お人好し-最終的に報われる-
捕まえたインプの処遇をどうするか決める。
「助けて、助けて。あ、あたし食べても美味しくないよ」
手の中にはジタバタ藻掻くインプ。
見当違いなことをいっているが処遇をどう決めた方がよいものか。
「あなたはお墓で何をやっていたの?」
戦闘が終わったためか、いつものおっとりとした声でインプに尋ねる僧侶アニー。
「一人ぼっち寂しいから幽霊とお喋りしてたの」
「じゃあ、人間に危害を加えるつもりはなかったということ?」
「もちろん。そんなことしたって楽しくないじゃない。あたしがするのはイタズラだけよ」
インプは死んだ子供が生まれ変わったものとされる。だから行動に表裏がなくて直接的だ。発言に関しては信用していいだろう。出来ることなら殺さずに、反省を促して見逃してやりたい所だがどうしたもんか。
「お喋り出来る相手がいれば、幽霊呼び起こしたりイタズラはしない?」
「勿論、しないよ」
「分かりました。私がお喋りしましょう」
「えっ、ありがとう!」
「いいのか!」
「でも、良い子にしないと駄目だからね?」
人差し指を口に当てて言い聞かせるだアニー。
「うん、する。良い子、する!」
手を離し拘束を解除するとアニーの周りを嬉しそうに飛び回るインプ。
教会の関係者としてそれでいいのかという気はするが、個人的には好ましい対応だ。アニーの性格を考えるとその場凌ぎの嘘ではあるまい。
「その、なんだ、いいのか?教会的に大丈夫か?」
「ヘーキ、ヘーキ、バレなきゃどうってことないですよ。バレたらバレたら目を瞑ってもらいましょう!」
全然大丈夫じゃなさそうだが、アニーも案外肝が太い。ゾンビとスケルトンに襲われるって免疫ない人間にはそれなりに恐怖体験なんだが。聖職者の一面を見た気がする。
「困ったことがあったら、冒険者ギルドに顔を出してくれ。俺は暫く戻れないが居る時だったら力になるから」
「あはっ、心遣い感謝します」
一件落着と言いたい所だが、ついでにもう一つしておきたいことがある。
「なあ、インプ。最近空が光った日なかったか?」
「私、プイプイだよ。空が光った日・・・ある、あった、少し前にピカピカ光ってた!」
イリアにアイコンタクトすると浅めに頷いてくる。
「プイプイ、どっちのほうに流れていったか?」
「あっち(東)の方に流れていったよ」
示された先は山の方角。山岳地方だ。
「分かった。感謝するぜ」
お節介で始めた幽霊退治が思わぬ成果に繋がった。




