16 襲撃!
2週間ほど海外に行っていたので全く更新が出来ませんでした!
申し訳ありません(;^ω^)
俺がディートゲイルの屋敷へと向かっていた頃。
エイラ、ルルミア、ルナはこれからの旅に必要になるであろう物を揃えるため中央宿の娘 ミミに教えてもらった商店をいくつも回っていた。
そのため既にエイラとルルミアの両腕には複数の紙袋が抱えられている。
「あとは……、武具を揃えるだけね」
「そうですね! それにしてもタイチ様も一緒に来ればよかったのに……。私達より大事な用事って何なんですか、全く!!」
「フフフッ、まぁそう怒らないの。タイチ様も忙しいのよ?」
ルルミアは頬を膨らませるエイラを宥めるように笑みを浮かべながら答える。
エイラの方も本気では怒っていないようで、そんなルルミアに笑みを浮かべ返すと、前方に見えて来た武具屋へと歩みを進めていった。
シュッ!!!
しかしその武具屋にもうすぐ到着するといった所で、ルルミアの右肩の上にルナが飛び乗りエイラに聞こえない小さな声で話始めた。
「……ルルミア。先程から我々を付けている男が2人いる。それに魔法で姿を隠してはいるが、既に周りにも相当数の魔力を感じる……」
「それは本当ですか?! それなら早くこの場から離れないと……」
「待て! これだけ人の目があるんだ、奴らもそう派手な動きには出ないと思う。……ここは私が1人ずつ倒していく。エイラの事は頼んだぞ」
ルルミアはルナの言葉で自分達の周りを行きかう多くの人の姿に視線を移したことで落ち着きを取り戻し、ルナへと小さく頷く。
「……分かりました。ここは任せてください」
シュッ……。
ルナはルルミアのの言葉に頷くと、目にも止まらない速さで姿を消し、一瞬で肩の上からいなくなる。
ルルミアは改めてルナの力を目の当たりにし少し驚いたがすぐに気を取り直し前を進むエイラへと視線を戻したが、そこにはエイラの姿が見当たらない。
えっ?? いつの間に……!!
「エイラさん、どこ?!」
「……ルルミアさん!! ここです!!!」
ルルミアはしばらくして聞こえたエイラの声の方向へと急ぎ視線を移すと、エイラは建物と建物の間、多くの物が乱雑に置かれている路地裏の様な所でこちらへと手を振っていった。
よかった……。それにしてもあんなところで何をしているのかしら……。
「エイラさん、あまり人気のないところに行っちゃ危な……、わぁ、可愛い!!」
「そうでしょ? 鳴き声が聞こえたので見てみたらこの子がいたんです。」
キュー、キュー!!
ルルミアがエイラの元へとたどり着くと、エイラは物陰から何かを持ち上げルルミアへと差し出す。
それは体を淡い青色の鱗に覆われた小さな生物であり、エイラからそれを受け取ったルルミアはすぐにその正体に気が付いた。
これは竜の一種ね……。
でもこんな希少な生物、それも見るからに生まれたばかりのものがどうしてこんな所に??
しばらくしてルルミアは竜がいた場所へと視線を移し、そこにある卵の殻と思われる残骸や、まだ無傷の卵見つけたが、その謎はますます深まるのだった。
だがそんなルルミアから竜を返してもらったエイラは嬉しそうにルルミアへ話しかける。
「この子、持って帰ってもいいですかね??」
「うーん、どうだろ? この子、竜の一種だとは思うけど誰か所有者がいるんじゃないかしら。それにもし誰のものでもないとしても竜の世話は大変よ?? 食費だってかかるし、あのお金が大好きなタイチ様が首を縦に振ると思う??」
「えぇー!! でも確かにそう言われればそんな気も……」
「フフフッ、冗談よ! タイチ様なら文句を言いながらも許してくれると思うわよ?」
「……そ、そうですよね!! もう、ルルミアさんが驚かすから!!」
エイラは笑みを浮かべるルルミアに安堵の表情を浮かべると共に、竜を抱える腕とは反対の腕でルルミアの体を軽く叩いた。
そんなエイラの姿にルルミアはさらに大きく笑い、しばらくして目からあふれる涙を拭いながら息を整えるのだった。
「ご、ごめんね? あまりにもエイラさんが真剣な顔だったから……」
「もう、ひどいですルルミアさん! 私真面目に話してたのに!!」
フフフッ、本当にエイラさんは可愛いわね。
タイチ様がエイラさんを放っておけない理由が分かった気がするわ。
……ん? 何の音??
ガラガラガラッ……!!
