28 謎の文字、そして・・。
昨日は異世界転生日間ランキング253位に載らせていただきました!
既にランキングからは外れていますがこれも拙作を読んでくださる皆様のお陰です!
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シュゥゥゥゥ……。
俺は、ルルミアがエイラの居場所として指差した場所から煙が上がっているのを見つけると、急ぎその場へと走り出した。
「エイラ!! どこにいるんだ!!!」
「そんな……、エイラさん!!!」
「……やめろルルミア!! これ以上進むとお前も毒にやられるぞ!!」
ガシッ!! 俺の後に続き煙が上がっている場所に駆けて来たルルミアは、目の前の光景に取り乱し未だ溶解が進む地面に足を踏み入れようとした。
だが、俺が急ぎその身体を右手で押さえためルルミアは間一髪のところで事なきを得る。
くっ……! 遺跡が溶ける際の煙で前が良く見えない……。
これじゃあ、もうエイラは……。
「……タイチ様! あれを!!」
しかし俺がエイラの事を半ば諦めかけたその時、隣へと進んできたルナが前方を指差し声を上げる。
俺達がその先に視線を向けると、煙の向こう側にかすかにだが人影が見え始めるのだった。
「……様」
ん……? 何だ、何か聞こえる……。
「……イチ様!! タイチ様!!!」
しばらくして毒の効果が薄まり溶解が収まってきたのか、目の前の煙が徐々に消え始める。
すると、その向こう側から聞き覚えのある声が3人の元に届き始めた。
俺は、その声がエイラだと分かると溶解で出来た地面の穴を飛び越え急いでその場所へと向かった。
「エイラ!! 無事だったのか!!!」
「はい!! でもこちらに毒液が飛んできたときは流石にもうダメかと思いました。その時、この方が私を庇ってくれたんです!!」
この方……? 誰の事だ??
「へへっ……。美人を助けるのは男として当然のことだよ」
俺がエイラの後ろへと視線を向けると、そこには背中にあった大剣を地面に突き刺し、それを盾代わりに毒液を防いでいるファンネルの姿があった。
「お前……、エイラを守ってくれたのか」
「ああ。まぁ、旦那には借りもあったしな。これで貸し借りなしだぜ?」
ジャキッ……。ファンネルは笑みを浮かべて、立ち上がり地面に突き刺している大剣を引き抜く。
だが大剣はバジリスクの毒液により半分以上が溶けてしまっており、俺はバジリスクの毒の威力を再認識するのだった。
ファンネルも俺と同じことを思っていたのだろう。右手で持っている溶けてしまった大剣を暫く見つめた後、笑みを浮かべながら再び背中へとその大剣を収めた。
「この剣、一応モスリア鋼で出来た魔剣なんだけどな……。まぁ仕方ねえか」
「モスリア鋼……? それはどういうものなんだ??」
「なんだ旦那、それだけ強い癖にモスリア鋼も知らねえのか??」
別に強いことと知らないことは関係ないだろ……。
俺はファンネルの言葉が少し癪に障ったが、そこは300年生きてきた年の功。表情には出さずファンネルの言葉に小さく頷いた。
「いいか? モスリア鋼ってのは世界で3番目に固いって言われている希少な鉱物だ。さらに魔力によって自己修復も可能。だから時間が経てば俺の魔力でこの剣も元通りになるんだ」
「へえ……。でも世界で3番目って、何か微妙だな」
「いやいやいや、旦那! 普通、俺みたいな庶民にはこのモスリア鋼だって手に入らない位の代物なんだぜ?! この剣は重すぎて誰も扱えないって言うから骨董屋の蔵に眠っていたのを格安で譲ってもらったんだ」
「ほう、それほど重いのか。ではどれ、私が確かめてやろうではないか!!」
どこからともなく現れたルナは俺とファンネルの会話を聞いていたのか、笑いながらファンネルに両手を広げる。
どうやらその剣を渡せと言っているようである。
「いや、流石にお前には無理だろ。その身体じゃ潰されるぞ??」
「な、何を?! お前私を誰だと思っている!! このタイチ様の一の家来、ルナ様だぞ?!」
一の家来って……。 一のペットの間違いじゃないか??
ファンネルはそう思いながらも困ったように俺へと視線を向ける。
だが俺はその視線を受けても、ただ一度頷いただけだったため、ファンネルは仕方なく背中の鞘ごと外し大剣をルナへと手渡したのだった。
「最初からそうすればよいのだ……、ぬあっ!!!」
「……おぉ!! お前凄いじゃないか!! その身体で持てるなんてな!!」
「な、な、なんのこれしき……、ぬぉぉぉぉぉ!!!」
剣を受け取ったルナは、予想以上の重さに両手を使い何とか押しつぶされないように全身に力を込め剣を持ち上げている状態であった。
これには俺も少なからず驚いてしまった。
ルナはLv.40以上、いや今はもっと上がっているだろう。
しかもその身体に似合わない怪力も持っている……。そのルナが持っているだけで精一杯、その場から動くことが出来ないとはな。
でもファンネルはこれを片手で簡単に持ち上げていた。こいつ、かなりの力の持ち主みたいだな。
「ハハハハッ、まぁそれ位にしときな。それ以上すると本当に潰れちまいそうだ。よっと!」
「はぁ、はぁ、はぁ……。」
ファンネルは再びルナからいとも簡単に大剣を持ち上げると、背中にその大剣を背負った。
ルナはと言うと、息を切らし仰向けで地面に倒れている。どうやら限界に近かったようだ。
しばらくすると、エイラとルルミア、そしてポスカが俺達の元へと進んできた。
「タイチ様。エイラさん、どこも怪我はないようです」
「ご心配をおかけしました、タイチ様。ルルミアさん」
ルルミアはエイラの言葉を受け、笑みを浮かべエイラの頭に優しく手を乗せた。
「……あ、お前今までどこに逃げてたんだ!!」
ファンネルは、エイラとルルミアの後ろからいつもの憎たらしい顔で自分を見つめていたポスカに気が付くと、語気を強め彼に詰め寄る。
だが、ファンネルのその言葉に、ポスカは手に持っている杖を勢いよく地面に叩きつけ同じように声を荒げ反論し始めた。
「うるせえ!! 俺は命が惜しいんだ! お前みたいに命を粗末にしてたまるかよ!!」
「なっ……!! お前命の恩人の危機なら助けるのが男ってものだろ!!」
「フッ、何が男だ。真っ先に逃げようとしたのはお前だったくせに」
「それを今言うか?! こいつ、俺は昔からお前のそういう所が気にくわないんだよ!!」
まったく……、喧嘩なら他所でやれよな……。
ギャア、ギャアッ!!! 俺はなおもヒートアップしていく2人の争いに呆れたように小さく息を吐く。
だがしばらくしても2人の争いが終わりそうになかったため、嫌嫌ながら止めに入ろうとした、まさにその時。
ゴォォォォォォ!!!!
