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古今無双の傭兵が異世界へと行っちゃった話  作者: やまだ和興
クレナで生活する
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第123話―依頼に取り組む―

 翌朝、少し早めに起きて、まだ朝霧がクレナを包んでいる中、俺は昨日教えてもらった、家に向かった。地図を見ながら進んでいくと、確かに街の外れではあるが、そこまで離れてはいない。それに街の門にも近いし、良い物件だなと思った。


 だが、やはり一人で住むには広いな。そして、ところどころボロボロだ。庭は広く、母屋、蔵、厩がついている。そして横には道場と言っていた大きな建物がある。

 ……う~ん。これだけ広いと掃除や片付けだけで苦労するな。前の世界の俺の家よりも一回り大きいくらいだ。ただ、ここまで広いと普通に住みたくもなるな。ツバキ達も居るし、いくつかの依頼を片づけたらシロウにでも頼んで人を寄越してもらって、ある程度綺麗にした方が良いな。

 ひとまず、家についてはそう考え、俺はその場を後にした。


 今日から依頼に取り組むということで、俺は街を出る為、門に向かう。門には昨日と同じ男が立っている。


「ん? こんな朝早くから……って、アンタは……」


 男は俺の顔を見ると、口を開いた。俺だと分かったらしい。


「よう。朝早くからお疲れさん」

「ああ、やはり昨日の冒険者か。朝早いのはお互い様だろう。これから依頼か?」

「まあな。……通してくれるか?」

「ほう、その様子だとアヤメ殿に会えたみたいだな。……無論だ。冒険者は自由な者達。止める理由は無い」


 男はそう言って、門を開ける。闘宴会とはえらい違いだ。あっさりしていて気分が良い。本来はこうあるべきなのにな……。聞けば、男は自警団ではないが、アヤメの家で世話になっていたという者らしい。ということは領主の私兵というわけか。

 道理で、ジロウ一家の者達とも、闘宴会とも雰囲気が違うわけだな。俺は男に礼を言って、街から出た。


 さて、久しぶりにリンネも居ない俺一人でこなす依頼だ。……というか、一人の依頼ってワイアームの一件以来だったな。道連れが居ない分少し寂しいが、頑張っていこう。


 今日からアヤメに渡された討伐依頼を何日かに分けて行う。依頼はクレナ全域を行かないといけないみたいだ。魔物の棲む場所によって、移動を繰り返さなければならない。ある程度固まっていれば、その地域へ行き、魔物を討伐して、トウショウの里へと帰り、素材をヴァルナに渡す、を繰り返すことになりそうだ。

 なかなか、面倒なことだと思う。こういう時に転送魔法って良いな、とふと思った。まあ、今回の旅は被害が出ないように急いで行きたいというのもあるし、さっさと済ませてトウショウの祠に行きたいというのもあって、旅は基本的に神人化の状態で空を飛んで行う。リンネも居ないからなあ。歩きで行きたいが我慢しよう……。


 さて、一先ず、最初に討伐していく魔物の資料に目を通した。昨夜のうちに資料に書かれている魔物の生息地と危険度で優先順位を決めておいた。

 最初に討伐するのは、災害級の噴滅龍って奴だ。こいつはギルドのある町から東に離れた火山に生息しているみたいだ。なんでも溶岩の中に潜み、鉱物を喰らって生きているという。

 正確には鉱物の中にある魔力や微生物などらしいが、時折、火山を訪れた冒険者や他の魔物を捕食しているという。

 そして、その魔力を体内に貯め込み成長を続けているらしい。仮にこいつが山を下りれば付近に甚大な被害が及ぶという。早めに対応しないとな。

 更に、こいつを倒しに行く道中には、他に依頼となっていた、レッドワイバーンとオウガの群れが待ち構えているという。

 レッドワイバーンはワイバーンの中で炎の属性を帯びた個体らしい。火山の近くに居るということらしいが、恐らくコイツは問題じゃないな。ワイバーンは一回倒しているし。炎を帯びていると言っても大したことないだろう。

 オウガの群れというのは文字通り、100体くらいの集団を形成しているオウガ達のことである。ミニデーモンの群れと同じく、オウガの上位個体である、オウガロードとか、オウガジェネラルというものが居るらしい。付近の村々に被害が及ばぬように早々に殲滅してくれとのことだ。

