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押し負けている!?

ブックマーク、応援、ご感想ありがとうございます。


更新遅くなりました

すみませんm(__)m

「なぁ、ここじゃねぇか?」


「たぶんそうだろう」


「ねぇ、先生?」


 先導していた田中たちが大きな扉を見上げてから、田中たちの少し後方にいた先生に顔を向ける。その大きさは、ここにいるメンバー、全てが横一列に並んで

 も少し余裕がありそうなほど大きい。


「うむ、そうだな……」


 頬に人差し指を当てて、しばらく考える素振りを見せていた先生たが、初めての事で判断がつかないらしいが、ここまで来て、進まないという選択肢はないようだろう。


 そんなことを思っていると、真剣な表情になった先生がみんなに視線を向け口を開いた。


「中では何が起こるか分からない。我々も身体強化をして進もう」


「えっ」


 先生の発言に真っ先に反応し戸惑いの表情を見せるのは身体強化魔法の使える小西さん。


 小西さんと先生は何度か自分たちにも身体強化の魔法を使うべきか話し合っていた。当然みんなからの意見を聞き、俺にも尋ねてきた。


 田中たちは身体強化の魔法を使って欲しいと言ったが、ただでさえ加護の力で人間離れした動きを可能にしている手前、小西さんと大野さんは反対した。身体がおかしくなりそうで怖いと……俺の場合は、個人的な違う理由(せっかく神紋強化で身体能力の差が縮んだのに、また差が開くのがイヤだった)で小西さんたちに賛同し、保留になっていたのだ。


「ふむ、創造神の協力な加護を受けて身体が強化されている我々が、さらに魔法で身体強化をするということに懸念(身体に悪影響がでる)はあるが、中の状況によっては我々の加護力が弱まるかもしれない。先生はそっちの方がまずいと思うんだ。みんなはどうだ?」


