59話 再生
津々木秋夜視点
エイチが邪神との最後の戦いを始めた頃他の勇者達は、全種族と協力して大量の魔物を相手していた。
「おーい!そっち行ったぞ!」
「おいおい、俺に任せきりにするな」
「だって、お前の魔法便利なんだもん」
陸都は楽しようと、さっきから俺に向けて魔物を仕向けてくる。日本に居た時にゲームでよくやってる戦法の一つでもあった。だから、俺もこの状態には慣れていた。
「風よ、刃と成りて、敵を斬れ【風刃】」
「おー!やっぱり秋夜の魔法はすごいな」
「まあな」
「秋夜!陸都!楽しんでないで、こっち手伝え!」
鉄也は、巨大な魔物と一対一で相手していた。
「鉄也の馬鹿力で、どうにかならないの?」
「それは、無理あるだろ!」
鉄也は、そう言いながらもスキルを駆使して魔物を吹き飛ばす。俺と陸都は鉄也が吹き飛ばした魔物を瞬時に仕留める。
「ふぃー」
「ほら、やっぱり馬鹿力でどうにかなったろ?」
「俺が言ったのはそうゆう事じゃ・・・」
「シューヤ、親玉らしき魔物が居たぞ」
「お!やっぱり居たか」
俺は、今起きている現象には必ず終わりがあると考えていた。今この現象を引き起こしているのは、恐らく邪神の力だと思っている。だけど、邪神は英智達が相手しているから別の指揮官が居ると魔王が言っていた。で、俺たち勇者達は別行動で指揮官らしき者を探しに来ていて、王様達はそれぞれの軍を指揮して大量の魔物と戦ってくれている。
「ライクどこにいる?」
「あっちだ」
ライクは指を指す方へ、俺達は移動した。移動中も魔物達と会うので、みんなと連携を取りつつ最速で討伐した。
「あいつだ」
ライクが言っていた指揮官らしき魔物が、確かに居た。異空間から出てくる大量の魔物達の中で、ずっと異空間の隣にいるでっかい魔物が指揮官だと思われる。
「門番?」
「いや、門番みたいにしているが魔物を指揮してる感じがする」
「じゃあ、やるか?」
「そうだな、やろう!ライクは、ここから周りを見ていてくれ」
「分かった」
俺はみんなに【身体強化】などの魔法を付与させる。
「よし、行くぞ!」
「「おう!」」
俺達は同時に攻撃を仕掛けたのだが、指揮官らしき魔物は全く動こうともせずすぐに終わってしまう。
「あ、あれ?」
「どうなってる」
「シューヤ!上だ!」
「「「・・・・!!?」」」
ライクの声で全員上を向くと、無数の魔法弾が降り注いで来た。
「まずい!スキル【創作魔法】【防御結界】」
俺は咄嗟の判断で、【創作魔法】を使い大規模の防御結界を張った。最初はそれだけでもどうにかなりそうだったか、魔法弾の範囲がだんだん広がっていくに連れて結界の方の辛くなっていく。
「くっ・・・これ以上無理だ!全員衝撃に備えろ!!」
「わ、分かった」
「どうやって防ぐか」
俺は結界の限界が来てしまい、結界が壊れる。無数の魔法弾は、俺達や王様達などに向かって降り注いでくる。魔法弾が終わると、辺りは地形に穴が空いていた。
「シューヤ殿!」
「バビルさん!」
魔王バビルさんが、俺達を心配して来てくれた。俺は魔王にさっきの出来事を自分の考察を交えて話す。
「じゃあ今の邪神の攻撃って事ですか」
「そうだと思います。もし、次来た場合は今よりも酷い状態になるのは確実です」
「そこはエイチ殿に願うしかないでしょう。それよりも、先程の攻撃で魔物はだいぶ居なくなったので怪我人の救出するのを手伝って頂きたい」
「分かりました。鉄也と陸都を見つけ次第、そちらに向かいます」
「よろしくお願いします」
魔王が居なくなった後、俺は鉄也と陸都を見つけ邪神の攻撃が来ないか警戒しながら怪我人の救出を優先した。
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相葉英智視点
『レーラが滅んだ』
いきなりメガネから出てきた創世神が俺とミラにそう告げた。
「は?」
「え?」
俺とミラは一瞬にして言葉を失った。
『もう一度言うレ・・・』
「もういいもういい」
『そうか』
「あっ!あの時声の人」
『私の言った通りにしてくれて助かった』
俺はさすがに状況整理が追いつかなくなったので、創世神に1から説明を頼んだ。
『まずは、私の名前からだな。私はこの世界レーラの創世神だ』
「え?ええぇぇぇぇ!!」
ミラは初めて知ったんだろうな。俺も聞いた時は驚いた。
『今起きていることを説明すると、邪神が消え去る前に僅かに残った神力を使い世界レーラを一気に滅ぼした』
「な、なるほど」
自分が好きな世界のはずなのに、感情がない言い方ですんなり今起こってることを説明された。
「みんな?!」
『残念ながら、死んでいるわけではないが無事ではない』
「そんな」
創世神も邪神のこの行動は予想していなかったようで、苦しそうな顔をする。
『だが、君ならどうにか出来るかも知れない』
「えっ!俺!?」
『君が手にした【神眼】と【創造】そして、【再生】の力を使って世界を再生させて欲しい』
創世神が俺に頭を下げる。
