄りかかり眺めていたんだけど、『ユの国』『ウの国』『シの国』『ヤの国』のお偉いさんたちも参加していた。
熱心にクラスメイトに話しかけていたが、その度に『ダの国』の王が自慢気な顔で間に入っていた。
パーティーがお開きになったらなったで、また同じメイドさんが部屋まで案内してくれた。
――よかった。
順路なんて覚えてない。正直ありがたかったが、メイドさんはいつ休むのだろう。と素朴な疑問を抱いているうちに、また同じ個室に帰ってきた。
――もしかして、ここは俺の部屋?
厚かましく思い、聞くに聞けないうちにメイドさんが――
「明日の朝お迎えにあがります」
明日の日程は王家のダンジョンに入ることになると教えてくれたメイドさん。
――そうか……ダンジョンか……
正直、気が重い。
「……はい、分かりました」
――――
――
「タロウくん。こっちこっち」
「やっときた〜」
「おい!! 遅せぇぞ」
「……あれ……先生や、他のみんなは?」
「もう行った」
「え?」
――なんで?
「え? じゃねぇ、お前が遅ぇからだろっ」
――マジですか?
翌朝、昨日の綺麗なお姉さんメイドに起こされ、騎士の人が着てそうな服に着替えさせられた。
――ぅぅ、寝起きでいきなり脱がすんだもん。俺、もうお嫁にいけないです。
何度起こしても起きなかった俺が悪いそうです……しくしく……
ちなみに着替えのパンツはブリーフだったので、思い出すだけで、恥ずかしい。
「なんかね、ここに出る魔物は、攻撃されても服が汚れるだけで痛くないんだって。
危険もないし、限られた時間しか使えないからって、順番に入って行ったんだよ」
ぽっちゃり小西さんが笑顔でそう言った。
「そ、そうなんだ」
――どうやら俺は寝坊していたらしい、だからメイドさんも……
「うん、今日はこの四人で入るんだよ」
「……へぇ」
王城の敷地内にある王家のダンジョン。
今は王国の騎士数名に、クラスメイト三人。
ぽっちゃり小西さんに、ちびっこメガネの大野さん。それと、見た目金髪ヤンキーの山田君。
それに、その付き添いの美人なメイドさんとイケメン執事のみだった。
王様や、他の国のお偉いさんもいたらしいけど、先生に挨拶したらすぐに他国のお偉いさんを連れて城内に戻っていったらしい。
「だから私たちが最後」
「タロウ!! お前も早く武器選べ。じゃないと入れないんだよ」
――武器?
三人を見ればその手には鞘に収められた武器が握られている。
小西さんと大野さんはショートソード。山田君はロングソードだった。
「あ、うん」
俺は立てかけてある武器をそれぞれ手に取ってみる。先ず山田君と同じロングソード。
ズシッ
――何これ、重い……
やっとダンジョンです




