その頃の金級パーティは
一方その頃――。
金級パーティは、ギルドでの緊急会議を終えていた。
夜の温泉街。
雪が静かに降っている。
ヴァレルは、露骨に疲れた顔だった。
「だから言ったろぉ……」
長い馬耳がだらんと垂れる。
「めんどくせぇって……」
レヴィアナも深く溜息を吐く。
「金級全員へ事情説明とか、ギルドも大変なのよ」
シオンは静かに資料を抱えて歩いていた。
ルドヴィカは無言だ。
その帰り道。
ふと。
ヴァレルの足が止まった。
「……ん?」
雪道。
路地の入り口。
そこに。
袋が落ちていた。
オレンジの入った袋。
いや。
正確には。
“散乱していた”。
雪の上へ、オレンジが転がっている。
踏み荒らされた跡。
ヴァレルの目が細まる。
「……おい」
馬耳が、ぴくりと動く。
見覚えがあった。
つい今日。
ギルドで見たばかりだ。
レヴィアナも気付く。
「これ……」
シオンが静かに呟く。
「ザインさんの……?」
その瞬間。
ヴァレルの顔色が変わった。
「――ザイン??」
直後。
遠くから。
轟音。
爆発音が響いた。
雪の夜を揺らす。
レヴィアナの青い瞳が見開かれる。
「っ!」
ヴァレルは即座に槍を掴んだ。
「あっちか!!」
次の瞬間。
金級冒険者達が、一斉に走り出す。
雪を蹴る。
風を裂く。
その速度は、一般冒険者とは比較にならなかった。
ヴァレルの表情から、完全に笑みが消えている。
レヴィアナも既に魔法陣を展開。
シオンは矢を番え。
ルドヴィカは斧を担いだ。
全員が理解していた。
――間に合え。
その一心だけで、夜の温泉街を駆け抜ける。