「なんで、俺なんだ?あんたでなら創世の神なんだから俺じゃなくても出来るだろう?」
『残念ながら、それは無理だ』
「何故?」
『君が『神』に成った時に、同時に私の力の一部を持っていかれてしまった』
「はい!?」
「ねぇ?エイチ、なんの話をしているの?」
「あっ」
俺は、ミラに今の状況と俺がミラを助けて出す為に『神』に成った事を伝える。創世神との約束は言わないでおいた。ミラに言ったらついて来そうだしな。
「はい!?私を助けるために、『神』成ったってなんでそこまでしたのよ!」
「そうでもしないと助けられなかっただよ」
「まあ、それで助けられたのも邪神を倒せたのも事実だから許すわよ」
ミラは不服そうだが、助けられた身だからそれ以上は言って来なかった。
「でも、確かに力の一部を俺が受け取ったって事は原因はやっぱりメガネになるんだろ?」
『その考えで間違いない』
創世神の力をメガネに与え、俺がそれを利用していた時に起きた事が原因なんだろう。前に、創世神が誤って俺に神力を流した時にはもう既に『神』に変わり始めていた。きっとその時は、俺の中にあった神力が創世神の力を媒体に俺が『神』に成る下準備をしていたんだろう。そして、俺が『神』と成った時創世神の力を媒体にしていたものが俺に神力となって流れ込んで来たと。
「はあ」
「エイチ?」
「いや、ミラは気にしなくていい事だ」
『やるか?』
「他に道は無いし、それに帰る場所はレーラだしな」
『神』に成った事で、地球に戻れる可能性があるけど俺はレーラで生きると決めたんだ。地球には未練がたくさんあるけど、その未練は今の俺に取って些細な事だ。
『では、始めよう。私の指示通りにやりなさい』
「おうよ!」
『今の世界を観なさい』
「【神眼】」
【神眼】で今のレーラがどんな状態かを観る。レーラ自体には、損傷がないがみんなが戦っている場所や国が存在している所全てにおいて、ボロボロになっている。建物の殆どが崩壊しており、人々が苦しんでいる。そして怪我をしているが生きているみんなを見つける。怪我こそしているが、自分に出来る事をしっかり行っていた。俺は、それを観る事しか出来ずにこの状態がもどかしかった。さらに集中して、【神眼】を使いボロボロになっている建物などの過去を観る。
『観る事は出来たか。これが今の現状だ。次は、【神眼】で観たものを【創造】しなさい』
「【創造】」
【神眼】で観た建物などを、【創造】を使い復元する。現地では何が起こっているのか分からず、混乱している人々が多いが俺は【創造】を続け復元を続ける。
『ふむ、いい出来だ。次が最後だ。【再生】で滅んでしまった植物や動物を再生させなさい』
「【再生】」
邪神が放った大量の魔物で、殺されてしまった植物や動物を再生させる。既に亡くなった人達は、再び生き返る事は出来ないからまだ息をしている人達の怪我を同時に治して行く。
『先の戦いで、更に成長していたか』
創世神は、自分の指示通りにやって行くだけなくプラスに動いている俺に驚いていた。
「【再生】終わり」
『良くやった。これで世界の基盤は元に戻った。後は、人に任せるとしよう』
「それは、良かっ・・・た」
「わっ、と」
俺はここで力を使い果たし、気を失う。ミラはそのことに気がつき、倒れる前にキャッチする。
『力の使い過ぎだ。君が心配する事はない。しばらく寝込むだろうが起きてからはいつもの彼だろう』
「はい、ありがとうございます」
『早く彼方に、戻りなさい。みんなが待っています』
創世神は指を刺し、みんなが居る異空間を開いた。
「本当にありがとうございました」
俺を抱えたミラは、みんなが居る異空間に入って行った。
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創世神視点
『行ったようだな、最後のプレゼントだ。相葉英智、そなたの約束を守るために神力は封印させてもらう』
創世神はミラが異空間を通り抜けた後、異空間を閉じながらエイチの神力を回収した。
『父上、もういいですか?』
『もういいぞ。娘達』
邪神が消滅した所から、創世神に向けて声が聞こえてくる。創世神が許可すると、邪神は姿を現し4つの光に分離する。
「エイチ最初に比べて本当に強く成ったよね」
「確かに、大試練から見てたけど努力を惜しまなかったわね」
「2属性を目覚めさした時は驚いたよ」
「ちょっと!エイチだけでなく、他のみんなの事も言ってあげなさいよ!可哀想でしょ?」
『娘達よ、落ち着け』
邪神の正体は、創世神の娘達であった。彼女らは、父親である創世神が後継者を探しのために口実を作り今の今まで悪役を演じていたのだ
「後継者問題は解決した?」
『ああ、これで解決だ。後は、時が経つのを待とう』
創世神とそのリナを含めた娘達は、エイチの今後を観察して行く事になった。
次回、最終話です。
56話,57話でエイチとミラのステータスを書き忘れたので追加しました。




