49 異国の男
その若い男は、はるか遠くの地からこの国にやってきた。
村人たちは長ヤリを空に突き上げながら、男のもとに走り寄り、手荒くも盛大に出迎えた。
ところが……。
男は携帯していた光線銃で村人を攻撃した。この国の歓迎の風習を知らなかったため、自分を襲ってきたのだと勘ちがいをしたのだ。
男は捕えられ、ただちに裁判にかけられた。その結果、その国ではもっとも重い百年の刑期が男に言い渡された。
刑務所では、悲惨な生活が彼を待ち受けていた。
過酷な労働と最低の食事。
だが男は、生まれもっての屈強な精神と肉体で耐え抜いた。
それから五十年。
男は七十歳となっていた。
屋内労働に移されたが、過酷なことになんら変わりはなかった。だがここでも耐え続け、模範囚として働く日々を過ごす。
ついに男は百歳となった。
このとき長期にわたる模範囚により労働は免除となる。しかし刑務所内の暮らしは、あいも変わらず劣悪なものであった。
百七歳を迎えた日。
男の環境が大きく変わった。
待遇が一変し、それまでの集団部屋から個人部屋へと移されたのだ。さらに男のために栄養士と医師までついた。
わけをたずねると……。
この地方の最高齢者――長者番付で東の横綱になったからだと教えられた。
百十三歳。
男はこの国の最高齢者となっていた。
待遇はそれまで以上に向上し、部屋にはふかふかのベッド、エアコン、大型テレビがあり、食事には酒までつくようになった。
さらには専属の医師団と、なにもかも快適な生活が始まった。
男は百十七歳となった。
刑期終了までわずか三年を残すのみ。
近ごろの男、夜空をあおぎ見ては涙を流すことが多くなっていた。
はるか遠い地で暮らす父と母、そして兄弟たち。
男は望郷の念にかられていたのだ。
この年、ついに世界の最高齢者となり、ギネスブックのトップを飾った。
百二十歳。
長かった百年の刑期もついに終り、男のためにささやかな出所祝いの宴が催される。
ほろ酔いかげんの男はひとりベランダに立ち、星のまたたく夜空を見上げていたが……やおら腰に両手をあて大きくうなずくと、
シュワッ。
ひと声発し、家族の待つ故郷――ウルトラ星に向かって飛び立ったのだった。




