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妖刀に魅入られしスケルトン 〜迷宮を支配し、無敵の軍勢を率いる《最強》の剣魔王〜  作者: 銀翼のぞみ
三章

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百二十三話 ウァラク

 厄介だな……グランペイルの《デモンズフレイム》を喰らってもそれを上回る再生能力を見て、そんな感想を抱くサヤ。

 グランペイルも苛立たしげに「……ちッ」と、舌打ちをしている。


「悪魔の炎でダメならば聖なる力です! かの者たちに祝福を……《エンチャントセイクリッド》!」


 右手を頭上に掲げ、高らかにその名を口にするリーリス皇女。

 するとサヤを始めとした前衛チームの得物に白銀のオーラのようなものが纏わりついた。


「これは……なるほど神聖属性なのじゃ」


 サヤの手の中でそれを理解するシグレ。

 闇色の刀身が聖なる光を纏う姿は何とも幻想的だ。


「神聖属性の力がどれほどのものか、試してみるか……《エンチャントウィンド・極》!!」


 嵐を彷彿とさせるような風を纏って凄まじいスピードでその場を飛び出したサヤ。


 一体のトロールと瞬時に距離を詰めると、斬――ッッ!!


 シグレによる一文字斬り繰り出しトロールの腹を鎧ごと横に切り裂く。


『ゲバァァッッ!?』


 全てのモンスターの弱点である神聖属性を帯びた鋭い一撃に、トロールが思わず叫び声を上げる。


 ダンッッ!


 その場を蹴って瞬時に距離を取るサヤ。

 追加の斬撃を見舞ってもよかったのだがここは様子見。

 神聖属性を纏った斬撃にどれほどの効果があるのか確認するためだ。


「……ふむ、やはり再生するか」


「そうじゃな、サヤ。じゃが明らかに再生スピードが落ちているのじゃ!」


 バックステップによる着地をしながら、そんなやり取りを交わすサヤとシグレ。

 そう、能力による傷の再生はしているものの、その速度は見るからに下がっているのだ。


「さすが勇者様ですね……ダーク、ヴァルカン、私たちも行きましょう」


「了解だ、ご主人!」


「暴れてやるにゃん!」


 三者一斉に得物を構えて駆け出す。


 ヴァルカンのバトルハンマーはもちろん、フランの聖剣はさらに聖なる光を増し、ダークの尻尾の先から伸びた《フレイムエッジ》も赤と白銀のコントラスでより激しい光を放っている。


 その向こうでは――


「ぐははは! 再生スピードが落ちればこっちのものなのだ!」


 グウェンがトロール二体と攻撃を撃ち合っている。


「アリサ! 俺が魔法スキルによる攻撃で隙を作る、イケると判断したら横や後ろからトロールに《円月閃》を放て!」


「了解です、グランペイルちゃん!」


 連携による作戦に切り替えるグランペイルとアリサ。


 少し前のアリサであればサヤに撤退を命令されていたであろう。

 しかし今は様々な戦闘の経験を積み、彼女は立派な戦士となった。

 愛する恩人であるサヤのために、神聖属性を帯びたその刀を一心に降るう!


「クッ……やはり勇者、厄介な力ねぇ?」


 この状況になってもまだ笑みを浮かべているベリアリウス、しかしその額にはわずかに冷や汗が浮かんでいる。

 数による有利があるとはいえ、徐々に追い詰められているこの状況に危機を感じ始めたようだ。


「エリアさん、今であれば私たちの攻撃も効果があるはずです!」


「了解です、リーリス様!」


 ミストルティン、それに魔導書を構え直す勇者と魔法使いの少女。

 サヤたちによる神聖属性を纏った近接攻撃によって、トロールたちの再生能力はもちろん、その回避能力にも影響が出ている。中〜遠距離攻撃を当てるのであれば今が好機だ。


 二人それぞれ聖なる矢、そして魔法スキルを放つ。

 戦況が敵味方乱れ始めたので二人が得意とする範囲攻撃やスキルは使えないが、着実に敵たちの勢いを落としていく。


(い、いよいよこのままではマズいわねぇ……?)


 サヤたちの想像以上の戦闘力に、少しずつ後ろの方へと後退し始めるベリアリウス。


 だが、そんなことを許すサヤではない。


 目の前のトロール一体を片付けるとその場を蹴り、身に纏った風の力と跳躍力を合わせてベリアリウスの方へと距離を詰める。


「ここまでだ」


 距離を詰めながらシグレを振り抜く動作に入るサヤ。


 斬撃による射程に入ると闇色の刀身を一気に振り抜き、そのままベリアリウスの首を刎ねる――はずだった……


 ガキンッッ!!


 そんな音が鳴り響く。


 ベリアリウスとサヤの間の空間から毒々しい紫色の刃が伸び、それがサヤによる斬撃を阻んだのだ。


 何だ、これは……? 突然の出来事に疑問を抱きながらも、サヤはその場から大きく飛び退き距離を取る。


 すると刃の伸びた空間が大きく歪んだ……そしてその中から――


「四魔族・ウァラク、か」


 シグレを中断に構え、空間の歪みから現れた存在――四魔族が一柱、ウァラクを睨むサヤ。

 トロールたちを追い詰めていたリーリス皇女たちにも、一気に緊張が走る。


「も、申し訳ありません! ウァラク様から直々に助けていただく、このような失態を……!」


 血の気の引いた顔で完全に焦燥した様子のベリアリウス。

 そんな配下に向け、四魔族・ウァラクが口を開く。


「……構わん、お前には実験を続けてもらわねばならん。ここは引け――」


「か、かしこまりました……ッ」


 体を震わせ、怯えた様子で後方へと引いていくベリアリウス。


 その姿を横目で見送ると、ウァラクは再び口を開く。


「雪山以来だな、侵入者たちよ……。今度は勇者もいるようだが、これ以上実験の邪魔をされては困るのでな、ここで排除する」


 そう言って、その体におびただしい程の邪悪なオーラを纏う。

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