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34/134

34 タンポポ

 会社帰り。

 冷たい風の中、あなたは道端に咲くタンポポの花を見つけ足を止めました。

 座り込んで黄色い花を見つめます。

――そうか、もう春なんだな。

 あなたは春の訪れを知り、仕事で疲れた心が癒されていきました。

――これ、食えるんだったな。

 ふと、友人からタンポポが食べられると聞いたことを思い出します。

――うまいかも?

 あなたはそれを食べてみることにしました。

 根元から器用に摘みとり、カバンに入れてアパートに持ち帰りました。


 アパートに帰ったあなたは、さっそくタンポポを手にキッチンに立ちました。

――さて、どうやって食うかな?

 そんなことを考えながら、とりあえず口に入れやすいサイズに切り刻んでゆきます。

 刻み終えたところで、ひとつアイデアがひらめきました。

――そうだ、お粥にして食おう。

 春の七草粥のように、野草はお粥に入れたら美味しいのではと思ったのです。

 ですが、この日。

 あなたはとても疲れていました。

 それにご飯もありません。

 これから米をといで、炊飯器にセットして、ご飯を炊くのは面倒です。

――あれに入れて食ってみるか。

 あなたはカップラーメンを取り出し、すぐにお湯を沸かしました。それからカップラーメンのフタを開けて、その中にタンポポを入れました。

 お湯を注ぎます。


 三分間が過ぎました。

――うまそうだな。

 あなたは麺よりも先に、まずタンポポの葉っぱをつまんで食べました。

――まずい!

 おもわず口から葉っぱを吐き出します。

 それは思った以上に苦く、とても食べられたものではありませんでした。

 カップの中のタンポポを箸でつまみ出し、あなたはこんなことを思いました。

――春はまだ遠いのかも……。


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― 新着の感想 ―
[一言] 昔、義父が”山わさびだ”といって、ひっこぬいた根が、実はタンポポの根でしたww。実際の山わさびとは、全然違うのに、何を考えてたのかw お腹がすいて、ご飯がない・・・、春は遠いんですね。
[一言] 二人称で書かれた作品、めったにないですね。 とても新鮮でした。が、三人称が、神の目で、相手の気持ちなど書いていけるのに対して、二人称は、ひとつふみこみにくいような…三人称的な感覚なのでしょう…
[一言] 面白く拝読させていただきました。 私はコーヒーが好きなのですが、昔アルバイト先の近所の喫茶店の外に「たんぽぽコーヒー」あります、という貼り紙があって、それが気になって飲みに行ったのですが………
感想一覧
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