試される大地-極寒の地-
「おかえりなさい。いかがでしたか?」
「無事に破片を回収出来ました」
「おお、それは何よりです」
サンダー様から破片を譲り受けてから暫くしてから下山し、村長リーカスさんに吉報を伝えた。
リーカスさんも揉んでいてくれたらしく、心配げな表情が明るくなる。
「ニッキー、務めは果たせたようだな。よくやった」
「うん、無事に終わったよ」
ニッキーは少し誇らしげな表情をしている。実際それだけのことをやってもらったわけだが。
「怪我もせずに山に登れたのは娘さんのお陰です。本当に助かりました」
「たのもし、かった」
「嬉しいこと言ってくれちゃって!」
「娘が役に立って何よりです。ところでサンダー様から何か無茶を言われませんでしたか?我々人間とは違う感性で生きておられる方です。たまに突拍子もないことを仰られることがありますので・・・」
リーカスさんも苦労されてるんだろうなぁと、妙な親近感が湧いてくる。
「条件としてとっておきの酒を要求されました」
「ははっ、それは気の毒に」
「美味しかったよ!」
「コラッ」
肩をすくめておどけると場の雰囲気が明るくなったような気がする。
「それでこの後の予定はどうされるのですか?」
「ドラゴンレーダーで次の座標軸を出して、そこに向かおうと思います」
「話してくれたやつですね。どうせやるなら見てみたい!」
ちょっと逡巡。お世話になってるし見せていいだろ。
「イリア、頼む」
「ん」
「やった!」
「よろしいので?」
「ええ、勿論」
「どうも」
ニコニコ顔のニッキーと、軽く頭を下げるリーカスさん。
イリアは目を閉じ、両手を組んで祈るような仕草をする。
「すごい。眩しいね」
心なしか以前より力強い光を放っている。
リーカスさんも声には出さないが興味深げに見ている。
「サンダー様もこういうのくれないかなぁ」
「ニッキー、何もないのが一番だよ」
「えー、かっこいいのに」
そうこうしている内に光が止む。
「北の方角。辺り一面に白くてフワフワしたものが舞ってる。後、壁が見える」
ドラゴンレーダーで分かる情報量が増えてる。やっぱり破片を拾った影響だろうか?人体に影響がないのであれば特にどうこう言うつもりはないが。
そして気になることがある。イリアのインスピレーションで推察されること、すなわち。
「試される大地・・・」
ボソッと独白するようにリーカスさんが呟く。俺と同じ結論に至っている。
「どこそこ?何かかっこいいわね」
「どんなところ、です?」
興味津々が二人。イリアは当事者意識が芽生えてくれたお陰か若干、不安と期待のようなものが感じられる。確かに名前のインパクトあるよな。
「試される大地は、一言で言えば未開・未知の大地だよ。通称『ビックウォール』と呼ばれる山々の向こうにある。山を挟んでこちら側とあちら側で全く気候が違う。試される大地では万年『雪』と呼ばれる白い結晶が振り続ける極寒の地だよ」
「おじさん、くわしいね」
「まぁ、受け売りだけどね」
要するに今回行った登山よりも厳しい条件の中で探索しなければならない。山の厳しさを味わった身としては勘弁願いたい話だ。さて、どうしたものか・・・。