 超級ということだが、オウガ自体は上級だ。街に居る冒険者たちが少し頑張れば良かったものを……と頭を抱えたが、仕方ないと思い、俺はため息をつく。正直なところ、ワイバーンもオウガの群れも噴滅龍に食われれば良いのに……。

 そうすれば楽なのにな、と苦笑いする。


 そして、街を出て俺はスキルを発動させた。神人化が完了すると共に、空へと飛んで噴滅龍の待つ火山を目指して行った……。


 空の旅というのも意外と悪くない。だが、時々道を行く奴らだったり、街の上を飛んだりしていると、そこの住民だったりが俺を指差し、何やら騒いでいるのが聞こえてくる。変な騒ぎにはなって欲しくないなと思いながらも、俺は飛ぶのを辞めない。

 変な騒ぎになって、俺に面倒ごとが降り注ぐよりも、魔物たちが暴れてクレナ各地に被害が及ぶ方が嫌だったからな。早いとこ目的地に向かおう。


 そして、飛んでいるとやはり空を飛ぶ魔物たちが俺に向かって来ることもある。ワイアームのような蛇に翼が付いたような魔物ブルム、マシロにも居た小型の悪魔のような魔物グレムリンの亜種であるスカイグレムリンなどだ。

 まあ、大抵は俺から出ている波動で、向かってきて俺に近づくたびに消滅していくがな。素材が残らないのは辛いが、それだけで消滅するということはそこまでの魔物ではないと思うから気にしない。恐らく、下級の魔物程度なら、天界の波動に触れただけで消し飛ぶのだろうと、勝手に納得していた。


 更に言えば、マシロを発つときにロウガンから貰った、伝令魔法の魔道具がある。……あれ、まだ一度も使ってないんだよな。いい機会だと思い、万が一素材が残らなかった場合には使おうと思っている。行き先はアヤメの元に設定されているから、問題ない。

 予定が狂って、不測の事態が起こった時などにも使っていこう。


 さて、そうやって飛んでいると、遠くの方にそれらしき山が見えてきた。頂上のあたりからは煙が出ている。あれか、と思い火山の方を見ると、森が広がっていた。俺は森の入り口の所で地上に降りる。

 資料によればオウガの群れはこの森から山の中腹にかけて居るらしい。正確な位置は流石にわからないので、森からは歩いて火山へと向かう。


 森の中に入るとそこまで鬱蒼としているわけでは無かった。見晴らしも良い。これなら大柄なオウガがどこに居ようとも分かるな。

 グリドリの森とはだいぶ違う。だからこそ、警戒されても意味がないので、俺は神人化を解き、森の中へと入って行った。


 ◇◇◇


 ……さて、森の中へ入ってしばらく進んだ辺りで、状況が変わってくる。


「オラアッ!」


 どれだけ斬っただろうか、すでにわからなくなるくらい多くのオウガを斬っている。早い話が、オウガは結構いる。100……どころじゃないんじゃないか? 

 そして、オウガジェネラルというの上位種も確認できた。何のことは無い。武具を纏ったオウガのことだった。ただ、この武具、誰が作っているのだろうか気になる。あんなデカいの、人間のものじゃないことは明白だ。

 恐らくオウガの中にそういう奴らがいるか、他の魔物にそういった存在が居るのか、だな。そういや、デーモン達も武器を手にしていたが、あれはどうしたんだろうと、気にしながらも向かって来るオウガをひたすら斬っていた。

 近くの数体を倒したら、別に固まっているところに移動し、また斬っていく。そうやって、オウガ達がどこから来ているのか確かめながら、その方向を辿りながら、俺は闘っていく。

 素材の方は斬りながら集めている。今回は素材にもなるべく傷をつけないようにするため、一撃で殺せるように攻撃している。

 その甲斐あって、ミニデーモンの時のように素材が残らないということは減った。


 その後も斬り続けながら、オウガ達を追っていくと、案の上森を抜けた。オウガの集団はなおもこちらに向かって来るが、俺はその先に一際大きいオウガが居るのを目にした。

 そいつの周りには複数のオウガジェネラルが護りを固めている。見た感じ、指揮官といったところだが、あれがオウガ達を統率しているものか? 