突如地響きと共に背後の遺跡の壁面が崩れ去り、辺りは砂煙で覆われてしまったのだった。
「ゴホッ、ゴホッ!!! な、なんだ急に?!」
「……こ、これは先ほどの戦いで崩れてしまったようですね。まぁ、ここは見るからに古い遺跡です。あれだけ派手に戦えば崩れもするでしょう」
まぁ、それもそうだな……。
ヴゥゥゥン。 俺はルルミアの言葉に納得すると右手を向け風魔法を発動。
目の前を覆う砂煙を吹き飛ばし、視界を確保した。
だが、砂煙が晴れたことで俺達の目の前に現れたのは予想だにしていなかったもの、一面を黄金で覆われた部屋っだったのである。
その光景にファンネル、ポスカはしばらく動きを止めた後、お互いの顔を見合うと我先にその部屋になだれ込むのだった。
「す、凄え!! こんなに大量の黄金、初めて見た!!」
「ああ、俺もだファンネル! 恐らく遺跡の中の閉じ込められてたのがさっきの崩壊で露わになったんだな。 フフフッ、これだけあれば一生遊んで暮らせるな!」
これだけの財宝だ、普通の人間ならああなるのも無理はないか。
しかも彼らは冒険者、財宝にはもっと目がないだろうし。
「それにしても凄いなこれは……」
部屋の黄金に騒ぐ2人を横目に、俺もその部屋に足を踏み入れその中を見渡していく。
壁面の黄金には何か幾何学模様が施されており、所々欠けてはいるが恐らく作られた当時のままの姿を保っているように感じられる。
さらに部屋の奥へと進むと、そこには七つの玉の様な絵と共に、この世界で使われている文字とはまるで違う初めて見る文字が彫られている壁があるのだった。
だが、その光景に驚いていたのは俺だけでなかった。いや、後に続き部屋へと進んできたエイラはまた別の驚きを持っていた。
そしてその場の誰にも聞こえないように小さく呟いた。
「ど、どうしてこの文字が……!」
あれはお母さまとお父さまに教えられた文字……! 誰にも話してはいけないと言われていた里の文字……!
どうしてここに同じものが……。
エイラは一度もその文字から目を離すことなく俺の側まで進むと、目の前にきた壁面の文字を心の中で読み上げていく。
〈この世界に災いがもたらされる時、我らの血脈は途絶えるであろう。 だが、恐れることは無い。闇が晴れ、再び世界に光が差し込む瞬間、……〉
「この世に救世主が現れる……」
「えっ!? タイチ様、今なんて……」
「え、いや……。あれ、俺今何て言った??」
エイラは掘られている言葉と同じ言葉を口にした俺へ急いで視線を向ける。
だが当の俺は、自分が口にした言葉を分かっていないようであった。
ど、どうしてタイチ様がこの文字を読めるの……?
いや、もしかしたらただの偶然……。でも、確かにさっきタイチ様が言った言葉はここに書かれているものと……。
「タイチ様!!!!」
だがその時、俺、エイラの背後からルルミアの声が上がり2人は後方へと振り返った。
するとそこには、10人程の細身で長身、腰まである髪を後ろでまとめている男達が弓を構えルルミア達と対峙していたのだった。
「……なんだお前達」
「それはこちらの台詞。ここは我らの聖域。それをこのように破壊されてタダで済むと思うなよ!!! 全員、攻撃せよ!!」
「待つのじゃ!!!!」
しかし、男達が矢を放とうとした瞬間、突如部屋の中に謎の声が響き渡った。
男達にはその声の正体が瞬時に分かったのか、急ぎ弓を収めると全員が膝を付き頭を下げ始める。
ザッ、ザッ……。 しばらくすると謎の足音が俺の側を離れ男達の元へと進み始めた。
そして、その足音は男達の目の前で停止。その場にもう一人の男性の姿が徐々に現れ始めた。
「不可視か」
「ほっ、ほっ、ほっ! その通り!! 流石はその文字を読めるだけのことはあるな」
こいつ……、そうか、ここはディートゲイルに教えてもらった妖精族の隠里がある森だったな。
ヴゥゥゥゥン……。俺達の目の前に姿を現した男性。それはまごうことなき妖精族であったのだった。
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