聖浄色 vs 地武色? !
おはようございます。
私と殿下は 闘技場に於いて相対している。
当然 観客多数である。昨日に次いで 本日もかぁー。。
「麦粒鉗さまーー愛してるーー」
「黒っ な、何?」
「結婚してくれーー」
「あの黒い霧 病気?」
「婿にもらってくださーい」
「黒過ぎだろーー」
殿下には男共のドス黒い求婚声援しか無い。私には相変わらず黒色絡みばかり。
「まずは軽くいくでござる」
「お手柔らかにお願い致します。いつでもどうぞ」
「では参る!」
そう言うと殿下は左腰に挿している刀の柄を右手で握る。そして力強く一歩を踏み込んだ。殿下の姿が消える。私との間合いを詰めて 刀を鞘に納めたまま居合の様に腹部に右薙で来た。おそらく周囲の観客には殿下の動きは全く見えていないであろう。だが私は居合を軽く躱すと 左手で殿下の刀の柄を上から抑え様とした。殿下はそれをサラッと避ける。
「えっ! な、何」「全然 視え無かった、、」「うん?」などと聞こえる。
「ほほう。さすがでござるな!」
「ありがとうございます」
「ノギースデン様は 水の白銀虎神獣様でござる!」
殿下はそう言うと ご自身の横に 大きな白銀の綺麗な毛並みをした白銀虎の姿をした従魔獣を 殿下の左手の紋様から顕現させた。
「ガルルー」威嚇してくる。
正直こっちも めちゃくちゃカッコイイ!
「凄い従魔獣よ!」「カッコイイーー」「あの子従魔獣出せるの?」などと聞こえる。
「コタロウ 神愛彩色」
そう言うと 殿下の身体が白銀色に彩られていく。霧状の水が殿下を覆う。更に身体の周囲を水の虎が殿下を抱き締める様に張り付いている。右手に刀を握っている。先程のより大きく 虎の牙・爪を模したのだろう湾曲が強い巨大な刀を携えている。
「卑怯と思わないでござる。負け無いでござる。ノギースデン様の名誉の為にも」
「ご質問よろしいでしょうか?」
私はシュタと右手を上げる
「な、なんでござるか?」
「コタロウとは従魔獣のお名前でしょうか?」
「その通りでござる。コタロウは余がこの子に付けた名前でござる。良い名でござろう。従魔獣契約の際 頭に浮かんだのでござる。そ、その、、姫は従魔獣がおらぬから 名付けも出来無かったでござるな。。すまぬ。ちょっと可哀想であったな」
『えっ?えっ、、同情されてもうたー 羨ましかった訳では無かったのにーー』
「いえ 全然大丈夫です」
「いや 強がらなくても良いでござる。従魔一色武装 は御使にしか使えないでござるが 姫は従魔獣すら居なかったでござるな、、名付けをしたかったのじゃな、、」
『さ、更に同情ーー!!』
「神愛彩色が使え無いにしても 何か武器を構えるでござる」
「はぁ。。2度も同情を受けた。。ライス達お願い!」
私がそう言うとライス達が集まってきて私の黒い霧と混ざってジーヴァソードになった。
この頃になると 周囲は驚き過ぎなのか? 視え無いからなのか? 声が全く上がら無くなっていた。もう昨日と一緒!