 俺は、跳躍し眼前のオウガ達を斬りながら踏みつけ、その大きなオウガの前に立つ。そして、鑑定スキルを発動させた。


 ……


 オウガロード

 オウガの中でも強力な力を持った個体。群れの中で最も大きく、最も強い。身に着けている武具も最も強く、まさしく群れの長にふさわしい力を有している。


 ……


 ……ふむ、こいつが例のオウガロードという奴か。俺が目の前に立つと、オウガロードはそばに置いてあった二振りの大鉈を掲げ、咆哮の雄たけびを上げる。


「グオオオオオオッッッ!!!」


 その声に反応し、周りを固めていたオウガジェネラル共が、俺に武器を振り上げる。


 ―すべてをきるもの発動―


 俺はそいつらの武器を破壊すると共に、首を刎ねていった。そして、全身に返り血を浴びながら、オウガロードに突っ込んで行く。


「らあッ!」


 オウガロードは鉈を振り上げるが、振り下ろされる瞬間、すれ違いざまに大鉈を斬り破壊する。

 そして、折られた武器を見ながら慌てるオウガロードの後ろから、首を刎ねた。ぐらりとその巨体は倒れ、胴体からは大量の血が噴き出る。


 良し、これで討伐は完了だ。後は残りを殲滅するのみ。


 ―おにごろし発動―


 俺は神人化し、光葬針を出す。そして、それらを武者の形に変え、そいつらと共に辺りにいたオウガ達を倒していった。


 辺りに生きているオウガが居なくなったことを確認し、俺は一息つく。武者たちにオウガの死骸を集めてもらい、異界の袋にオウガロードとオウガジェネラルの死骸と共にすべて収めた。やはり結構居るなあ。100ってことは無い。

 後できちんとした数字が出れば良いのだが、こういうところもクレナならではかもしれないな。ギルド支部と騎士団が同じ街に無いということは、それだけ連携が取れないということ。

 調査団による報告もどこかで食い違っているのだろう。まあ、俺にとっては雑魚だったからまだ良かったがな……。


「さて……と。次はワイバーンか、噴滅龍か……」


 そして、オウガの群れを殲滅した後、俺は火山の頂上へと向かった。


 火山への入り口は山の中腹にある洞窟からだった。火山は有害な瘴気を発することもあるが、俺には状態異常完全耐性のスキルがある。問題ないようだ。

 ただ、奥へと進んでいくとやはり熱いな。そこらから溶岩が噴き出していたり、川のように流れて居たりしている。こういうところに火炎鉱石とかあるのかな、と思ったりもして、時々鑑定眼を使っているが、それらしきものは無い。

 代わりにいくつか素材になりそうな鉱石を見つけたので、それらを異界の袋の中に入れながら進んでいく。


 そして、しばらく行くと天井が高くなっている場所に辿り着いた。いや、高くなっているというか、吹き抜けになっているようだ。風を感じる。上を見上げると、空が見えた。ああ、やはりそうか、と辺りを見渡す。

 すると、たくさんの魔物や人間の骨が見つかった。そして、そばにはワイアームのような魔物が四匹居る。とりあえずそいつらを斬り、鑑定で視ようとした。その時、


「ギシャアアアアアッッッ!」


 何かの声が上から聞こえた。ハッと上を見ると、赤い鱗の龍が舞い降りてきていた。そいつは、口を大きく開き、そこから炎を吐き出した。

 慌てて避けると、炎は俺の後ろにあった岩の壁に当たった。当たった部分は赤く灼けている。すごい温度だな、と思い無間を構えた。ドシンっと着地するそいつを鑑定眼で視てみる。


 ……


 レッドワイバーン

 火山や砂漠など暑い地域で生まれ、育ったワイバーンの亜種。常に熱気を纏い、生活する。体内に発熱器官というものがあり、そこに熱を蓄えている


 ……


 おっと……予想通りの結果だな。探す手間が省けた。俺は雄たけびを上げるワイバーンに突っ込んで行く。前にワイバーンと闘ったときはこの世界に来て直後ということもあり、状況確認も含めて、ゆっくりと闘ったが、今は違う。そんなことする必要は全くない。やられる前にやるだけだ……。


