38:天使と会ったんだ。
キルフィールはリトの目の前に来た時にピタッと止まった。その時ちょっとだけ背が縮んだように見えた。
多分実際は、少しだけ宙に浮いていたから、地面に足つけたことにより、差が生まれただけだと思う。
「地界の人とは気が合わないから、少しでも一緒に居ると、こうやって相手に支障をきたすんだよねー」
キルフィールは少しため息を吐いて、リトのポケットから何かを取り出した。
「これ、私の電話番号ね。一緒に居なきゃ問題ないから」
そう言いながら勝手にリトのスマホに電話番号を登録させた画面をキルフィールは見せた。
一瞬だけ見えた、電話番号は明らかに地上のものではないのがわかった。
動きたくても動けない、声も出ない現状にリトは震えることしか出来なかった。
「じゃあ、これ返すねー」
そういいながら、キルフィールはリトのポケットにスマホを戻した。
「じゃ、これ以上は本当に気を失うかもしれないし、またね!」
キルフィールは背中に隠してたのか、水色に光る翼を生やして、天高く飛び上がった。
空中に浮いたまま、キルフィールはリトに手を振って、まっすぐ横に飛んで行った。
その直後、リトの身体は徐々に動き始めた。
「近づくな!!」
キルフィールに対して、言いたかった発言が今更、言葉として出てきた。
リトは慌てて出た声を塞ぐように口を手で被った。
(キルフィール…だったけ?)
リトは自分のスマホをポケットから出して、電話番号を確認した。
「767-999-111…?」
やはりこの世とは思えない番号にリトは不信感を持ちながら、番号を呟いた。
そのまま、リトはスマホでキルフィールという名前を検索した、がその結果当然分かってはいたが、見当たらなかった。
リトは疲れた顔のまま、その日は帰宅した。
あの天使キルフィールとの出会いが、MOJ崩壊のきっかけと、この時は知らずに。
そして、時は現代の少し前、5月の出来事となる
―MOJ基地内
「ピコン。」
リトのスマホから通知がなった、メッセージが来たと思わしき音だ。
メッセージを開いて確認するとこう描かれていた。
『リトマス紙くんへ 愛しのキルフィールちゃんからのメッセージです☆ 今年の6月、転校してくる少女がいるのよ…。その子の能力は悪魔になる能力【DEMONIZE】、は今は封印されてるけど、いつか封印が解かれるかもしれない。そうなれば、例の事件が再発してしまうかも…。そうなる前に、その子の能力のきっかけとなる仮面を破壊して欲しいの!お願い?正義のMOJさん。』
との事、リト達は最初から信じるつもりはなく、その日はそのメッセージを既読無視して、放置することにした。
が、6月の始まりになって1年生の転校生が来たことによりMOJはキルフィールのメッセージが本当だと理解した。




