今後の予定-北進-
「今後の予定はどうされるのですか?」
「北の大地に最も近い街を探してそこでガイドを探そうと思ってます」
「それでしたら『トレジャー』無難でしょうな。古いものでよければ地図を持っていってください」
「有り難いです」
ここら辺の地理には詳しくないから地図をいただけるのは非常に助かる。
「ガイド、心当たりある?」
「ん?ないな。俺も北の民に会ったことがない。だから次の破片集めは時間がかかるかも知れない。大変かも知れないがイリアもすまんが辛抱してくれ」
「気にしない、で」
イリアもやる気満々のようだ。前向きに考えてくれてるのも助かる。
北の民、どんな人達なんだろうか?職業柄、多くの人達と出会う機会があるが一度も見たことがない。妄想だけ膨らましても仕方がないからな。足で探してみよう。
ふと、魔法使いケーシーを思い出す。この手のツテ作りが物凄く美味かった。魔法使いなんてやってるから職業柄気難しいやつかと言ったら、案外そうでもない。あのサバサバした性格がよく好感を持たれている。よくおばちゃんの井戸端会議にするりと参加したりしてた。気に入らない相手だと手が早いのが玉に瑕だが。
俺にはツーモフモフ(ウルフとオウル)がいる。あの子達に協力してもらいながら上手いことガイドを探せたらと思っている。
「ところで、登山でお疲れでしょうからもう一晩、我が家で泊まっていってください。しっかり英気を養ってから向かってください」
「何から何までありがとうございます」
「いえ、気になさらず。サンダー様の酒代と思ってください」
「ハハっ」
苦笑いするリーカスさん。お酒は思ったよりも飲めなかったけど、いい時間を過ごさせてもらったと思う。感謝だ。
◇ ◇ ◇ ◇
「しっかり休めましたか?」
「ええ、お陰様で」
一晩で心身ともにしっかり英気を養えた。
昨晩にリーカスさんと酒を飲み交わし仲良くなれたと思う。
サンダー様からされた無茶振りの数々を興味深く聞いた。この人はやっぱり苦労人なんだと不思議な親近感覚えた。
ウラニア様、俺、貴女ののこと信じてますよ。お願いだからホワイトでいてください。
「イリアちゃん、また遊びにきてね」
「うん、ニッキーお姉ちゃん、また、遊びくる」
どうやらイリアとニッキーも仲良くなったらしい。どんな話をしていたのか分からないが、ガールズトークで盛り上がっていた。二人を眺めていると、二人共俺を見てクスクス笑っている。
「何笑ってるんだ?」
「んー?別にぃー」
「うん、別に」
やっぱりクスクス笑う二人。だから気になるってばよ。
「アーク、試される大地に行くんだったら、コカ茶を持ってって。多分役に立つと思うよ」
「ありがたく頂戴する」
ニッキーの言う通り、あった方がいいと思う。日持ちもするし嵩張らない。実体験とアドバイスの数々から推察すると高地による気候適応以外にも気付薬や鎮痛剤などにも使えるんじゃないだろうか。非常に有り難い心遣いだ。
「私からは地図を差し上げます。お役に立てれば幸いです」
「リーカスさん、何から何までありがとうございます」
頂いた地図は、こちら側(ワンダー王国側)の地図だ。早速眺めてみると、今いる山岳から中継街『トレジャー』を目指すのであれば、北西に向かうのがよさそうだ。そして、山岳と『トレジャー』の中間地点に見慣れないマークがある。
「この『♨』はなんですか?」
「ああ、間欠泉を示すマークです。温泉が湧いていて、宿場町として栄えているそうです。体に良い効能があるらしく、近隣だけでなく遠方からも温泉を求めて来ているそうですよ」
「それは珍しいですね」
「アーク、温泉って何?」
「ん?ああ、イリアも初めてか。温泉って言ってな、要するに温かい水、お湯が地面から湧き出てくるんだ。でっ、そのお湯に浸かると物凄く気持ち良いらしいぞ」
「温泉、興味ある」
「だよな。俺も興味ある。折角だから体験してみようぜ」
「うん、体験、したい」
イリアも旅の醍醐味ってやつが分かってきたじゃないか。よさそうだろ?温泉。旅仲間って感じがして嬉しい。
我々は温泉に入るために宿場町に向かうわけではない。目的地である『トレジャー』の中継ポイントだから立ち寄るのだ。だから偶々だ。偶々。こうして意気揚々と宿場帳に向かうことになった。