 俺は、再度繰り出された炎をすべてをきるもので斬る。ついでに、そこらを飛んでいたワイアーム達を斬った。

 すると、ワイバーンは翼を広げ、上空から爪の連撃を繰り出してきた。熱気を纏っているということもあり、奴が羽ばたくたびに熱風が襲ってくるが、ギリアンの作った着物と外套のお陰で特に何ともない。ただ、熱いなあというくらいだ。

 そして、爪の連撃を躱し、俺は壁伝いに跳躍、ワイバーンの上をとった。狭い洞窟内ということもあり、ワイバーンは身動きが取れず、ガラ空きの背中を俺に見せている。俺はそのまま落下しながら、ワイバーンの首を刎ねた。


「終わりだッ!」


 ドシンッと落下するワイバーンの胴体と頭部。俺も着地して、ワイバーンの死骸を異界の袋に入れようとした。


「……ん? 何だ?」


 胴体部分をよく見ると、腹のあたりでボコボコと音が鳴っていた。よく見ると、何かすごく熱いものが周りの血や肉を焼いている。先ほどの音は沸騰した水が泡ぶくように、ワイバーンの血を沸騰させている音だったみたいだ。

 俺は慌てて無間でそれを斬った。すると、血は沸騰するのを止めて静かになる。恐らくあれが鑑定に出ていた発熱器官なんだろうなと思いながら、ワイバーンの死骸を異界の袋に収めた。

 一応斬ってしまったが発熱器官も入れた。もう熱は放出していないが、何かに使えるかも知れないからな。

 その後、そこらに転がっていた人骨を地面に埋めて、簡単な墓を作ってやった。まあ、墓参りはこれっきりだろうし、またここに魔物が住み着くかもしれないから意味は無いのかも知れないがな……。

 名も分からぬ亡骸にせめて、と思い手を合わせ、俺は洞窟を進んだ。


 その後、しばらく進んでいくと、洞窟の出口が見えた。出ると辺りは広く、そして、洞窟のあちこちから流れていた溶岩が溜まっている火口が見える。資料によれば噴滅龍は溶岩の中に居るという。

 居るとすればあの中だが、どうやって引きずり出そうか、と頭を抱える。流石に入るわけにはいかないからな。


 取りあえず、火口に向けて、何発か斬波を撃った。しかし、反応は無い。そればかりか、溶岩が俺に飛び散ってくる。慌てて無間を回転させて、それらを防いだ。

 どうしたものか、と頭を抱えていると、ある案が思いつく。俺は無間を構えて、辺りに殺意を振りまいた。……これ、難しいんだよな。よくやるんだが、理屈を説明するのは難しい。正直自分でもよくわかっていないからな。何せ殺意を向ける相手が居ないわけだから。

 こういう時は視界に入るもの全てを叩き斬るという思いにならなければいけない。そうやって、辺りに殺気を向けていくが、特に何も反応はない。てっきり、殺気に驚いて姿を現すかと思ったんだがな。少し遠くで鳥が羽ばたいたくらいだ。関係あるかどうか微妙だがな。……やはり難しい。まともな状態でできるものじゃないか。


 さて、どうしたものかと頭を捻っていると、あることが思い浮かぶ。とりあえずやってみようと思い、俺はスキルを発動させる。


 ―おにごろし発動―


 神人化が完了し、光葬針を出す。そして、七体の武者を作った。そいつらに溶岩の中へ飛び込んでもらおうと思ったのだ。光の武者たちは次々と溶岩の中に入って行く。

 お……どうやら消えないみたいだな。そのまま、しばらく待つと、溶岩だまりの中央の方がボコボコと盛り上がり始め、波打っている。目を向けると、そこでは武者たちと何か巨大な生物が闘っている様だった。

 そいつは全身を黒い外殻で覆われており、巨大な牙を生やした、大きなトカゲのような魔獣だった。翼は無い代わりにワイバーンなどに比べて手足が頑強である。目を見張るのは背中に駱駝のように山のようなものがある。

 そこからはちらちらと溶岩が溜まっているのが見えた。あれ、噴火とかするのかな……。などと思っていると、そいつは声を上げる。


「ギャオオオオオッッッ!!!」


 何やら苦しんでいるようだ。ひょっとして、俺の光葬針の攻撃が強すぎるのか? あそこで倒されたら素材回収どころではない。俺は光葬針を自分の傍まで戻し、棒の状態に戻した。

