50話 始まりの準備
「さあ、貴方の役目は終わりです。創世神の娘さん?」
邪神の眷属はリナの首をさらに強く握り出した。
「辞めろ!!」
俺は邪神の眷属を止めようと突っ込んだ。だが、止められてしまった。リナが魔力の壁を張って俺を止めたのだ。
「あとは•••••おねがい••••ね」
それがリナの最後の言葉だった。リナは死んでしまった。
「嘘だろ」
俺は立ち崩れ、ミラ達も絶句していた。
「さて、後は貴方をあの方に連れて行くだけです」
邪神の眷属は死んでしまったリナの首を手から離し、俺を通り越してミラの目の前に移動していた。
「勇者さん?貴方の大切な人は貰いますね?」
「あっ!」
「ミラ!!!待て!!」
邪神の眷属は、ミラの腹に拳を入れて気絶させて肩に乗せ転移魔法みたいに消え去ってしまった。
「クッソ!!!」
パキ!パキ!!パキパキパキパキ!!!
周囲が凍りつき出す。俺の感情が魔力と繋がり、周りに影響を及ぼしたからだ。
「エイチさん!やめて下さいこのままでは全員死んでしまいますよ!!」
カリンの声だ。風魔法で倒れている鉄也達とエリーとセフィを守っていた。俺は最後の大試練で身につけた制御技術を思い出し、凍りついた部屋を溶かしていった。
「ごめん。感情が昂り過ぎた」
「良かった•••です」
カリンが気絶してしまった。俺は地面に着く前に、カリンを抱え込んだ。
「エリー、セフィ。鉄也達を見てくれないか?」
「分かりました。行こ?セフィ」
「うん」
俺は気絶したカリンを抱えたまま、今置かれた状況を理解しようと考えていた。考えていると、鉄也達は目を覚ましてリナが死んでしまった事を悲しんでいた。
「う、う〜ん」
カリンも目を覚ましたみたいだ。
「俺が分かるか。カリン?」
「はい、エイチさん。分かります」
「そうか」
カリンは何ともなかった。どうやら、魔力を一気に使ったせいで気絶しただけみたいだった。俺はカリンを地面に横たわらせて、鉄也達に俺が戻ってからの事を説明した。そして、鉄也達も俺が来る前の事を話し出した。
リナから出された課題を、挑戦してる時に突如邪神の眷属が現れたらしい。そして、戦った末に全員負けてしまったそうだ。その後、リナが何とかしようと戦って意識を失う前に重要な事を託していた。
『テツヤ!シューヤ!リクト!エイチに伝えて!!邪神の正体は、ミラの父親よ!!』
そして、テツヤ達は意識を失って俺達が来たらしい。
「そうかそうゆう事だったのか。これで邪神の正体がわかった」
リナいつ正体に気がついたのかもう分からないが、邪神の正体を知れただけ良かったと思う。
「しかし、正体がミラの父親か。そう考えたら、邪神の眷属の正体も自然と出てくるな。ミラが話ていた特徴を思い出すと一致する所がある。眷属の正体はミラの母親と弟だな間違いない」
バビルと話をしている時に、弟が居ると知った後俺はミラの家族について聞いていた。父親が邪神だと言うなれば、それに近しい者達が眷属の可能性が高かった。ミラを攫ったのも、眷属みたいにするために攫ったんだろう。
「英智これからどうするんだ?」
鉄也が話しかけてきた。これからどうするか•••そんなの決まってる。
「最後の戦争かつ邪神討伐だ。そしてミラとその家族全員救うぞ」
俺達はバビルに渡された水晶球を使って、最後の戦争の準備を始めた。
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魔王バビルフィード•ノイントザイト視点
時は英智達が最後の大試練を攻略中まで戻る。
「行ったか。我の分身よ、我より先に出てきたら部屋まで案内を頼む」
「はっ!•••魔王様はどちらへ?」
「エイチ殿が言っていた他種族に話をしに行ってくる」
我は、【転移門】を使いまずは獣王の所に向かった。
「魔王か。俺になんの様だ?」
相変わらず態度が冷たい獣王だ。我は魔王になった時に挨拶として他種族に会いに行った事がある。その時もよく分からないが、冷たい態度を取られた。多分、自分が王だと自覚しているからこその態度なんだろうから我も見習わないといけない。
「我の所にエイチ殿が来たのでな。エイチ殿が他種族達に声をかけてると言っておったので、話に来た」
「魔王今なんて言った?」
「うん?我の所にエイチ殿が来たと言ったんだが」
獣王はエイチ殿の名前を再び言うと黙りこんでしまった。エイチ殿が獣王に何かしたんだろうか?
