31 謎の文字の正体。
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俺達は、シャナの後に続き洞窟の中を進んでいた。
洞窟内は地面や壁面が俺達が通るたび光を放つのでその神秘的な光景にエイラとルルミアは嬉しそうに俺の後に続いてくる。
だがしばらくすると、前方に洞窟内の光とは別に強い光が見えて来たかと思うと、その次には洞窟を抜けており、辺りには開けた場所が広がっていたのだった。
「到着したぞ、ここが我らの隠里だ」
へぇぇ!! 凄いなこれは!! これこそまさにファンタジーの世界そのものだ!!
先頭のシャナは俺達に目の前に広がる光景を見せつけるように両手を広げて見せる。
そこには、開けた場所に巨大な大木が一本立っており、その周囲にも大木と言える木々が数本立っていた。
さらによく見ると、木々の間を橋の様なものが無数にかけられておりそこを闇妖精族達が何人も行きかっていたのだ。
木の中に住居があるのか……。いや、これぞ妖精族って感じだな!!
「シャナ様! お戻りでしたか」
「ああ。里に異変はないな??」
「はい。里の周りのみならずルルムの森全域に警戒の目を張り巡らせていますが、異変があったという報告は入ってきておりません」
「そうか。何か異変があればすぐに知らせろ」
「承知しております。では」
シュッ……。 驚く俺達を横目に、シャナは目の前に現れた口を黒い布で覆ている他とは服装の違う闇妖精族の若者の報告を受ける。
若者も、報告を終えると瞬時にその場を後にしその姿は一瞬で見えなくなった。
これを後ろから見ていた俺は、こちらに戻ってきたシャナへと口を開いた。
「おい、何かあったのか?」
「ん?? いや、何でもない。さぁ、それよりも里に案内しよう! 久しぶりの客人だ、盛大にもてなそうではないか!!」
『おぉぉぉぉぉ!!!!!』
シャナは俺の質問に答えることも無く、俺の後ろにいるすエイラ、ルルミア、ルナ、そして闇妖精族達へと右手を上げ声を上げた。
すると、どこからともなく俺達の周りを取り囲むように隠れていた里の闇妖精族達が飛び出し、エイラ達3人、そして俺の手を取り目の前の木々へと進んでいく。
シャナの奴、話をはぐらかしたな……? でもこれで何か起きていることはなんとなく分かった。
あとでシャナにもう一度聞いてみるか。
「タイチ君……」
だが俺がそう思ったのも束の間、いつの間には背後に移動してきていたシャナは周りに聞こえないよう俺の耳元で呟いた。
「あとで話がある。今夜、皆が寝静まった頃に一番大きな中央の木、その頂上に来てくれ。お主ならだれにも見つからずに来れるだろ?」
「…………分かった」
フッ……。 シャナは俺の言葉に小さく笑うと、何もなかったようにエイラ達の元へと戻っていった。
あいつ、本当いい役者になれそうだな。いくつも表情があるみたいだ。
俺はシャナの全くつかめない本心に、少し気味悪さを感じるも彼らに引かれるまま目の前の木々へと進んでいくのだった。
その夜。
既に空には巨大な大小2つの月が光を放ち、眠りに包まれる隠里を見守っている。
「おいっ、もっと酒を持ってこい……、ムニャムニャ
」
「全く、どんな寝言だよ。しかも酒瓶を抱えながら……」
俺は座りこみ壁にもたれながら寝言を言っているファンネルに呆れながらも、その場を後にしようと立ち上がった。
木々の根元付近では、その日俺達を歓迎するため宴会が催されていた。
そのためあちらこちらに料理が入っていた皿や酒瓶が転がっており、また女性や子供たちは各々の家に戻っているが、後から遅れてやってきたファンネルにポスカだけでなく、闇妖精族の男達の多くが家に帰らず地面の上で眠りに落ちている。
俺は彼らを起こさないよう十分夜が更けるのを待った後、シャナが待っている頂上へと移動しようとしたがその瞬間、背後からの声で驚きのあまり体が動かなくなるのだった。
「タイチ様? どこへ行かれるのですか??」
「な、なんだエイラか、驚かさないでくれ……。別にどこにも行かない、ただ少し散歩しようと思ってな」
「フフフッ、嘘が下手ですね。シャナ様の所へ行くつもりなんでしょう? 昼間、シャナ様に耳打ちされてたのを見てましたから」
こいつ、聞かれてたのか……。つまり最初から知ってて起きてたんだな。
「はぁ……、それで? 知ってて俺に声をかけたってことは何か理由があるんだろ?」
コクッ。 俺の言葉にエイラは小さく頷く。
「私も一緒に行きます。シャナさんには私も聞きたいことがありますから。それとタイチ様にも……」
「…………そうか。その目をしているときのエイラはテコでも動かない時だからな。分かった、一緒に行こう」
「はい!!」
俺はいつもはどこか危なっかしいエイラだが、ここぞという時に見せる真剣な眼差しに彼女が意地でも付いてくることを悟りため息を付きながら同行を許した。
そして彼女の足と体を抱えると、身体強化の魔法を発動。一気に大木の上へと移動していくのだった。
「え、ちょっとタイチ様!! 恥ずかしいです!!」
「ハハハハッ、盗み聞きしてた罰だ」
「むぅぅぅ!!」
シュッ!!! エイラは俺にいわゆるお姫様だっこをされ恥ずかしさのあまり顔を赤らめ頬を膨らませるが、俺の笑みを見つめた後、少し嬉しそうに笑みを浮かべ返した。
だが大木の頂上へと移動していく俺の姿を見つめる人物が、もう1人地上にいたことに俺は気づいていない。
「チッ、あいつまで一緒に行ったか。まぁいい、チャンスはまだまだいくらでもある」
俺から寝息が起きないため、眠ったふりを続けエイラを攫うチャンスをうかがっていたポスカだが、結局エイラも一緒にその場を離れたため、この日に動くことを諦め不気味な笑みを浮かべながら自身も眠り付くのだった。
バサッ!!!!
