28:突撃前夜
―数年後 MOJ秘密基地内
リトはボロボロだった。
たった一人の少女にそうさせられたとの事
ハンテは昨日のように思い出す。リトはリーダーだけではなく、自分も尊敬してたことを。
(バカ言うなよ。私だってずっと…尊敬してたんだ)
身勝手に失望して、身勝手に嫉妬する自分に情けなく感じながら、ボロボロになったリトを見つめる。
「そんな哀れな人を見るような顔で見るなや〜、」
リトは基地の中にあるソファーで横になっていた身体を半強制的に上げ、座り込んだ。
「哀れだろ、そんな女ひとりにボロボロになって」
ハンテは毒を吐くように冷たく呟いた。
その呟きにリトは少し笑みを零した。
「あんさんはそのままでいて欲しいわ」
そういうリトはまるで情けなく感じているのを見越してると思えるようだった。
「うちな、震えてんのわかる?」
そう言いながら震えてる片手をリトはハンテに見せる。
ハンテは小さくうなづいた。
「うち、今回、死にかけたんや リーダーからも相手には油断するなと言われてた。けどうちは油断してしまった」
リトは震えてる片手を込み上げてくる怒りで握りしめる。
「うち、怖くなったんや、戦うのが」
小さく俯いてリトは悔しさからなのか恐怖からなのか出てくる涙を目に浮かばせた。
「何言ってんだよ!リト!!」
ハンテはそんなリトになんとも言えないほどの気持ちを怒りを怒号に込めた。
「あんたは!うちの尊敬するライバルなんだよ!こんな所でへし折られるなよ!」
ハンテも目に涙を浮かべながらリトに語る。
「うち、もしかしたら、裏切るかもしれへんねん。」
震えながらリトは悲しそうな表情でハンテへと目線を送る。
「ハンテ、前にお願いしたこと覚えてるか?」
リトは今までとは違う主語でハンテを呼ぶ。
それはまるで昔の仲が良かった頃に戻ったような感覚だった。
リトは震わせる手でハンテの手を掴みながら
「お願い、うちを恐怖というものを裏切ろうとする思考を逆転させてくれへんか…。」
そう泣きながらハンテに縋る
ハンテはそんなリトを見つめながら、泣きながら
「【INVERT】」(逆転して…、)
そう唱えながら、紫に光る手をリトの頭に乗せて逆転させた。
ハンテは知っていた。思考を逆転させると身体に限界を迎えさせてしまうことを、リトもそれを理解してた。
ハンテはリトに自分自身を殺してくれと宣言されたのだ。
意識を失った状態のリトを泣きながらハンテは泣き叫ぶ。
そのうち恐怖も痛みも何もかも感じなくなったリトは笑いながら立ち上がり泣いているハンテに指を指し語りかける。
「あんさんなんか居なくてもうち1人で乗り込んだるあんな奴ら」
そうケタケタと笑うリトに、ハンテは苦しい胸と吐きそうな現実を抑えつけながら、朝を迎えた。
ありくらげ。です
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ではまた。




