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35 ママ探し
絵本の読み聞かせが児童館であるというので、そろそろ幼児教育にと、二歳になる息子をそこへ連れていった。
読み聞かせのコーナーには、すでに数人の幼い子供たちが集まり、ボランティアの女性を前にして座っていた。
読み聞かせが始まる。
「ママを探してねー」
女性ボランティアが絵本をかかげて見せ、大きな声で子供たちに問いかけた。
絵本のタイトルは「ママをさがそう」である。
最初のページが開かれた。
子ゾウがいて、母ゾウとほかの動物がいる。ママの母ゾウを探すゲームのようだ。
子供たちがいっせいに母ゾウを指さした。なかには立ち上がって絵本のそばまで行く子もいた。
そんななか。
息子だけがボーとしていた。一人だけ、ほかの子供たちのすることを見ているのだ。
「はーい。みなさん、よくわかりましたね」
女性ボランティアが笑顔でページをめくると、次のページはパンダ探しだった。
子供たちがまたいっせいに指さす。ところが、息子はあい変わらずキョトンとしている。
――わからないのかしら?
心配していると……。
「ママー」
息子がどの子よりもいち早く叫んだ。
うれしそうに目を輝かせ、絵本の一点を確実に指さしている。
――まあ!
絵本は次のページに移り、そこにはピンク色の丸々と太った母ブタがいた。




