91 人生ゲーム
今日は雨が降っている。
出歩くのも面倒なので朝から飯も食わず、オレは自分の部屋にこもってパソコンでゲームをしていた。
人生ゲームというものなのだが、主人公が生まれたときから始まり、百歳で死んでゴールとなる。つまり主人公を成長させていくゲームで、スタートは男女の二通り、すべて同じ赤ちゃんから始まる。
オレは半年以上かけ、主人公の男をやっと三十歳を超えるまでに成長させた。
途中、主人公は数え切れないほど死んだ。
風邪をひいては死ぬ。
ブランコから落ちて死ぬ。
いじめにあって自殺する。
交通事故で逝く。
ほんと、どうしようもないほどあっけなく死んでしまい、主人公が死ねば、そこでゲームオーバー。スタートから再スタートとなる。
ゲームオーバーを避けるだけで精いっぱい、立派な男に成長させるなど至難の技。オレは始めこそ一から再スタートをしていたが、一週間もすると死んだ時点からスタートできるリセット機能を使い始めた。
バカ正直にやっていると、百歳のゴールまで何年かかるかしれないのである。
主人公はまったくさえない男になっていた。
半年ほど前に会社をクビになり、それからは仕事をしないニート生活である。一緒に暮らす母親に手伝わせて仕事をさせようとしたが、働くどころか部屋にこもってゲームばかりしている。
ここは無理はできない。あまり刺激をすると、男がうつ病にでもなって自殺をしたら、即ゲームオーバーになってしまうのだ。
それで今はあたらずさわらず、男の好きなようにさせて、しばらくようすを見ているところだ。
「お昼ごはんよー」
階下からオフクロの声がした。
――もう昼か……。
腹がへっているのもあって、オレは飯を食うためにゲームを中断した。
キッチンへ行く。
オフクロが食卓に座ったオレに向かって言った。
「あんた、なに考えてるの? 半年以上も仕事をしないで、部屋にこもってゲームばかりして」