 すると、そいつは俺の方に目を向ける。そして、俺に威嚇の咆哮を上げた。……まあ、一応と思って鑑定スキルを使う。


 ……


 噴滅龍

 火山に潜む極めて獰猛な魔龍。火山の力を取り込み何千年も生き続ける。背中に背負った火山の噴火は辺りを焦土と化すほどの威力を持つ。別名・災禍の魔龍


 ……


 うむ……やはり、噴滅龍だったな。危険度も折り紙付きみたいだ。あの背中からの攻撃には要注意だな。俺は無間を構える。すると、噴滅龍は口を大きく開けた。

 そして、そこから高密度に圧縮された炎を射出する。ワイバーンやミサキの作り出した魔龍の比じゃないくらいの熱波が襲ってくる。あれはまともに受けるわけにはいかない。


 ―すべてをきるもの発動―


 スキルを発動させ、その攻撃に現れた切れ目を斬波で斬った。すると、攻撃は霧散し、無くなった。噴滅龍は、今度は俺めがけて直接突進してくる。顎を低く構え、生えている大きな牙を俺に向けてしゃくりあげてきた。


「オラアッ!!!」


 俺はそれを無間で受ける。だが、やはり体重差があり、俺は吹っ飛ばされそうになった。そこで、翼を広げ、俺は上空へと飛ばされる方向を変える。噴滅龍の顎はそのまま振り抜き、俺は上空へと飛んで距離を置いた。

 すると、噴滅龍は俺に背中を向ける。正確には背中についている火山の噴出口だ。やばい! 俺は、すぐさま無間を構えなおし、力を溜める。そして、噴滅龍はどっしりと構え咆哮を上げた。


「グオオオオオッッッ!!!」


 それと同時に、背中の火口がボコボコとあぶくと同時に、強烈な噴火の攻撃が俺めがけて放出される。火柱だけでなく、細かな岩などもいくつか噴出されていた。スキルで見える切れ目を確認し、俺は無間を振り下ろした。


「奥義・無尽ッッッ!!!」


 視界に映る全ての切れ目に向かって、斬波を放っていく。斬られた岩や炎は俺に飛び散ってくるが、そこは光葬針を球の状態にして、周りを飛ばせることで、防いでいる。

 そして、この技は振れば振るほど威力が上がる技だ。最初は斬れるだけだったが、しばらく続けると、一撃で燃える大岩を粉砕できるくらいまで威力が上がっている。

 俺は噴火が収まるまで斬波を放ち続け、魔龍の攻撃が終わり、少し力が緩んでいた隙をつき、最大威力の斬波を纏わせた状態で、急降下する。


「ウオオオオオッラアアアアッッッ!!!」


 そのまま地面に着地し、魔龍の首元で無間を思いっきり振り上げた。特大の斬波が放出され、魔龍の首を刎ね飛ばす。その後も斬波は飛び続け、火山からもうもうと登っていく噴煙を裂き、空の雲を切り裂き、その後、轟音と共に炸裂した。


 ……あれ、大丈夫だよな。今までは飛び続けて威力が無くなると同時に消えていったが、炸裂するようになったとは……。いつの間にか、斬波も成長しているらしい。

 ……まあ、良いや。そして、魔龍の死骸に目を通す。改めて見るとデカいな。こんな奴が街に降りたら、高天ヶ原でも一撃で崩されるな、と苦笑する。

 とりあえず、死骸を異界の袋に収めて、空を見上げた。噴煙は斬波のお陰で今の間は晴れている。空の様子は……あ、もうそろそろ夕暮れだな。西の空が少し赤くなっている。


 今日の所はそろそろ帰ろうか。そう思い、俺は飛び立った。


 あっという間だったが、成果は、オウガの群れに、レッドワイバーン、そして噴滅龍か。まだまだ、アヤメから貰った依頼すべてってのは長そうだな。まあ、何とかなるだろう。


 さて、今日はもう疲れた。トウショウの里へは帰らず、近くの街に行って宿を見つけよう……。俺は飛び立ち、火山を後にした……。


しばらく、ムソウさん、無双の回が続きます

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