ルルミアは顔を赤らめながら顔を背けたエイラに謝ろうと近づいた瞬間、後方から迫ってくる物音に気が付き後ろへと視線を移した。
するとそこには無人、いや、馬も引いていない馬車が街の人々をかき分けるようにこちらへと迫っており、それに気が付いたルルミアがエイラを抱え前方へと回避するのと同時に2人がいる道を塞ぐように建物と建物の間へ衝突し、辺りには凄まじい衝撃音が響き渡った。
ワァー、ワァー……。
しばらくしてルルミアが気が付くと、2人が入ってきた道は瓦礫と馬車の残骸で完全に塞がれており、その向こう側からは多くの声が聞こえてくる。
「おい、一体何が起きたんだ!!」
「わからん! ただ馬車が建物に突っ込んで……」
「誰だ、俺の家をこんな風にしやがって!! おい、早く兵士を呼んでくれ!!」
ゴホ、ゴホ……。 どうやら私達がここにいるのは誰も気づいていないようね……。
救助が来るまではおとなしくしてるべきね……。
「……ルルミアさん? あれ、何で私地面に倒れて……」
「よかった、気が付いたみたいね……。怪我もないみたいだし、安心した……」
ムクッ……。しばらくしてルルミアに続き目を覚ましたエイラは立ち上がると、目の前の惨状に言葉を失う。
だがしばらくして、潰れた入り口とは反対側、路地裏の奥から近づいてくる異様な雰囲気に気が付いたルルミアは、エイラを守るようにその方向へと剣を構えた。
「どうしたんですか、ルルミアさん?!」
「…………」
この雰囲気……、ヤバいかもしれない……。
ギリッ……。 ルルミアは近づいてくるあまりに大きな魔力反応に剣を握る手に力が入っていく。
「……そう警戒しないで下さい。私はあなたの後ろにいる娘に用があるだけ、素直に渡してくれればあなたには危害を加えませんよ」
フフフフッ……。 しばらくして2人の前に現れた長髪の男は、後ろに10人以上の屈強な男達を従えながらその歩みを止めるのだった。
「ふざけないで! この子は私の家族も同然、そう簡単に渡すわけがないでしょ!」
「フフフフッ……。まぁそう言うとは思っていましたが、まさか獣人風情にその様な口を利かれるとはね」
ハハハハハッ!! 長髪の男の言葉に後ろにいた男達は大きく笑い声を上げる。
その光景を怯えながらもルルミアの背後から覗いたエイラは、長髪の男に掴まれた傷だらけのルナの姿が目に入った。
「ル、ルナ様!!」
「ほう、やはりこれはあなた方の仲間でしたか。全く、こんな可愛い姿をしているのに私の部下を10人近く倒したのですからね、恐ろしいものです」
ドシャッ!! 長髪の男はルナの体を2人の前に投げ付ける。
地面に倒れたまま動かないルナの元にエイラは急ぎ駆け寄り抱き上げるが、ルナは意識を失ったままであった。
「そんな……、ルナ様! 目を開けてください!!」
まさかルナ様がここまでやられるなんて……!
この男、私がかなう相手じゃない! 早く助けを呼ばないとエイラさんが……!
「……誰か!! 誰かいないの!!」
しかしルルミアの叫び声は先ほど起きた馬車の事故で集まっていた野次馬の声でかき消され、誰にも聞こえることは無かった。
ここで初めてルルミアは自分達が罠にかかったことに気が付く。
そうか……! こいつら最初からこの場所に私達を……!!
「ようやく気が付いたみたいですね……。そう、あなた達は最初から私の手の中にいたのです。まぁ、本当はあなたの剣を盗んでここまで追わせるはずだったのですが、都合よくこの場所へ入ってくれくれたので手間が省けましたがね……。どれだけ叫ぼうと無駄ですよ? 今全ての街人の注目はあちらへ集中しています。こちらに気が付く人はいませんよ?」
クククッ……。 ルルミアの表情から罠に気が付いたことを察した男は、口に手を当てながら小さく笑みを浮かべた後、腰の剣をゆっくりと抜き、2人の元へと進み始めた。
くそ、どうする?? エイラさんを逃がそうにも逃げ道がない!
私が不用意にこんな所に入ったから……。エイラさんを止めなかったから……。
いや、いまはそんな事を言っている場合じゃない! 出来るだけ時間を稼いで何とかエイラさんを逃がす!
じゃないとタイチ様に合わす顔がないわ!!
「……エイラさん、ルナ様を連れて早く逃げて! ここは私が時間を稼ぎます!!」
「な、何を言ってるんですか!! ルルミアさんも一緒に……」
「そんな事を許してくれる相手じゃないの! 早く行って……」
「ルルミアさん、危ない!!」
その言葉でルルミアは前方へと視線を戻すと、既に顔と顔が付きそうなほどまで接近していた男の姿が目の前にあった。
くっ! あの距離を音もなく一瞬で詰めるなんて!!
シュッ! ルルミアは一瞬驚きのあまり体を強張らせたが、すぐに気を取り直し手に持つ剣を水平に振りぬく。
しかし男の姿はもはやその場には無く、ルルミアの攻撃は虚しく空を切り、いつの間にかルルミアの背後に回り込みエイラの体を抱え上げた男は剣の柄でルルミアの後頭部を殴りつけた。
その衝撃でルルミアは意識が遠のいていき、その場へと倒れ込むのだった。
「……い、いや! 離して!! ルルミアさん! ルナ様!!!」
「……これで仕事は終わりましたね。あなた達、戻りますよ!」
「へい!!」
男は暴れるエイラの体を抱えながらその場を後にしようとするが、何かを思い出しとように振り返り、いまだかろうじて意識があるルルミアに笑みを浮かべながら口を開いた。
「そうそう、言い忘れていました。あなたの連れのマスクの方にお伝えください。この子は丁重にお預かりします、それといつでもお相手になりますよ、とね」
……エ、エイラ、さ、ん。
ハハハハハッ! ルルミアが最後に目にしたものは、笑い声を上げながら去っていく男たちの後姿と連れ去られていくエイラの姿であった。
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