俺は何とか大木の頂上まで到達すると、頂上にある一本の枝の上に立った。
枝と言ってもその太さは人間の足程もあるのだが、そこで頂上を見渡した俺は、一つの人影を見つけその場に移動。
そこには約束通り、4畳程の大木の切り口に腰を下ろしているシャナの姿があった。
「タイチ君、おや、エイラ君も一緒だったか」
「フッ、あんたの事だ。どうせエイラに聞こえるように話したんだろ?」
俺の言葉にエイラは驚いたような顔を見せたが、シャナは小さく笑み浮かべた後、俺達にも座るように促した。
そして俺とエイラが中央にある焚火を挟むように対面に座ったのを確認したシャナは、焚火に枝をくべながら話始める。
「流石はタイチ君だ。その通り、あの時私は確かにエイラ君に気づかれるように君に耳打ちをした。エイラ君にもこれから話すことは知っていて欲しいからな」
「…………それで? 話ってのはなんなんだ??」
「ハハハハッ、まぁそう焦るな。これからはお互い腹を割って話をするんだ。君も正体を私に見せてくれるかな?」
「なっ! どうしてタイチ様の正体の事を…………??」
やっぱりな、こいつ俺が人間じゃないことにも気づいてたんだな。
ヴォォォォ…………。エイラはシャナの言葉に少なからず驚いたようだが、俺は顔色一つ変えず小さく息を吐くと右目を覆うマスクを外した。
そして死者の反逆を解除し、一瞬周囲を風が包み込んだかと思うと次の瞬間にはエイラが初めて会ったアンデッドの姿へと戻っていたのだった。
「ほう、アンデッドだったか。なるほどな……」
「俺が人間ではないことは気づいていたんだろ? だから最初にエイラ達を滝の中に招いて俺にここが魔法を洗い流す場所だと教えた。そして、エイラの服が魔法で作られたものだと部下に教え、俺の服や鎧もその可能性を示すことで魔法洗いを受けずに済むような状況を作り出した、違うか??」
「フフフフッ。そこまで見破られていたか。その通り、君達には聞きたいことがあった。だから一芝居打ったということだ。まぁ、正体がまさかアンデッドとまでは分からなかったがな」
「フッ、それでエイラの服を魔法と知っててわざと消したんだから怒られても仕方ないな」
ハッ! ここでエイラもやっぱり自分の服がシャナによって意図的に消されたことに気が付き軽蔑の眼差しをシャナへと向ける。
だが、エイラは怒りながらも、ある疑問が浮かび上がった。
「やっぱりわざとだったんですね!! …………でもあれ? シャナさんはどうして私やタイチ様の服が魔法で作られたものだと分かったんですか? それにタイチ様が魔法で正体を隠していることも」
「申し訳なかったなエイラ君! あの時はああするしか思いつかなかったのだよ。 ……ハハハハッ、それはだな、私にはスキル 魔眼というものがあってな。これは魔力の流れを可視化するもので、目に見えない魔法も見通すことが出来る。だから君達が魔法を纏っていることにはすぐ気が付いたのだ。 そのように変装する理由は正体が気づかれたくない、私はそう考えあのような芝居を打ったのだが、迷惑だったかな??」
「い、いえ。そのような事は……」
すごい……。この人、こんなことを瞬時に考えて動いていたなんて……。変態だけど。
エイラは笑みを浮かべるシャナの考えの深さに、言葉を失うのだった。
「それでタイチ君。君に聞きたいことがあると言ったな?」
「……ああ。俺も正体を見せたんだ、今度はあんたが話してくれ。 一体何を聞きたいんだ?」
「……君はどうしてこの文字が読めるんだ??」
俺に視線を戻したシャナは、懐から小さなメモ帳の様なものを取り出しその中央を開き俺に見せてきた。
そこには、その遺跡で見た文字がびっしりと書かれており、所々にはシャナのものと思われる文字で見つけた場所なども書き込まれている。
これはあの遺跡とミストール遺跡に会った文字か……。でも俺もなんでこの文字が読めるのか分からないんだよなぁ。
あの時も自然と口から出て来たし…………、いや、ちょっと待てよ??
(スキル 習得者が発動。 魔法書を選択してください。)
俺は習得者を発動すると、しばらく膨大な魔法書の中を探しまくった。
そしてようやくある魔法書を見つけ出すと、それを選択。目の前に出現させる。
「……あった、あった。俺がその文字を読めるのは、多分これのお陰だと思うぞ?」
「こ、これは太古に失われた書物?! タイチ君、これを一体どこで?? いや、それよりもどこからこれを??」
「俺はミストール遺跡に住んでいたからな、そこで見つけたんだ。それとどこから出したかは、まぁ秘密だ」
「ミストール遺跡……、なるほどな」
シャナはミストール遺跡という言葉に納得したのか、小さく頷くと俺から手渡された魔法書を受け取り食い入るように目を通していく。
そこにはあの遺跡に書かれている文字がいくつも書かれており、魔法書の表紙にはこう書かれていたのだった。
(妖精族の歌。)
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