そして、夏が始まった。
「ふーんふーんふふふーん♪」
街の古びている寂れた廃工場の中に、鼻歌が響いた。
「どうしたの、今日気分いいじゃん」
「え!わかる??あのね、楽しみなのぉ!」
「何が…?」
「知ってるくせにぃ…ほら例の運命の相手♡」
「あぁ、あのアビ校の…、でも程々にしないとこの廃工場に集まったヤツらみたいになるぞ、」
「それもそれで、愛せばいいじゃない♡」
「…はぁ、程々にしなよ」
「はーい! ふふふっ待っててねテータちゃん♡」
―アビ校 1-A組の教室
「ねね!テータくんって言うんだよね!前の戦い見たよ!」
と1-A組のクラスの大半はテータの前に人が群がってあれやこれやと質問する人が増えた、これも全てMOJとの争いの時、テータが戦ってる姿を見ていたからだ。
今まで、誰一人も声をかけるような事はなくそれどころか、あいつとは関わってはダメだというムーブが流れており、話しかけられることが少なかったテータからすると困惑するしか無かった。
もちろんその声をかけられる対象はテータだけではなかった。
「もしかして、ナキアさんの能力って変身だったりする?」
「ばか!絶対そうじゃないだろ!あれとか美女化とか?」
「あー、えっと…。」
「あ!わかった! 美魔女化だろ!ほらなんか魅力的なオーラ出してたし」
そう言いながらナキアが質問を返すまもなく失礼な質問ばかりしてくる男達もナキアの席に集まってた。
「「ところでさ!2人とも付き合ってるの??」」
同タイミングで、テータに質問してた女子とナキアに質問してた男子が、声を合わせて質問をしてきた。
「あー、えっと…」
顔をすごく赤くしながら、ナキアはその質問に少し恥じらいながら顔を俯いてしまった。
「付き合ってないよ。多分これからも付き合えないと思う。」
とテータはまるで何も見てないような表情で質問してきた女子の目と男子の目を交互に見つめて返した。
その発言に何故か、ナキアは胸が少しズキっと痛く感じたが、そっと顔を机に伏せた。
ザワザワとしていた教室がテータの回答一言で、一気にシーンと静まり返った。
「ガラガラガラ」
静まり返っていた教室にドアが開く音だけが鳴り響いた。
「はい、お前ら〜 自分の席に座れーってなんだ? やけに静かだな」
と全てを遮るように担任の笛田の声が静かになり止まったような空間を動かした。
笛田の声と同時にみんなはそれぞれ席に着き始めた。
「お前らー今日から夏休みだがー、」
とホームルームが開始されたが、その声はテータとナキアの頭には届いてなかった。
テータは咄嗟に発言してしまった言葉を取り消したく感じて、隣を向きながら手をナキアに近づけようとするとそこには 机に顔を伏せたまんまのナキアが見え、テータは自分の手をピタリと止めナキアに触れることなく、自分の元に手を戻した。




