34 タンポポ
会社帰り。
冷たい風の中、あなたは道端に咲くタンポポの花を見つけ足を止めました。
座り込んで黄色い花を見つめます。
――そうか、もう春なんだな。
あなたは春の訪れを知り、仕事で疲れた心が癒されていきました。
――これ、食えるんだったな。
ふと、友人からタンポポが食べられると聞いたことを思い出します。
――うまいかも?
あなたはそれを食べてみることにしました。
根元から器用に摘みとり、カバンに入れてアパートに持ち帰りました。
アパートに帰ったあなたは、さっそくタンポポを手にキッチンに立ちました。
――さて、どうやって食うかな?
そんなことを考えながら、とりあえず口に入れやすいサイズに切り刻んでゆきます。
刻み終えたところで、ひとつアイデアがひらめきました。
――そうだ、お粥にして食おう。
春の七草粥のように、野草はお粥に入れたら美味しいのではと思ったのです。
ですが、この日。
あなたはとても疲れていました。
それにご飯もありません。
これから米をといで、炊飯器にセットして、ご飯を炊くのは面倒です。
――あれに入れて食ってみるか。
あなたはカップラーメンを取り出し、すぐにお湯を沸かしました。それからカップラーメンのフタを開けて、その中にタンポポを入れました。
お湯を注ぎます。
三分間が過ぎました。
――うまそうだな。
あなたは麺よりも先に、まずタンポポの葉っぱをつまんで食べました。
――まずい!
おもわず口から葉っぱを吐き出します。
それは思った以上に苦く、とても食べられたものではありませんでした。
カップの中のタンポポを箸でつまみ出し、あなたはこんなことを思いました。
――春はまだ遠いのかも……。




