再出発-円満解決-
「いかがでしたか?」
「幽霊はばっちり退散しました。もう光に悩まされることはないでしょう」
「僧侶様、ありがとうございます。冒険者殿もありがとうございました」
共同墓所での幽霊退治の報告のために早朝に村へ戻った。
そしたら村長タイラーさんが出迎えてくれた。うっすらと目元にクマが浮かんでいる。寝ずに我々の帰りを待っていてくれたことに感謝の気持ちが湧いてくる。
「僧侶様、結局墓所に幽霊がいたとのことですが原因は何だったのでしょうか・・・」
「レイス、悪霊が悪さをしていました。その影響で幽霊が騒いでおりました。でも安心してください。悪い幽霊もちゃんと浄化しました」
「なるほど、そうだったんですね」
村長であるタイラーさんが事の顛末を気にするのは当然な話だろう。
アニーはアニーで全部が全部本当のことは言っていない。嘘が含まれている。しかし、誰もが喜ぶ優しい嘘だから、俺も勿論加担する。イリアも同意見だ。
「皆様、お疲れのことでしょう。是非村でお休みください」
「有り難い。お言葉に甘えさせていただきます。後、タイラーさんも夜通しお疲れ様です。もう安全ですから今日は枕を高くして寝てください」
俺が笑いかけると、タイラーさんの肩の力が抜ける。人の良さそうな笑みを浮かべる。
「ええ、お陰様で幽霊に悩まされることなく、ぐっすり寝れます」
◇ ◇ ◇ ◇
「アークさん、イリアちゃんお世話になりました」
「解決してよかったな」
「気にしないで、わたしも楽しかった」
村で仮眠を摂らせていただき、昼間に出た。
村を出た先でこうして俺達も僧侶アニーとプイプイ(インプ)と別れの挨拶をしている。
「プイプイ、良い子にしてろよ。達者でな」
「うん、あたし良い子にしてるよ。後ね、見逃してくれたこと感謝してるの。あたし何か出来ない?」
「何かって言われてもなぁ・・・」
<<システムメッセージ インプ[プイプイ]の協力を得ました>>
<<システムメッセージ ユニークスキル 第六感を習得しました>>
脳内で流れるメッセージ。えっ、これでもいいのか。
曲がりなりにも明確なコミュニケーションとれる生き物をテイミングなんてしたくないよな。
「気持ちだけで十分だ。ありがとうな」
「何かあったら力かしたげる。イリアもありがとね」
「うん、また会おうね」
「バイバイ!」
◇ ◇ ◇ ◇
「初めて、友達、できた」
「よかったな。破片集めが終わったらやることが増えてくな」
「うん!」
馬車に揺られて東の山脈を目指す。その道程は順調そのものだ。
僧侶ペルラ達は元気でやってるだろうか?
◇ ◇ ◇ ◇
「だから何度言えばいいの。あんた(騎士ダニエル)が出しゃばりすぎるせいでうちらは死にそうな目に遭ったのよ!少しは全体のことを考えて動きなさい!」
「うるさい!俺が前に出て戦った方がすぐに片付くだろうが」
目を釣り上げて魔法使いケーシーが騎士ダニエルに苦言を言う。
サンドワーム(巨大砂ミミズ)に襲われた私達。本来、ダニエルは、僧侶と魔法使い(私達)の護衛をすべき所をサンドワームに切りかかりにいってしまった。そのため、砂に紛れていた別のサンドワームに襲われ危うく命を落としかけた。
「あの、ダニエル。お願いです。気持ちは分かりますが、どうか我々を守っていただけませんか?私達にはアークがいないのです。あなたが守ってくれないと、私達はパーティに貢献できません」
「君までそんなことを言うのか! 皆のことを思って率先して戦っているんだぞ。それがわからないのか」
「まぁまぁ、仲良くやりましょう。ね?仲良く」
盗賊ナイアの場違いの笑いが響き渡る。日に日に悪化する連携と人間関係。どうしてこうなっちゃったの?