我が内心で動揺していると、黙り込んでいた獣王がにこっりして話出した。
「やはり、魔大陸に行ったか!それで魔王。エイチはなんて言って来た?」
「我と協力して次で最後の戦争を終わらせてほしいそうだ」
「分かった。協力しよう!作戦は決めっているのか?」
「魔族と手を組み、人族の侵攻を止めてほしいそうだ。エイチ殿は魔大陸にある大試練を攻略しに行っている」
「そうか」
少し残念そうに、肩をすくめた。
「その代わりに、我が造った魔道具を渡しに来た。これなら遠くからでも連絡が出来る」
我は連絡用の水晶球を獣王に投げた。
「魔力を使って、同じ物を持ってる相手に会話が出来る魔道具だ。これは各王に渡し、エイチ殿が大試練から出てきたら渡すつもりだ」
「分かった。なら次はエルフの所に向かうと良い。俺の記憶が確かならば今日妖精王はエルフの集落に居るはずだ」
「分かった。情報感謝する」
我は獣王と会話を無事に終え、次は妖精王オベルタールがいるエルフの集落に【転移門】で移動した。
エルフの集落に移動すると、近くにオベルタールが居た。
「何をしに来た魔王?」
「エルフの長殿と其方に話があって来た」
オベルタールとエルフの長殿は顔を合わせた後、場所を変えることになった。静かな場所何時間に来ると、オベルタールから話しかけて来る。
「それで話とは?」
「我に協力して欲しい。エイチ殿が我の所に来て、こう言っていた。『他種族達と協力して人族の侵攻を止めてほしい』と言われ頭を下げに来た」
妖精王オベルタール
世界の王族の中で最も長生きしている王様。妖精族の祖先とまで言っても過言ではない。我に植え付けられた歴史の中で妖精族が生まれたのは、創世神がやられた後力の一部が植物に流れそこから自我を持ち発達していったのが妖精族でありオベルタールなのだ。
「オベルタール様。エイチ殿は私が先程まで話していた異界から召喚された勇者です」
「ほう•••良いだろう。協力してやるその代わりに、私の所に連れてこい。其奴の顔を見てみたい」
「分かりました。けど今は無理です。彼らは今大試練を攻略しているので、会えるとしたら戦争中になるでしょう」
「ふむ、そうかならば後にしよう。魔王よ。勇者なる者が考えている作戦とやらを教えなさい」
我はエイチ殿が提案していた作戦を獣王の時と同じように説明した。
作戦を聞いていたオベルタールは、笑い出し話し出す。
「人族は殺さないで、気を失わせるだけか。戦争なのに、血を流さない戦いとは勇者はとても優しいのだな。気に入った、妖精族もその戦争魔王軍側として参戦しよう」
「ありがとうございます。お礼をとしてはつまらない物なのですがこれを受け取って下さい」
我は、獣王にも渡した連絡用の水晶球を差し出した。
「魔道具か」
「はい、魔力を使って遠距離からでも連絡出来る魔道具であります。後ほど、エイチ殿に渡す予定です」
「喜んで受け取ろう」
「エルフの長にも同じ物を渡します」
「感謝する」
エルフの長にも同じ物を渡したのを確認すると我は立ち上がる。
「それでは我はこれで失礼する。何か有れば、先程の魔道具でご連絡を下さい」
「うむ」
【転移門】を開き、魔王城に戻った。時間としてはかなり経っていたらしく、エイチ殿が我の部屋で待っているとの事だ。
「もう攻略したのか。さすがは、勇者であり大試練を全て攻略した者だ」
我は関心しながらエイチ殿が待っている部屋に向かった。
これで5章は終わりです。次回からは最終章の6章に入ります。




