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妖刀に魅入られしスケルトン 〜迷宮を支配し、無敵の軍勢を率いる《最強》の剣魔王〜  作者: 銀翼のぞみ
三章

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百二十二話 魔族の術師の片割れ

「これで終わりです!」


 そう言って、リーリス皇女が神聖属性の矢を射ると残りのリビングアーマーどもは跡形もなく消え去った。


 エリアが魔導書を閉じながらグランペイルに話しかけてくる。


「あなたが異界の悪魔というのは本当だったのね。リーリス様はもちろんだけど、あなたの魔法スキルも大したものだったわ」


「へへっ、Sランク冒険者パーティの一員にそう言われると、なんだか照れるな」


 エリアの言葉に、グランペイルは悪魔の姿で気恥ずかしそうに頬を掻く……そのタイミングであった――


「ふぅん? ……あれだけの数の鎧たちを殲滅するとは、ウァラク様のムルトニア山脈での実験を邪魔してくれただけのことはあるわね。それにその神聖属性の波動……その女は勇者といったところのようねぇ?」


 そんな言葉とともに、奥の方から一体の魔族の女が現れた。


「ベリトクルス……ッ!?」


 現れた魔族の姿を見て驚愕するアリサ。


 そう、その魔族の姿形は以前ムルトニア山脈で倒したベリトクルスそのものだったのだ。


 いったいどういうことだ……? 倒したはずのベリトクルスが現れたことを不思議に思いつつも、サヤはシグレを抜く。


「ククク……勘違いしないでおもらえるかしらぁ? 私はベリトクルスではなく、その双子の姉、名は〝ベリアリウス〟よぉ」


 悍ましい笑みを浮かべながらそう名乗る魔族――ベリアリウス。

 その言葉を聞き、フランもその手の中に聖剣を召喚しながらベリアリウスに問いかける。


「その様子を見るに、私たちあなたの妹……ベリトクルスを討滅したことを知っているようですね? 一人で出てきてわざわざ名乗ったということは、復讐が目的――といったところでしょうか」


「ククク……まさか、別に妹が倒されたことなんてどうでもいいわぁ。私はただ自分の研究成果を試したいだけよぉ?」


 顔に笑みを貼り付けたまま、フランの言葉に答えるベリアリウス。

 それと同時に指と指を弾き、パチン! と乾いた音を鳴らす。

 次の瞬間、ベリアリウスの周囲に幾十もの紫色に光魔法陣が展開された。


 その中から――


『ゲババババァァァァァッッ!!』


 耳障りな咆哮とともに、とある異形どもが現れた。

 体長は三メートルほど、丸太のような手足と醜い顔を持つ。

 全身に鈍色の鎧を纏い、その手の中にはそれぞれ大剣や戦斧、突撃槍などが握られている。


「シグレ、あれは何だ?」


「サヤよ、トロールじゃな。だが通常の個体とは細部が違う……恐らく魔族どもの手によって改造された変異体と見える」


 サヤの質問に彼の手の中から答えるシグレ。

 それを聞いたベリアリウスが「正解よぉ」とクツクツ笑っている。


「トロール、Aランクモンスターの中でも最上級に位置する存在、その改造個体が数十……ですが関係ありません。聖なる矢で殲滅するのみです!」


 高らかに声を上げながらミストルティンを構えるリーリス皇女。


 それとほぼ同時に、ベリアリウスが「行きなさぁい、バケモノども!!」とトロールたちに指示を飛ばす。


 ベリアリウスの声を聞き、トロールどもが一斉に『《邪王舞踏》!!』と叫ぶ。

 その体から禍々しい紫と緑の入り混じったオーラのようなものが噴出する。


「行く、ゾ……!」


「人間ども、殲滅……!!」


 呻き声のようなものを漏らし大きく踏み込む戦闘の二体。

 次の瞬間、ドゴォ……ッッ! と凄まじい音を上げながら目にも止まらぬスピードでサヤたちに急接近してくる。


 それを見たグウェンが「普通のトロールは桁違いのスピードなのだ!」と驚きを露わにしつつも、自分も巨槍を持って飛び出す。


 ガギン――ッッ!!


 トロールの持つ突撃槍とグウェンの巨槍がぶつかり合う。


 もう一体の大剣を持ったトロールは魔法使いであるエリアを狙うが――


「させないにゃん!」


 バトルハンマーを使い、ヴァルカンが迎撃する。


「《邪王舞踏》……恐らく身体能力を飛躍的に向上させる類のスキルですね、その他にも何かしらの効果を持っているかもしれません」


 体勢を整え直しながら、再びミストルティンを構えるリーリス皇女。

 後方のトーロルたち目がけ白銀の矢を射る……が――


「散開!!」


 彼女が矢を射るタイミングで新たな指示を飛ばしていたベリアリウス。

 トロールどもはそれぞれその場を飛び出し、矢による範囲攻撃を回避し切ってしまう。


 だが――


「《デモンズフレイム》!!」


 高らかにスキルの名を叫ぶグランペイル。

 数体のトロールの移動するであろう位置を予測し悪魔の炎を放つ。


『ゲバァァァァァ――ッッ!?』


 醜い叫び声をあげるトロールども。

 異界の上位悪魔の攻撃を喰らい、その存在を焼き尽くされていく……はずだった。


「なにッ!?」


 驚愕の声を漏らすグランペイル。


 その視線の先には焼き尽くされていくのを待つだけだったはずのトロールが、ニタァ……と笑みを浮かべ、そのダメージを〝再生〟していくではないか。


「どういうことだ……トロールに再生能力があることは知っていたが、俺の《デモンズフレイ》を喰らっては再生が追いつかないはず……はッ、まさか?」


 思考の途中で、とある可能性に思い至るグランペイル。


 その反応を見て、ベリアリウスが「御名答よぉ?」とさらに悍ましい笑みを浮かべながら語り出す。


「この変異体のトロールどもはねぇ、特殊なスキルを持っているの。身体能力の向上、そして再生スピードの向上……とかねぇ?」


 ……と。

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