「俺は賛成です。俺たちの加護力が弱まるってことは加護憑きがかなりいるってことだもんな……何もできずに逃げまわりたくねぇ」


「ああ、俺も賛成」


「俺だって」


 田中たちは先生の提案を肯定し、納得したように頷き合うが――


「か、加護憑きがたくさん……ぃやだな」


 小谷だけは怯えた様子で扉の方に視線を向けている。


「山野木、大野もそれでいいか?」


「……納得できないけど、仕方ない」


 大野さんはそう言ってから、小西さんを見て首を振り、命を大事に、そんな感じのことを呟いているように見える。聞こえないけど……


「俺もそれでいいです」


 まあ、俺の場合は没地神の加護だもん。身体が強化されるような夢のような恩恵はまったくないので、どっちだって構わないんだけど。


 ――あーでも、俺の神紋強化の方が効果が高いから、それは勿体ないな……


「……分かりました」


 小西さんも渋々といった様子で先生の提案を受け入れたようだけど、まだ不安な様子が窺えた。


「小西すまないな。では、皆の意見が一致したという事で、まずは先生から身体強化の魔法をかけてくれないか」


 お前たちに、何かあっては困るからな、と先生が笑みを浮かべて小西さんの傍に歩み寄る。責任感の強い先生らしい発言だ。


「それなら俺が……」


 驚いたことに、そんな先生に挙手した田中が歩み寄るが、先生が手で制して首振る。


「気持ちはありがたいが、まずは私からだ。小西頼む」


 当然、魔法を掛ける側の小西さんは少し戸惑いの色を見せるが、先生は笑みを浮かべたまま話を続ける。


「もしも、私に何かあればすぐに小西が解除すればいい。それだけのだけのことだぞ」


「……そう、ですね。分かりました先生」


 先生の言葉に納得したのか、小西さんは素直に頷いた。


「では頼む」


「はい」


 返事した小西さんが先生に向かって身体強化の魔法をかけて始める。


「なんか俺、緊張してきた」


「なんでだよ。お前、今は関係ないだろ」


「今の動きの更に二倍ってどんな感じだろうな」


「うわぁ、俺、制御できなくて壁にぶつかったらどうしよう」


 田中たちは好き勝手に口を開きわーわー騒がしいが、俺と大野さんは黙ってその様子を見守っていた。というか俺ただやることがないのだ。


 ――あ、そうだ……


 俺は何かあった時のために、折りたたんだままの、回復の玉と状態回復の玉の神紋を描いたメモ(神紋紙)を内ポケットから取り出し手に持っておく。


「どうですか先生」


 魔法をかけ終えた小西さんが先生を心配そうに気遣っている。


「ん、んん……?」


 しかし先生は、自分の身体や手足に視線を向け動かした後、何とも言えないような表情で小西さんを見た。


「先生?」


「うーむ。何ともない……効いている感じがしない」


「え、でも私にはちゃんと魔法の手応えがありましたよ」


「そうなのか」


「はい……」


 先生はまた、自分の身体や手足を動かしながら、視線を向けているがすぐに首を振った。


「やはり効た感じはしないが、小西は手応えがあったのだろう。ならば保険だと思って皆にもかけておこうか。加護力が弱まった時に効果があるかもしれないこらな」


「そう、ですね。分かりました」


 それから先生と小西さんが手分けして身体強化の魔法をみんな(騎士たちも含む)にかけて回った。


 ――――

 ――


 真っ先に身体強化の魔法をかけてもらった田中たち四人は、飛んだり跳ねたりと騒がしい。


「ダメだ。先生の言うとおり何の変化もない」


「ああ、ないな」


「期待外れ、がっかりだな」


「そ、そうだな」


 がっかりして肩を落とす田中たち。俺の方も予想外だった。

 先に神紋強化がかかっていたからだろう。俺も何の変化もなかったのだ。


 どうやら身体強化の魔法は先にかけた魔法が優先されるのだろう。


 ――確証はないけど……でも、しばらくは大丈夫だろうけど、どこかのタイミングで神紋強化を掛け直したほうがいいな……


 俺は騎士服についていた内ポケットの左側に手を当てた。


 俺は戦闘に備えて、左側に回復用の神紋紙を、右側の内ポケットに攻撃用の神紋紙を分けて入れているのだ。その数、数十枚ずつ。休止時からすればかなり増やした。


 ――ふふふ……これだけあれば大丈夫だよね。お姉さんには気づかれていたけど、ボッチでよかったわ。


 これは、ひとり最後尾を歩いていたからできたこと。田中たち前衛がコボルトを相手にしている間にメモをするフリをして神紋を描き続けたのだ。だが、お姉さんが俺を見て僅かに笑みを浮かべているように見えるのは何故だろう。


 ――――

 ――


「よし、皆準備はいいな?」


 魔法をかけ終えた先生が、大きな扉を背にして、そう言って皆に視線を向ける。


「俺たちいつでもいい、な」


 田中の同意とばかりに鈴木、川田、小谷がこくこくと頷き。


「コウサカ殿、我々もいつでも、覚悟はできております」


 隊列を組む騎士たちから一歩前にでた隊長ダンテさんが先生に同意の意を示す。俺も皆に倣って頷いておく。


「うむ、では……む!?」


 先生が振り返り大きな扉に手を添える。先生はそれから力を入れて扉を押すつもりだったのだろうが、まるで俺たちを待っていたかのように大きな扉が勝手に開き出した。


「誘っている? のか……」


 ギギギッと大きな音を立て全開となった扉。だが、一歩踏み出さないと中の様子は見るのかができない。さすが異世界どういった仕組みなんだろうか。


「では、ここは我々が先に……」


 今まで出番の少なかった騎士隊長のダンテさんが任せてくれと言わんばかりに前に出る。騎士としてのメンツ?

 先生も、ここは顔を立てるべきだと判断したのか、深く追求することなく前衛と中衛が入れ替わる形で扉の中へと入った。


「むっ、なんとっ!?」


 騎士たちの驚きの声に、


「な、な、なんだここはっ」

「気持ち悪ぃ」

「……」

「ま、まじかよ……」


 田中たちの怯えた様子の声が響く。警戒心強め、俺たちも中にはいると――


 ――うっ!?


「タロウくん」

「タロ」


 横にいたはずの小西さんと大野さんは、いつの間にか俺の少し後ろに下がり俺の肩に、それぞれ片手を置いている。


 それもそのはず、警戒しつつ扉の中に入ると、そこは別世界だった。まるで生きているかのように、壁や床が赤黒く脈を打っているのだ。しかも薄暗いため奥までよく見えない。


 ――気持ち悪いな……


 俺も内心ビビっているが、小西さんと大野さんが側にいる手前、異性としてちょっとだけカッコつけてみる。

 これくらい怖くない、何ともないよって感じの余裕を、俺は目一杯見栄を張った。が、しかし、小西さんと大野さんの視線は俺でなく脈を打つ床に釘付け。


「ただ動いてるだけ?」


「そう、みたいだねアキちゃん」


 それからすぐに慣れたのか二人は俺から離れ、今度は脈打つ壁を興味深そうにじっと眺めている。残念。


「こののままゆっくり前進する。周囲警戒怠るなよっ」


「「「おお」」」


 前衛が前に進み出したので俺たちも離れないよう前に進む。


「小西さん、大野さん、俺たちも進もう」


「うん」


「わかった」


 壁から視線を俺に向けた小西さんと大野さんが頷き視線を前方に向けた。その時――


 ギギギッ、ガシャン!


「なんだっ」

「きゃっ……」


 ――ふおっ!?


 二、三歩進んだところで、入ってきたばかりで、すぐ後ろにあった大きな扉が、大きな音を立てて、勢いよく閉まったのだ。


 扉が勝手に閉まったため、皆は驚き、肩を大きく跳ね上げる。だが、驚いてばかりではいられなかった。


「ちっ、皆、前方だ。前を向け来るぞっ!」


 いち早く前方の赤いオーラに気づいたダンテさんが声を張り上げる。すると騎士たちが一斉に槍を構えて腰を落とす。


『ガゴ、ッキ……』


『マッショウ……シマツ、スル……』


 まだ、少し離れているため赤いオーラだけしか見えていないが、かなりの数だ。それがこちらに迫ってくる。


 ――ん? オーラが……


 それに反応する俺たちの加護。


 俺の身体から黄土色のオーラが湧き上がる。気にしていた俺は、自らそのオーラを抑えてすぐに消して見えないようにしたが、先生たちは違う。

 黄金のオーラが大きく激しく湧き上がり、そのオーラを纏ったまま長槍を構えている。


 だがしかし、それもほんの僅かな時間だった。加護憑きの赤いオーラが近づいてくるにつれ、皆の黄金のオーラが少しずつ萎み始めていたのだ。


 ――加護力が押し負けてる……!?




最後まで読んでいただきありがとうございます^ ^

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[気になる点] 「ただ動いてるだけ?」 「そう、みないだねアキちゃん」 ↓ 「ただ動いてるだけ?」 「そう、み『た』いだねアキちゃん」 [一言] 更新ありがとうございます( ´∀`)
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