「な、何でござるか?」
「いえ。殿下が武器を構えろとおっしゃったので ライス達に頼んで集まって貰い私の黒い霧を混ぜて剣になってもらえました。あぁ!ちなみにライスは私がこの子達につけた名前です。頭に浮かびました!」
私は空気中にぷにぷにと浮いているライス達を指差す。
『えへん! 私とて名付けをしているのだ!』
「何処に? 何がいるでござるか?」
「ですから此処に! ライス達が!」
やっぱり御使であっても ライス達が見えない様だ。イブケンタウ殿下も見えて無かった。私だけの様だ。
『やっぱり この子達って私にしか見えないんだね』
「そ、その 張り合う必要は無いぞ、、お辛いからといって 見栄を張る必要は無いでござる。すまぬでござったな」
『ちぐしょーー! ほんまにおるから! 見栄ちゃいますからーー!』
「では参る」
そう言うと殿下が 刀を構えて一直線に最速1歩で踏み込んで間合いを詰める。強力な唐竹である。私はそれを左手に持ち替えたジーヴァソードで左薙に交わし 右手で殿下に打撃を入れ様とした。殿下はわざと避けない。私の身体が霧状の物に包まれる。身体がヒリヒリする。更に水の虎に身体全体を覆われる。
殿下がニヤッと笑う。
「どうでござるか! 霧は毒!虎は液体!斬る事も剥がす事も出来ぬでござる。我が水に覆われる事によって呼吸が出来無い。呼吸が出来ず 毒がどんどんと浸潤する。参った!と申せば止めるでござるが?」
殿下はドヤ顔である。
「うん?? ちょっと身体全体がヒリヒリする様な、、でも全然問題ないです」
『何でだろう。息出来無いけど 全然大丈夫。毒も、、うーん 大した事無いね』
「えっ? 苦しく無いでござるか?」
「はい特には。ちょっとヒリヒリするぐらいで」
『って言うか!うら若き乙女じゃないの? あなたは! なんちゅうエゲツない攻撃!』
「すまぬ。ちょっと余の身体に触るでござる」
私は殿下の前までスタスタと歩いて行き 右手で殿下の身体を触る。
「・・・」
「うん?」
「全くダメージが無いでござるな。その様に動けるとは、、」
焦った様な 呆けた様な顔をしている殿下。
「さ、さすがでござるな! ではこれはどうでござるか?」
そういうと殿下はコタロウに跨って 空中に浮上していく。
「空中は 浄神ノギースデン様と陽神ライヘーベル様の領域でござる!空中までは来れ・・・」
私は殿下を追いかけて 既に空中で殿下に相対していた。
『デジャヴ!』
「・・・」
「そ、空も飛べるのでござるか! 人族のままで。。」
「そうですね」
「アルジンネード様は地武領域のはずでござる。。空を飛べるはずが、、いや。武神とはそういう神なのでござるか??」
「・・・わかったでござる。では小細工は無しでござる」
殿下が刀を突きに構える。コタロウから飛び出して 最速の突きである。私はジーヴァソードで受け流す。コタロウとの連携が凄い! 何度も何度も攻撃して来る。しかし私はそれも全て受け流す。
殿下は 私の余裕がある戦闘姿を 感じ取っていた。
「では私も大技を繰り出そうと思うでござる。『白銀色刀』」
殿下がそう言うと 刀が白銀色の水の虎を纏う。周囲に同様の形状をした水刀が 殿下の刀の左右に2本ずつ顕現する。合計5本の刀である。虎の爪の様である。
私はジーヴァソードをサイズアップする。ライス達をもう少し集めて黒い霧を混ぜて もう一本ジーヴァソードを作る。二刀流である。
「な、何?武器の数を増やす事が出来るのでござるか、、私以外にその様な者などいないでござる、、」
「こちらも準備が出来ました。私も大技でいきます! いつでもどうぞ」
『ジーヴァソードの大技だ! この間の名前『一本槍』だったから『二本剣』だね!ワクワク』
「では参る!『白銀色刀』ーー!!」
「ジーヴァ二本剣ーー!!」
5本の刀が 私を5方向から囲み 唐竹・左薙・右薙・袈裟・逆袈裟で来る。ジーヴァソードで受け流すが 確かに液体なので受け流せない。刀が身体に迫る。見切りつつ躱す。目前で急に予備動作無く伸びて来た。それも一動作だけで躱す。5本の刀の連続攻撃は速度も速く 上手く突いて来る。加えてコタロウの牙・爪の攻撃もある。凄い! だが私はジーヴァソードで液体を斬る度に 液体にジーヴァルとライス達を混入させていく。最終的には 殿下の刀も含めて 全ての刀が殿下の指示では無く 私の指示に従うジーヴァソードとなってしまった。
「う、動かないでござる!な、何をしたでござる?」
「ちょっとした細工です。はい」
「信じられ無いでござる。。」
『おまえ。しかし 名付けのセンス ゼロだな。はぁーー』
何故か アルジンネード様の溜息が聞こえた。




