表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
92/132

92 家族

 玄関のドアを開けると、一人娘のマリが飛んできて出迎えてくれた。

「パパ、お帰りなさい」

「ただいま、今日はおりこうさんだったかな?」

「うん、おりこうだったよ」

 マリと話しながらリビングに向かう。

「あなた、お帰りなさい」

 妻がキッチンから笑顔をのぞかせた。

 今日も美しい。

 その美貌は何年たっても変わらない。

「ただいま」

 オレも笑顔を返す。

 オレは手にある袋をキッチンの食卓に置き、それから奥の部屋に行くと、いつものように背広から普段着に着替えた。


 リビングでは、マリがソファーに座ってテレビを見ていた。マリの隣に腰をおろし、あどけない横顔を見て思う。

――やっぱり家族はいいな。

 マリは仕事で疲れたオレを癒してくれる。オレは家族の大切さをあらためて思い知った。

「あなた、もう食べられるわよ」

 キッチンから妻の声がした。

「マリ、ご飯を食べるぞ」

「うん」

 オレはテレビを消し、マリを連れてキッチンへと向かった。


 夕食はマリが大好きなハンバーグだった。

 マリをはさんで、オレと妻がいつもの椅子に座る。

「マリ、いっぱい食べるんだぞ」

「うん」

 マリが嬉しそうにうなずく。

 おれは目の前の袋からカラアゲ弁当を取り出し、それを箸でつつく。

――こんな家族じゃ……。

 オレは淋しくなった。


 オレはリビングに行くと、壁に取りつけられたバーチャル家族システムをオフにした。

 その瞬間。

 光粒子の立体映像のすべてが消えた。

 キッチンでは妻とマリも消えているはずだ。

 オレはだれもいないキッチンにもどり、それからコンビニで買った弁当の残りを食べ始めた。

 そして食べながら思う。

――やっぱり本物の家族を持たなきゃあ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] まさかのバーチャル、面白かったです! 我が家は……リアルにこの状況がちょくちょく有り得ます(-_-;) 読ませていただき有り難うございました♪
[一言] 久々の星新一風ですね なろうのユーザーが、実は全部人工知能だったのがバレましたか?
[良い点] そんなに完璧なシステムではなかったのですね。 もっと技術が進んで完璧になったら、現実に帰れなくなるかもしれませんね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