37:キルフィール
「私!天使のキルフィールといいます、よろしくね」
キルフィールはリトに対して裾を少しめくりながらお姫様の挨拶のような仕草をした
「キル…フィール?」
聞いた覚えのないセリフにリトは復唱した。
「天使のくせに名前にキルって名前ついてんの皮肉やな、」
そう嘲笑をするリトに対してキルフィールはニコニコしたまま
「そちらだって、リトマス紙みたいな名前してるけど人間でしょ?」
と微笑み返した。
「なんや、お前」
リトがそう言って少しピリついた空気がそこに走る。
「やめといた方がいいよ?天使と喧嘩なんて勝てないんだから、人間様の命はひとつしかないんだよ?」
そう言いつつもキルフィールの指の先から水色に光る何かが、丸い球体の状態で留まってるのが見えてわかる。
リトは1歩でも動いたらあれを放たれると理解した。
「すまんな、挨拶がわりの人間なりのしょうもないジョークのつもりやったんや、堪忍してや?」
そう言いリトは両手を上にあげて、戦う気はないと言う姿勢を見せた。
「あ、なんだ〜、良かったー。コレ放つところだった〜」
そういいながらキルフィールは指先の水色の球体を口元まで指と一緒に近づけて、息を吹きかけた。
その瞬間水色の球体はキラキラと光りながらチリのように消えていった。
(こいつ、本気やったな。)
リトは察してた、この天使、天使とは名乗っているもののどちらかと言うと悪魔側の思考を持っているんだと。
「自己紹介、まだやったな、ウチ」
「知ってるよ、カネヅくんから聞いてる。」
リトの自己紹介を遮るようにキルフィールは声を出した。
「私は予言と悪魔の気を察知することが出来る力を持っているの!」
そういいながら、にこにこした顔で淡々と自己紹介するキルフィールだが、リトは段々と何を言ってるのか、何を話してるのか、分からなくなってきている。
(なんだ、これ…身体がゆっくり動く…。)
リトは手をグーにして開いてを繰り返すが、その行動すら遅く見える、段々と意識が遠のいていくように感じた。
「パチン!!」
いきなり聞こえた大きい音が耳に響きわたり、リトは閉じかけていた瞼を開けた。
目の前のキルフィールの格好からするに、指パッチンをして鳴らしたのだろうと思われる。
「あぁ、やっぱ君も赤髪くんと同じかー…。」
そうブツブツ言いながら足を動かさずキルフィールは平行移動しながら近づいてくる。
その行動を見て、リトは改めてこの人は人じゃないと認識した。
(近づくな!)
声を出したいが声を出せない、動こうと足を動かそうとするが、それすらもままならない現状に淡々と近づいてくるキルフィールに再びリトは恐怖感を感じた。
ありくらげ。です
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ではまた。




