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女子生徒は、何か知っているようです

ブックマークありがとうございます。


更新遅くなりました。

すみませんm(__)m

 出発を前に、すっと立ち上がった先生が小西さんに声をかけてきた。


「小西、すまないがそろそろ出発するから、いいだろうか?」


「はい先生」


 すぐに察した小西さんがスカートについた埃をポンポンと払いながらゆっくりと立ち上がった。


 先生と小西さんは身体強化魔法を王国騎士たちやメイド騎士、執事騎士たちにかけて回るのだ。

 加護憑きを相手しているからね、備ってやつだ。


 田中たちは自分たちがいるから「大丈夫だ」としきりに言うが、お前たちは、一度先生たちを置いて逃げ帰っているからね……先生も「そうか」というだけでスルーしている。ふふふ、いい気味だと思う。


 先生は立ち上がった小西さん確認すると、そのまま小部屋の外へと出て行く。

 王国騎士たちは小部屋の外で待機しているからね。


 ――んん?


 部屋を出る際、俺のほうを見た気がしたけど、きっと気のせいだろう。


 ドンッ


「!?」


「あ、先生。加護憑きが来てたら危険ですから、俺たちも行きますよ」


 田中がわざと俺の肩にぶつかり先生の後をすぐに追う。


 ――くそぉ、田中のやつ……そっか、先生は田中たちを見たのか……


「タロウくん。私も先生と身体強化魔法をかけてくるね。アキちゃん、付き合ってもらっていいかな……ほら、王国騎士の人でも知らない人はなんだか怖いし」


「うん、いいよ。タロも来る?」


 小西さんに誘われた大野さんもスカートについた埃をポンポンと払いながらゆっくりと立ち上がった。


「え、あ、いや、俺はいいよ。俺はここでもう少しゆっくりしとく」


「ふーんそう。じゃ、行こノリちゃん」


「あ、アキちゃんちょっと待って。先にタロウくんのメイドさんに身体強化の魔法をかけておくね」


「え? ああ、うん」


 正直なところ、お姉さんには俺の神紋魔法で身体強化魔法を掛け直す予定だったから、その魔法は必要ないんだけど、ここで断るのもおかしくなる。


 お姉さんがチラリと俺のをほうを見るので、小さく頷いて置く。


「コニシ様、ありがとうございます」


「いえ、大したことじゃないです。それにいつもタロウくんがお世話になってますから」


「うん。ウチの男子たちはイヤらしいから、変なことされたら遠慮なく言って……」


 彼女たちから視線を向けられる。その視線は少し疑っているようでいて、俺の反応を窺っているような、まるで試すような視線だ。


「お、大野さん、何を言ってるのかな……」


 ――これは間違いなく……クラス男子の大半がメイドさんに如何わしい行為をしていると知っている……

 あ、でも俺はお姉さんに変なことなんてしてないからね。

 まあ、強いてあげるとすれば、お姉さんにマッサージをしてもらって、その柔肌にたっぷり触れ、チラッと、じゃなくて、しっかりとお姉さんの純白を見てしまったくらい……あとは……俺の大きくなった分身をイヤというほど(俺が)見せて……。

 ……あれ、これはひょっとしてやばくない?


 俺は額に噴き出た汗を払いつつ、お姉さんの言葉を待った。


「お気遣いありがとうございます。勇者様……いえ、タロウ様なら大丈夫です」


 ――えっ?


 初めて俺の名前を呼んでくれたお姉さんに、俺の名前知ってたんだ、と感動するところだけど、それよりも今のお姉さんの言い回しはまずい……それに表情。


 いつもは無表情で淡々と答えているはずのお姉さんが珍しく、少し笑みを浮かべて答えているのだ。


 しかも、俺なら何をしても大丈夫って都合よく勘違いしそうに聞こえる……


 ――いやいや、それない。これはきっと信用しているから大丈夫ってことなんだ。うん、きっとそうだ。


 理解するのに少し時間がかかったが、ようやく納得のいく回答を導き出せた俺だったが、目の前に彼女たちの存在があることを忘れていた。


「ふーん」


「へぇ」


 ――うぇ!?


 勘違いしたっぽい彼女たちからの視線が痛い。小西さんは笑顔なのに、笑顔に見えないし、大野さんは無表情なのに、無表情に見えない。あれ、俺何を言ってるんだろう。ははは……


 お姉さんは、珍しく少し笑みを浮かべたままで、それ以上は何も言わない。何か言ってほしいのに何も言わない。


 ――う、うう……俺がここで口を開くと言い訳しているようで、余計に勘違いさせそうるなんだよな……ならば……取り敢えずこの場から逃げる? あ、でも逃げたらダメか。外には先生たちがいる。ではどうする……うーん……


 俺は学校の授業以来、久しぶりに脳をフル回転させた。


 ――そうだ! 俺は空気、空気になるんだっ。


 空気に溶け込むことにして透明化、なーんてね。そう言った体で現実逃避するんだ。


 ――ふふふ、そういえば、これは教室でもよくやっていたな……


 まだこっち(異世界)に来てそれほど経って無いけど、なんだか懐かしい……


「はい、ジュリアさんの身体強化終わりました……あれ? タロウ、くん?」


 俺が物思いに少しふけっている間に小西さんが、お姉さんに身体強化魔法をかけ終えていたらしい。


「あれ、タロ?」


「タロウ様」


 ――あれれ?


