30 呪いの物語
本編を読む前に忠告をいたします。
それは、これが呪いの物語だということです。
あなたがもし最後まで読んでしまったら、とても恐ろしい呪いがかかって死んでしまうのです。
ですので。
死にたくないと思う人は、ここで読むのをやめることをおすすめします。
それでもあなたは読むのですね。
まあ、いいでしょう。
物語は始まったばかりです。
終わりまで読まずに、どこか適当なところで切り上げればよいのです。それさえ守ってくだされば呪いはかかりませんのでね。
再度、忠告をいたします。
必ずどこかで読むのをやめてください。
半分ぐらいの方が読むのをやめてくれたなか、まだ読んでいる方がいますね。
――なんだ、この話は?
そんなことを思いながら、今も読んでいるあなたに教えます。
この物語は長くはありません。
読んでいるうち気がついたら終わっていた。
そんなこともあります。
ですので、ここらあたりで読むのをやめるのがよかろうかと思います。
何事も早めというのがよいのです。
――しまった!
そう思ったときは、もうあなたは遅いのです。
書いている私だって、人殺しなんかになりたくはありませんのでね。
おや、おや。
あなたは私を殺人者にしたいようですね。
それはあなたの勝手ですが、さすがにここまでくれば私も心配になってきます。
――なんのことはない。どこかで読むのをやめてしまえばいいんだろう。
そう思っているのかもしれませんが、そんなあなたはすでにこの物語の虜になっているのです。
ですから、ここに至っても読んでいるのです。
あらためて忠告します。
この物語はそれほど長くはないのです。
すでに半分を超えているのです。
これは最後の忠告です。
ここで読むのをやめてください。
忠告を無視して読み続けている、あなた。
こまった人です。
ほんとにこまった人です。
私は殺人者になりたくないのです。
あなたに死んで欲しくはないのです。
そこで私は考えました。
どうすれば私が殺人者にならずにすむか。
どうすればあなたを殺さずにすむか。
で、名案を思いつきました。
あなたが読み続ける限り、私が書き続ければよいのです。そうすれば、あなたも最後まで読むことはできませんのでね。
この物語を永遠に書き続けます。
まだ読んでいる方へ。
申し訳ありません。
やはり、ここで読むのをやめてください。
お願いします。
読むのをやめてください。
よくよく考えるに、物語を永遠に続けることなんてできるわけがないのです。
まだ読んでいるのですか。
私の話を信じていないのですか。
それとも。
命知らずというか、根っからの天邪鬼というか、どうやら本気で私を殺人者にしたいようですね。
あなた自身も死んでしまうというのに。
いよいよ私は、この物語を終わらせることができなくなりました。
でも、それは不可能なことです。
それはあなたもおわかりでしょう。
それでもあなたは今も読んでいるのです。
こまりました。
ほんとにこまりました。
ではせめて物語を完成させな