 俺は目の前にいるのに彼女たち三人がきょろきょろ部屋中を見渡し始めた。


「え、何? 俺ここにいるけど?」


「「えっ!?」」

「タロウ様」


 彼女たちが揃って驚いた表情をする。新手のいじめかと思ったが、その様子からもどうやら違うっぽい。


 ――うーん、これはあれか?


 もしかしたら俺のよく分からない空気アビリティのせいかも。機会があればこの世界のアビリティについても調べてみるのもいいかもしれない。


「ふーん」


「へぇ」


 彼女たちも何かに気づいたようだけど、それ以上は何も言うことなく、小西さんと大野さんは王国騎士たちに身体強化の魔法をかけてくると言って部屋から出て行った。


 ――――

 ――


「ふぅ、お姉さん、俺たちも今のうちに身体強化魔法を掛け直しておきますね」


「はい。ですが私はコニシ様に強化して頂いたばかりですが……」


「うん、そうなんだよね。そこで少し試していいかな?」


 重ね掛けだ。小西さんの身体強化の魔法に俺の神紋魔法の身体強化の魔法を重ねたらどうなるのか。ずっと疑問に思っていたのだ。小西さんの身体強化三倍が残るのか、それとも俺の神紋魔法による身体強化(略して神紋強化)六倍か、はたまた両方の恩恵を受けて三+六の九倍、もしくは三×六の十八倍になるのかを。


「はい。タロウ様のお役に立てるのならば」


「お姉さんありがとう」


 ――って、あれ、待てよ。簡単に考えていたけど九倍って、とんでもなくない? 十八倍にいたっては……大丈夫なのか。


 こんなの考えなくてもわかる。


 ――ぜったい、ダメじゃん……


 俺は言ったそばから後悔し、後悔してそのことをすぐにお姉さんに伝えた。が――


「……ですので、やっぱりやめときます」


「いいえ。今後のことを考えると試して置くべきです」


 なぜか、お姉さんが納得してくれない。


「でも……っ!?」


 俺が頑なに首を振り拒んでいると、不意にお姉さんから俺の顔面をガシッと両手で掴まれ固定された。

 自然とお姉さんとの距離が近くなる。


 ――お姉さん顔、近い、近いです。


「私なら大丈夫です」


 そう言って強く鋭い眼差しを向けてくる。さすがは元騎士隊長だっただけあって迫力がある。けど――


「お、お姉さん……?」


 俺はお姉さんのきれいな顔が近いことの方が気になる。


「勇者様、私なら大丈夫です」


 息がかかりそうな距離で、お姉さんにもう一度言われる。ついでにいい香りも漂ってくる。


「うっ……」


「勇者様」


 お姉さんに近くでまじまじと見られれば、耐性のない俺なんて、茹で蛸のように真っ赤になっている自信がある。現に顔が火照っていて熱い。


「勇者様」


 掴まれて首を横に振ることもできないし、逃げることもできない俺は、もうこくこくと上下に頷くことしかできなかった。


「わ、分かりました。分かりましたから」


「はい」


 ふっと表情を緩めたように見える、お姉さんの両手がやっと離れた。


 けど、やはり不安だ。もし、重ね掛けが成功すれば、お姉さんの身体強化魔法の効果は九倍か、十八倍になる。

 お姉さんの身体にかかる負荷は相当なものになるだろう。

 だから――


「……でも重ね掛けが成功したと分かりましたら、すぐに解除します。

 そして回復魔法は絶対にかけさせてください」


 そこだけは念を押した。


「はい」


 お姉さんも納得してくれたので、いざ魔法陣を描こうとしたところで部屋のトビラが視界に入る。


 ――そっか……


 神紋の魔法陣は他人には見えないとはいえ、誰かが部屋に入って来るかもしれない思うと集中して描けない。


「お姉さん。すみませんが、誰かが入って来ても、すぐに見えないように俺の横に立っていてもらえますか?」


「分かりました」


 ――念のため、少し小さく描いてみるか……描けるかな……


 正面にいたお姉さんが俺の横にきたところで軟化スキルを使いつつ魔法陣を小さく描いていく。


「!?」


 ――あれ、抵抗が……ある?


 いつもは紙にボールペンで描いているような感覚なんだけど、今は粘土版の上に描いているような重さ? 抵抗感があった。


「あ、でも抜けていく魔力は変わらない、か……」


 結果、小さく描くことはできるが、それが時間短縮と魔力消費の減少には繋がらなかった。残念だ。


「では、お姉さん行きます」


「はい」


 俺は緊張しながらも描いた神紋を展開させ、お姉さんに身体強化の魔法をかけた。神紋魔法の光がお姉さんに集まり消えていく。

 魔法がかかった感じはしないけど、念のためお姉さんに尋ねてみる。


「どう、ですか?」


 お姉さんが首を振った。


「変化はないようです」


「……そうですか」


 加護の質の差だろうか。それとも先にかけた魔法が優先されたのだろうか。結果的に重ね掛けはできなかった。


 ――加護の質の差ならば、俺の神紋魔法の効果が消えて上書きされてしまうんだろうな。


 お姉さんは少し残念そうにしているけど、俺はお姉さんに何も起こらなくて、どこかホッとしている。


 俺は自分に神紋強化をすると、お姉さんと部屋の外に出た。


最後まで読んでいただきありがとうございます^ ^


展開が遅くてすみません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お久しぶりです!更新してくれてとても嬉しいです! コロナとかの影響で大変かと思いますがお体などお気をつけ下さい。 これからも応援させていただきます。頑張ってくださいね(`・ω・´)ゞ
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